オストベルグが滑り込みでERCフル参戦継続を表明。4月の開幕戦には総勢82台が集う

　近年はERCヨーロッパ・ラリー選手権のフル参戦プログラムを主軸に据え、キャリアを通じて共闘する『シトロエンC3ラリー2』をドライブしてきたマッズ・オストベルグは、自身の業績リストにERCタイトルを加えるべく、2025年開幕前の滑り込みでフル参戦を表明した。

　言わずと知れたWRC世界ラリー選手権での優勝経験者であり、18回の表彰台獲得経験を持つオストベルグは、引き続きハンガリーを拠点とするTRTラリーチームから出場。残念ながら昨季のクラッシュにより負傷したコドライバーのパトリック・バースは、怪我のためキャリアを続けることが不可能となり、2020年にオストベルグをWRC2タイトルに導いたトルスタン・エリクセンが同郷ノルウェー人タッグを再結成する。

「少しばかりエゴの問題かもしれないね」と、このオフ期間にも参戦継続の可能性に危機感を訴えていた37歳。

「WRCとWRC2で成功してきたし、このERCでも成功を収めたいと思っているんだ。ERCは僕にとっては一種の呪いのようなもので、イベントを知っていて本当に安心しているときでも、奇妙なことが起きる。なんとかしてその氷の壁を破る必要があるね」と続けたオストベルグ。

「何度か挑戦してきたが、もう1度挑戦する必要があるようだ。だからこそ（年間のチャンピオンシップタイトルに）集中したい。それは戦い続け、努力し続けるための良い動機だからね。僕たちは準備を少し強化し、昨年よりもラリーカーで過ごす時間を少し増やし、イベントを増やし、テストを少し増やすことで合意したんだ」

　そんなオストベルグも、ERC復帰を確実なものとしてサポートした「シトロエン・レーシングと素晴らしいパートナーたちに感謝している」と語り、2025年ERCに継続参戦する決断の鍵となったのは、このチャンピオンシップのハイレベルな競争の性質だと強調する。

「ERCは僕たちにとって最高のプラットフォームだ。僕はその形式とイベントの運営方法がとても気に入っている。少し原点回帰した感じで、とても性に合っているし、競争も非常に激しい。優勝候補は2、3人だけではなく、実際にイベントで優勝できるドライバーがたくさんいる。これは本当に大きな挑戦だが、それがERCの良いところさ」

　その2025年開幕戦『第42回ラリー・シエラ・モレナ』は、来月4月4～6日にスペインのアンダルシア地方で開催されるが、そのイベントには82台のクルーがエントリーし、そのうち64台がERC登録としてポイントを争うことになる。

　このうち主役を務めるラリー2規定モデルは29台を占め、50歳以上のドライバーを対象とする新規創設のFIAマスターERC選手権には元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンを含む5台が登録を済ませている。

　エントリーリストのトップに立つのは、元ERCチャンピオンのエフレン・ヤレーナ（シュコダ・ファビアRSラリー2）で、同じ車種をドライブする昨季ランキング3位のミコ・マルチェクや、最終戦勝者のアンドレア・メベリーニなど総勢8名のERC優勝経験者が集う。

　また、2024年にERC4／ジュニアERCのダブルタイトルを獲得したミレ・ヨハンソン（シュコダ・ファビア・ラリー2エボ）もERC1に昇格し、2014年の初代ジュニアERC王者ステファン・ルフェーブル（ヒョンデi20 Nラリー2ステップ2）や、同じくジュニアERC王者シモーネ・テンペスティーニ（シュコダ・ファビアRSラリー2）もチームMRFタイヤから参戦する。

　さらに、モータースポーツ・アイルランド・ラリー・アカデミーが支援するジョン・アームストロング（フォード・フィエスタ・ラリー2）や、新規創設J2Xラリー・チームからニコライ・グリアシン（シュコダ・ファビアRSラリー2）、オーストリア選手権“4冠”のサイモン・ワグナー（ヒョンデi20 Nラリー2ステップ2）、そして王者創設のヤレーナ・レーシングに加わるノルベルト・ヘルツェグ（トヨタGRヤリス・ラリー2）など、錚々たる実力者たちが顔を揃える。

[オートスポーツweb 2025年03月28日]

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