スクーデリア・フェラーリのフレデリック・バスール代表 F1は、先週日曜日の中国GP中に、フェラーリの無線通信が意図的に操作されたことを否定する声明を発表せざるを得なかった。
フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールが、「『F1 TV』がルイス(・ハミルトン)とエンジニアの会話を放送したやり方はもはや冗談であり、真実ではない物語の完全な捏造だ」との考えを述べたためだ。
公式放送で最初に聞こえたメッセージは、ハミルトンのレースエンジニアであるリカルド・アダミが、すぐ後ろから迫ってくるルクレールを先に行かせるように伝えるものだった。
ここでアダミはハミルトンに「ターン14でポジションを入れ替えるように」と指示したが、ハミルトンからの返答はなかった。1周後の20周目に同じ指示が繰り返されたが、ベテランドライバーは「交代したら伝える」と言い返し、次の周回のスタートでターン1を少しワイドに走ってルクレールを先行させることを選択した。
このやり取りから、ソーシャルメディアやイギリスのメディアは、ハミルトンと彼の新しいチームとの間の大きな不和についてのニュースで沸き立つことになった。
チームの長としてレースをフォローし、その後サーキットに残っていたマスコミと会う前にドライバーやエンジニアと素早く報告会を行うのに忙しかったバスールでさえ、騒ぎが非常に大きかったためにこのことに気づいたほどだった。
普段冷静なバスールは、この事態に対して意見を明確に表明した。
「これはFOMのジョークだと思う。本来、最初に呼びかけたのはルイスだったからだ」
「ルイスは我々に(ルクレールとの)入れ替えを求めたんだ。しかし彼らは、ショーを作り上げて状況を混乱させるために、2番目と3番目のメッセージだけを放送した。これは決して正しいことではないので、彼らと話し合うつもりだ」
バスールは止めることなく、次のように詳しく語った。「ルイスが『僕はペースが落ちているから、交代したい』と声をかけてくれたことに、ピットウォールの我々は本当に感謝していた。このことは、ふたりの連携の素晴らしさを示している。1秒たりとも文句を言うことはできない。しかし、ファンの耳に届いたのは、その全容ではなく一種のモンタージュのようなものだった……」
バスールは直ちに、上海インターナショナルサーキットに残っていたF1 CEOのステファノ・ドメニカリを探し出し、数時間後に上海浦東空港から出発する飛行機に乗るまで話し合いを続け、自身の考えを伝えた。
その結果、公式放送は月曜日にすぐ短い声明を発表し、「フェラーリのチーム無線に関し、誤解を招くような物語を作る意図はまったくなかった。レース中に他の状況が発生したため、ルイスからのメッセージは放送されなかったが、これは意図的なものではなかった」と放送内容を説明した。
バスールは、無線メッセージの選び方について不満を述べた最初のF1界のビッグネームではない。現在アストンマーティンF1で走る元王者フェルナンド・アロンソも長い間、「F1 TVは僕を彼らの物語の悪役に仕立て上げた。だから僕の無線通信はネガティブな部分だけが放送され、ポジティブな部分は放送されない」と主張してきた。
そして現王者のマックス・フェルスタッペンも、ジャンピエロ・ランビアーゼとの会話に関して同じ意見を表明しており、ルイス・ハミルトンも、アダミと彼の間の緊張したやり取りがいくつか放送されたことから、放送される無線の選択についてオーストラリアGP後に痛烈に批判した。
チームとドライバーは、F1 TVサービスがNetflixのように偽りの物語を作り出すことを望んでいないことから、事実を歪めることなく番組を面白く保つための方法の見直しが進められている。
[オートスポーツweb 2025年03月27日]