
オレンジページnetなどの情報サイトに広告が掲載されるのは今や常識。一方、自分が見ている情報コンテンツのページに今回のように意に反する広告が表示され、不必要な広告が繰り返し表示されると不愉快になるだけでなく、不安になることも。
また情報サイトを運営している企業や、情報サイトに広告を出稿している企業にとっても今回の事案は大きな問題です。
広報活動などにWeb広告を利用する企業からすると自社広告と並んで成人向けコンテンツの広告が掲載されると、自社ブランドのイメージが毀損(きそん)し信用失墜につながりかねません。商品やサービスの売れ行きにも影響します。
どうして今回のようなアクシデントが発生したのでしょうか。またオレンジページの対応はなぜ称賛されたのでしょうか。SNS時代の生活者視点から考えてみます。
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不適切な企業広告の表示は避けられないのが現状
オレンジページを含めWebサイト運営者は、複数の広告ネットワークを利用しています。広告ネットワークとは、広告主と広告枠を提供する多くのWebサイト運営者を仲介し、広告の配信を自動化する仕組みのこと。基本的にはユーザーの興味関心や閲覧履歴に基づいて最適な広告が表示されますが、一方で広告ネットワークの厳格な審査をすり抜けてしまう悪意を持った広告主の排除が難しいのも現実です。そのため、Webサイト運営者は自社サイトに不適切な広告が表示されないよう、日々監視の目を光らせているのです。
今回のオレンジページの対応が称賛されたのは、そういったオレンジページの“リスクマネジメント”に対する姿勢が評価されたということはいえるでしょう。しかしそれだけではありません。実は“ネットユーザー特有の不安”に着目すると別の見方ができます。
ネットユーザーの不安に寄り添った対応が称賛された
ネットユーザーは、友人、家族と一緒にサイトを見ているときに、望ましくないコンテンツが不用意に表示されるのではといった恐れや、自身の閲覧履歴や個人情報が広告配信企業に勝手に利用されているのではといった特有の不安を抱えています。とりわけ料理や生活に関する情報サイトを利用するユーザーは、家族や子どもと閲覧することも多く、不適切な広告表示に敏感です。
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また今回の事案発覚の端緒は、あるSNSユーザーからの指摘でしたが、他のSNSユーザーから「不適切な広告が表示されたのは投稿者本人の閲覧履歴が原因ではないのか」と本人が逆に批判される恐れもありました。
しかし、オレンジページは「広告ネットワーク側の審査やフィルタリングにより、不適切な広告は自動的に排除される設定となっておりますが、今回、その審査をかいくぐった広告が掲載される事態となりました」と本人の閲覧履歴が原因とされる可能性に配慮する姿勢を見せました。
このような“ユーザー目線の行動”もネットユーザーの評価につながったと思われます。
再発防止策の徹底が鍵になる
ネットユーザーはSNSを利用していることも多く、個人的な投稿が予想外に拡散され炎上につながるなど、企業の広報活動に大きな影響を与えることがあります。
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今回の事案は、SNS時代の企業とネットユーザーとのコミュニケーションの在り方について考えるよい機会になったのではないでしょうか。
(文:本田 和盛(企業の人材採用ガイド))