24年のタブレット端末市場は過去8年で最高に、大画面化・大容量化が後押し

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2025年03月27日 17:31  BCN+R

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 2024年のタブレット端末市場は、年間の販売金額が17年以降で最高となった。大画面化・大容量化に伴う価格の上昇や、アップルの独走に拍車がかかっていることが要因だ。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で17年以降の市場の動きを追った。

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 タブレット端末市場の市場規模を、17年の数値を基に販売台数・金額指数をそれぞれ算出した。台数ベースではコロナ禍による巣ごもり需要で盛り上がった20年が最も高く「143.5」に達した。18年と23年を除いては基準値を上回っており、24年は「108.5」を記録するなど底堅く推移した。

 一方、金額ベースでは19年に「140.0」へ伸長すると、20年には「184.8」と指数が大幅に上昇した。その後、数値は170前後をキープして推移。24年には8年間で最高の「196.0」と17年の2倍近い規模となった。金額の指数が大きく伸びていることから、タブレット端末の価格が大幅に上昇していることは明らかだ。平均単価は17年から24年の8年間で約1.7倍上昇している。

 平均単価の上昇は、タブレット端末の大画面化と大容量化が進行していることに加え、為替の影響が要因としてある。ここからはスペックの変化についてみていく。

 まず、画面サイズ帯別構成比は、17年では8インチ台から10インチ台までの割合がそれぞれ2割から3割程度の比率を占めた。しかし、24年になると10インチ台が6割以上を占めていることに加え、11インチ台も2割近くまで増加している。平均画面サイズは9.1インチから10.6インチへと、1.5インチ大型化していることが明らかとなった。

 次に、容量帯別構成比では、17年では16GB以下が45.6%と約半数を占めていた。その後、年を追うごとに大容量化は着実に進行。23年には64GBの比率が59.0%と過半数を占め、24年にも51.0%とボリュームゾーンとなった。また、125/128GBも2割を超えたほか、256GBも2割近い比率まで増加している。

 また、メーカーの勢力図の変化も平均単価の上昇に繋がっている。17年時点のメーカー別販売台数シェアは、現在と同じくアップルが首位であるものの、ファーウェイやASUSといったAndroid勢とシェア争いをしていた。しかし、ファーウェイが米国の制裁によって市場からの撤退を余儀なくされると、アップルが勢力を急拡大。19年以降のシェアは6割を超えており、24年には65.7%を記録した。単価の高いアップル製品の割合が増え、市場全体の平均単価を押し上げた形だ。

 今後、大画面化はノートPCとの棲み分けから頭打ちとなることが予想される。しかし、大容量化は引き続き進行していくだろう。また、アップルの「Apple Intelligence」といったAIの使用に特化した最新チップを搭載するモデルの登場もあり、高スペック化に伴う製品価格の上昇傾向は続くと考えられる。

 17年以降、タブレット端末は一定の販売台数を維持し続けている。根強い需要がうかがえるが、このまま価格の上昇が続けばユーザー離れに繋がる可能性もあるだろう。

■BCN総研・筧 采斗(かけい さいと)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースです。

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