アルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権のTC2000にて、新たに"Honda YPF Racing(ホンダYPFレーシング)"の名称で活動するチームがシーズンラウンチを実施 この2025年よりSUVセグメントによる新時代の幕開けを迎えるアルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権TC2000にて、新たにホンダYPFレーシングの名称で活動するチームがシーズンラウンチを実施。待望の新型『ホンダZR-V』を初公開するとともに、シリーズ通算“4冠”を誇るチャンピオンのリオネル・ペーニャと、その息子であるティアゴの移籍加入を正式発表している。
同時に、今季2025年よりTCRサウスアメリカ・シリーズでもホンダYPFレーシングとして体制拡充を表明したホンダ陣営は、兼ねてより選手権を戦ってきたスクアドラ・マルティーノの公式ブランド発表会も併催。各チームのドライバーやディレクター陣が出席する華々しい船出となった。
このホンダ系トップチームが集った公式ブランド発表会は、現地3月21日にコルドバ州ビジャ・カルロス・パスに位置するラゴホテル&スパで開催され、これまでアクシオン・エナジー・スポーツのルノー・フルーエンスGTで戦ってきたリオネル・ペーニャに、昨季のTC2000本格デビューイヤーで新人王を射止めた息子のティアゴ、さらにリオネルの兄弟でこちらもTC2000レギュラーを務めるマリアーノ・ペーニャらが参席した。
このオフ期間にも新型SUVモデルの開発と製造を進めてきたトヨタ、シボレー、フォルクスワーゲン、さらにフィアットの各陣営だが、先行開発車両“プロトタイプ001”として1番乗りで姿を見せた小型クーペSUV『フォルクスワーゲン・ニーヴァスSUV』に続き、シボレー陣営のYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングが走らせる『シボレー・トラッカー』や、昨年末のテストに姿を現したトヨタ・ガズー・レーシングYPFインフィニアの『トヨタ・カローラクロス』などは、すでにサーキットでの複数回のテスト走行をこなすなど精力的にマイレージを重ねている。
改めて、現地法人ホンダ・モーター・アルゼンティーナからファクトリー指定チームを拝命した強豪プロ・レーシングだが、日本でも活動した経歴を持つチーム代表のセバスチャン・マルティノは「ホンダはナンバー1にならなければならないチームであり、我々はそれを達成するために全力を尽くすつもりだ」との意気込みを語った。
同じくホンダ・モーター・アルゼンティーナのコマーシャルマネージャー兼公式競技チームマネージャーを務めるビクトル・プルヴォストも「我々はドライバーの才能とチームへの献身に非常に興奮し、自信を持っている。ホンダ・レーシングはモータースポーツに対する卓越性と情熱に注力しており、すべてのカテゴリーで大きな成功を収められると確信している。素晴らしい年がやって来るだろう」と続けた。
このプレゼンテーションには同法人がサポートするアルゼンチンバイク選手権のスーパーバイクとアルゼンチンMXのライダーも参加したが、改めてTCRサウスアメリカではネルソン・ピケJr.ともチームメイトを務めることになったリオネル・ペーニャは、同ブランドを代表することは自身にとって「大きな挑戦となるだろう」との決意を述べた。
「この挑戦は素晴らしいね。ホンダとYPFを代表する責任は重々承知している。セバスチャン・マルティノは両部門で好成績を収めるだろうから、話題になるチームを編成したと言えるね」とTC2000のディフェンディングチャンピオン。
開幕を4月に控えたこのタイミングで、初めて日の目を見た新型『ZR-V』だが、どのチームにとっても未知の領域となる新型SUVツーリングカーは、従来のセダン車種と同様に共通エンジンを採用しており、新開発となる500PS級の"直列5気筒"直噴ターボエンジンを搭載する。
「TC2000では新しい規則、新しいエンジン、新しいシャシーなど、すべてを改善し、進化させ、学ぶことが求められる。性能調整された(従来型の)セダンとの混走も含めて、間違いなく大きな挑戦になるだろう」
そしてTCRの南米選手権に向け、新たにスクアドラ・マルティーノが用意するFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRの33号車でフル参戦するピケJr.は、昨年末の正式加入のアナウンス以降、1987年のF1で偉大な父とともにタイトルを獲得したブランドのツーリングカーをドライブすることに意欲を示した。
「たくさんのテクノロジーが搭載されていて、僕にとっては大きな目新しいものになるだろう。前輪駆動車のツーリングカーで年間のチャンピオンシップにフル出場するのは初めてだからね」と、今季もSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”でレギュラーを務め、新たにスクーデリア・バンデイラスの『ミツビシ・エクリプスクロス』をドライブする39歳。
「あちら(ストックカー)はFRだが、誰もが前輪駆動車を『古いもの』だと思っている。でも実はTCRは多くの技術を搭載していて、例えばインテルラゴスではストックカーとほぼ同じタイムで走るんだ。つまり、パフォーマンスが非常に高く、本当にクールだよね」
「多くの異なるメーカーが参戦するチャンピオンシップで、こうしてホンダを代表できることをとてもうれしく思う。ホンダは父のキャリアにおいて重要なブランドだったし、一緒にやることは僕たちにとって特別な意味を持っているはずさ」
[オートスポーツweb 2025年03月26日]