雨続きのスーパーGT公式テスト。走行控えめでも「ポジティブしかない!」とGT300陣営から前向きな声

0

2025年03月29日 21:20  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2025スーパーGT富士公式テスト 雨のセッション2でクラストップタイムをマークしたUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)
 2025年シーズンのスーパーGT勢力図を占ううえで重要な参考材料となるはずの公式テストだが、3月中旬に行われた岡山国際サーキットに加えて、3月下旬の富士スピードウェイも雨で寒いコンディションに見舞われている。

 29日から始まった富士公式テスト1日目は、前日までの春の陽気から一転して冬のような寒さとなり、朝から降り続いた雨の影響で終日ウエットコンディションとなった。とくに午前のセッション1は雨量が多くピット内で様子を見守るチームがほとんどだ。

 各陣営にとって開幕前の公式テストはさまざまなことを確認する貴重な機会。なかでも序盤戦のタイヤ選びをするうえでは欠かすことができない時間となっている。実際、岡山テストでもGT500クラスの各陣営からはシーズン中とかけ離れたコンディションに「開幕戦のタイヤ選びをどうしよう」と悩みの声がたくさん出てきた。

 今回の富士公式テストではGT300クラスの各陣営にも取材をしてみると、GT500とは少し異なる回答が聞こえてきた。


■「雨対策はできた」

 まずは富士テスト1日目でトップタイムを記録した6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)。岡山テストでも好タイムを記録し、今季は手応えを掴んでいそうな雰囲気はあるが、ドライバーの片山は「どのチームもそうだと思うんですけど、テストでやりたいメニューは全然進んでいないです」と語る。

「チャンピオンたちは多分自分達のストラテジーを持っていると思うので『昨年通りにやればいい』という感じかもしれませんけど、僕たちはみたいなチャレンジャーはいろんなことに挑戦していかないといけなくて、セッティングもいろいろ試したいというのが本音です」

 それでも収穫はそれなりにあるようで、とくにウエットコンディションについては自信を深めている様子。「相対評価ですけど、雨は調子が良さそうなので、雨対策はできたのかなと思います。あとはドライコンディションを集中してやっていきたいですし、ロングもやりたいですねと明日に向けた意気込みを語った。


■「みんな同じなので、そのなかでうまくやるしかない」

 セッション1では3番手につけたが、雨量が少なくなったセッション2では各車がタイムを更新するなか一度もピットアウトすることのなかった前年チャンピオンの0号車VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)。

 午後のセッションで走らなかったことについて小暮に聞くと「本当は走れたんですけど、柔らかめのタイヤが1セットしかなく、それは87号車に譲りました。硬めのタイヤで走ってもデータは取れると思いますが、あまりリスクを犯すこともできない。個人的には走りたかったですが、想定以上に気温が低かったので……」とのこと。雨で寒いコンディションが影響する1日となった。

 2日目は「明日はドライになってくれると思うので、そこで確認はしたいんですけど……もうちょっとドライで走りたいですね」と期待を膨らますが、ここまで天候に恵まれていないことに関しては前向きに捉えていた。

「前回の岡山も相当寒くて、ドライでも走りましたが、あの時もちょっとクエスチョンマークなところはあります。ただ、悩みは多くてもみんな同じ条件だと思うんですよ。なのでポジティブに捉えて、自分たちができることをしっかりやっていくしかないです。多分、みんなも悩んでいるところは同じなので、そのなかで過去のデータと、シーズンを想定してタイヤとか持ち込みセットを用意して戦うしかないですね」

 同じく「みんな同じ条件」と語るのは、ブリヂストンタイヤを履く65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)の蒲生。富士テスト1日目は相方の菅波がメインで走行を担当し、自身は1周も乗ることはなかった。

「みんな同じ条件ですので、そのなかでうまくやっていければいいかなと思っています。なので、そのあたりは悲観的にもなっていないです」と蒲生。

 タイヤ選びという点では、ここまでのテストでのデータは参考にしづらい部分はあるようだが「長年同じパッケージでやらせてもらっているので、その分データも充分にあると思います。(シーズン中に)どんな状況になっても、失敗しないようにだけはしたいなと思います」と冷静だった。


■雨だからこそ確認できることもある

 GT300クラスはさまざまな車両が参戦している分、細かな事情はやりたいメニューもチームそれぞれ。61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の山内は公式テストが雨続きになっていることについて「本当はドライで見たいところもあります。(タイヤ選びは)読めないですけど……仕方ないですよね。みんな一緒ですからね」と語るが、それ以上にポジティブなことがあるという。

「僕たちは新車なので、こういった路面だからこそ分かることもありますし、ポジティブに捉えてそういうトライをしています」と山内。

「昨年いろいろあって、新車でも何か出てくるかもしれない部分もあります。そのなかで走り続けることは大事ですし、雨でも最速タイムを出せるような状況をつねに作っておけばベストな走りにつながっていくと思うので、それを信じて頑張っています!」

 全体的にシーズン中に参考になるコンディションではないという点で悩みの声が聞こえてきているなか、山内は「ポジティブしかないです!」と笑顔だった。

 61号車のように車両が入れ替わっているチームにとっては、天候問わず走行距離を稼ぎたいところ。それは9号車PACIFIC アイドルマスター NAC AMG(阪口良平/冨林勇佑)だ。

「ウチも今年はハコ替えしたので、そこのチェックとかは出来ています。その点では順調で何のトラブルも出ていません。昨年はノートラブルで終えられたレースはなかったので、今年は順調にきているので安心ではあります」

 そう語るのは冨林。ただ、タイヤ選びに関しては他のチームと同じ感想のようで「明日、晴れたと仮定しても、(岡山テストを含めて)ちゃんと走れたのはトータルで実質1日半くらい。コンディションもコンディションなので『果たして参考になるのか?』という感じではあります。あとはドライコンディションでロングランができていないので、その時に『どうなのかな?』と思うところはありますけど、多分明日確認できると思います」とのこと。

 現時点の天気予報だと、2日目は雨の心配はなさそうだが、気温がそこまで上がる気配はなく、どこまで参考になるかは未知数ではある。いずれにしても開幕前では最後の走行機会となるだけに、各陣営ともに慌ただしい1日となることは間違いないだろう。

[オートスポーツweb 2025年03月29日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定