「若いんだから飛び込み営業行ってきて」新卒社員に言ったら“エイハラ”で通報された 上司が知りたい「伝え方の工夫」とは【社労士が解説】

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2025年03月27日 12:00  まいどなニュース

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上司に若いんだから飛び込み営業行ってきてと言われる新卒社員 ※画像はイメージです(Trickster*/stock.adobe.com)

AさんはOA機器会社で営業部長として辣腕を振るっていました。右肩上がりの業績を牽引し、部下たちの成長を間近で見守ることに大きなやりがいを感じていたのです。

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そんなAさんの部署に新卒のBさんが配属されてきました。Bさんに営業の基本を学ばせたいAさんは、「若いんだから飛び込み営業行ってきて」と伝えます。すると先ほどまで笑顔でいたBさんの表情は一変し、「部長のその発言はエイハラですね」と返事が返ってきたのです。

Aさんには耳慣れない言葉である「エイハラ」とは、「エイジハラスメント」の略で、年齢を理由にした嫌がらせや差別を指す言葉でした。

Bさんの言葉を受けて、Aさんは過去の自分の言動を振り返りました。体育会系のノリで部下を鼓舞してきたものの、「若いのに元気が足りない」「老けるには早い」といった言葉を日常的に使っていたことを思い出します。あくまで部下たちの成長を願っていたからと自分に言い聞かせるも、誰かを傷つけていたかと思うと心が痛みます。

それから数日後、Aさんは人事部から呼び出されました。BさんがAさんの言動を「エイハラ」として訴えたというのです。人事担当者から事情を聞かれるうち、Aさんは事の重大さに気づきました。

この出来事を教訓に、Aさんは部下とのコミュニケーションを見直すことを決意しました。ではAさんは具体的にどのような点に注意すれば良いのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞いてみました。

ーエイハラとはどのようなものなのでしょうか

ハラスメント自体は、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を差します。このハラスメントの一種で、年齢を理由に相手に対して不快や脅威を感じさせる行為がエイジハラスメントです。

たとえば懇親会の席で「若いんだから酌をして回りなさい」という指示や、AIなどの最新技術を使おうとしている人に「もう年なんだから無理しないでください」といった声かけがエイハラにあたると考えます。

ー放置しておくとどんなトラブルが発生しますか

年齢や性別といった仕事と関係のない情報を使っていると、意図していなくても法的なトラブルになりかねません。客観的に判断ができる事実をベースにしたコミュニケーションが求められます。ハラスメントとまでいえない言葉遣いであっても、社員のモチベーション低下や離職につながることも考えられます。

ーAさんはどのような対策をするべきなのでしょうか

Aさんの発言そのものには、「経験の少ないうちは飛び込み営業で顔を売った方がいい」というアドバイスでもあったでしょう。仕事上の指示という側面も否定できず、嫌がらせと断罪するのは少々行き過ぎと考える人もいるかもしれません。

ただ、より円滑なコミュニケーションを心がけたいのであれば、年齢や性別といった仕事と関係のない能力やスキルをもとにした指示は避けるべきです。

また、企業は実際の事例を交えたハラスメント研修をおこなうべきでしょう。本来伝えたいアドバイスがハラスメントと指摘されないようにするために、言葉遣いなどの具体的内容にも触れるべきです。「若いから」や「もう年だから」といった年齢を使ったコミュニケーションは、だれもが容易に使ってしまうからです。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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