初走行の中国で見えた適応力。1ストップ戦略を完遂したアントネッリ、課題は予選【ルーキー・フォーカス/F1第2戦】

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2025年03月26日 18:20  AUTOSPORT web

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2025年F1第2戦中国GPスプリント アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
 もしかすると、F1第2戦中国GPでのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のパフォーマンスは、このドライバーが今後、トップドライバーのひとりになることを示唆していたのかもしれない。

 ルーキードライバーにとってシーズン序盤の最大の課題は、まず新しいマシンをしっかりと理解することだ。プレシーズンテストは1チーム1台で3日間しか走ることができないため、ドライバーひとりあたりの走行時間は1日半しかないからだ。

 しかし、まだ評価が定まっていないルーキーは首脳陣に認めてもらおうという気持ちがつい先走り、マシンを理解する前に限界に挑み、クラッシュするケースが少なくない。開幕戦オーストラリアGPの週末に多くのF1初フル参戦ドライバーたちがバリアの餌食になったのは、そのためだったと思われる。

 そのなかで唯一、クラッシュすることがなかったのがアントネッリだった。ただし、オーストラリアGPでは昨年からFIA F2が開催されているため、アントネッリら何人かの初フル参戦ドライバーたちにはオーストラリアでの経験があった。そのため、ルーキーの誰もが初めてとなる中国GPが注目された。そして、その中国GPでもアントネッリは、結果を出した。

 中国GPの舞台となる上海インターナショナル・サーキットは、1、2コーナーや12、13コーナーのように回り込むコーナーをいかに速く走るかがポイントとなる。そのため、フロントタイヤに厳しく、ほかのサーキットとは異なる特性を持っている。しかも、中国GPはスプリント・フォーマット。走ったことがないコースであるだけでなく、特殊な特性を持つコースで与えられたフリー走行は60分1回だけ。並のドライバーなら、慌ててしまうところだ。

 ところがアントネッリは冷静だった。フリー走行1回目は9番手とまずまずの出だし。スプリント予選では7番手につけた。スプリントではスタート直後に角田裕毅(レーシングブルズ)にかわされ、その後、後塵を拝したものの、ランド・ノリス(マクラーレン)を押さえて7位でフィニッシュし、確実にポイントを獲得した。

 日曜日の決勝レースではスタート直後にシャルル・ルクレール(フェラーリ)の破損したフロントウイングの破片を踏んだことで、フロアに大きなダメージを受けハンディを背負ったアントネッリ。チームによれば、ダウンフォースを失った状態だったにも関わらず、初コースでしっかりと1ストップ戦略を遂行するタイヤマネージメントを披露。8番目にフィニッシュした後、フェラーリ勢2台の失格により、6位を獲得した。

 開幕から2戦続けてポイントを獲得したルーキーは、初フル参戦組も含めてもアントネッリだけだった。

 それでも、その結果にあぐらをかくことなく、しっかりと課題を見つめ、次のように反省するところに将来への可能性を感じる。

「僕にとって課題は予選ペース。ピレリのF1タイヤはF2とは作動温度領域が異なっているだけでなく、その領域に持っていくためのウォームアップのやり方がとても複雑で、まだタイヤをうまく使えていないんだ。タイヤをうまくウォームアップさせることができれば、予選でタイムをまとめることができるし、より前方からスタートすることができ、事故に巻き込まれる可能性が低くなり、マシンのペースを最大限に発揮することができる。まだやるべきことがある」

 3戦目の日本GPの舞台は、鈴鹿。アントネッリは昨年12月の全日本スーパーフォーミュラ選手権のテストに参加する予定だったが、体調不良により不参加。ぶっつけ本番となる鈴鹿で多くの可能性を秘めた新人がどんな走りを披露するのか、楽しみにしたい。

[オートスポーツweb 2025年03月26日]

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