カーナンバー1をつける au TOM’S、トラックエンジニア変更も大きな影響なし? SNSで新たな試みも

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2025年03月29日 22:30  AUTOSPORT web

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2025スーパーGT富士公式テスト au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)
 2023〜2024年と、2年連続でスーパーGT GT500クラスでチャンピオンに輝いているau TOM’S GR Supra。3連覇を狙う今季はゼッケン1番をつけてシーズンを戦う。ドライバーは坪井翔/山下健太のコンビは変更はなし。これまで毎年相方が変わっていた坪井にとっては「やっと前年と同じ相方で臨める」とポジティブな印象を語っていた。そんな1号車だが、実は若干の変更点がある。それが“トラックエンジニア”だ。

昨年までは吉武聡エンジニアが同ポジションを担当していたが、今年は伊藤大晴エンジニアがトラックエンジニアに就任し、吉武エンジニアは1号車の統括的なポジションに就くことになる。この変更の理由について、TOM’Sの山田淳総監督に経緯を聞いた。

「チームビルディングの一環ですね。TOM’Sとしてエンジニアリングチームの強化は5年くらい前から考え始めていて、もう少しリソースを“今風な”エンジニアリング体制にしたいなと思っています」と山田総監督。

「若手を育てていくなかで、可能性のある人材にどんどんチャンスを与えていかないといけないなと。これから10年後のことを考えると、若手にシフトしていかないといけない部分もあります」と、次の世代を見据えた上での起用であることを明かした。

 とはいえ、気になるのはトラックエンジニア変更のタイミングだ。au TOM’SはGT500クラス2連覇をしており、今年は前人未到とも言える3連覇がかかるシーズン。「なぜ、このタイミングで変更?」と思った人も少なくないはずだ。

「でも、それは結局のところいつまでいっても変わらなくて、例えば『もし今年も吉武が担当して3連覇したら、4連覇がかかるタイミングで伊藤にするの?』とか、『もし4連覇したら次の年は?』とか。結局いつでも一緒なんですよ」と山田総監督。キッパリとタイミングを決めての配置変更となったようだ。

 気になる吉武エンジニアが務める今季のポジションだが、1号車の統括的なポジションで後ろからサポートする役割になるという。これまでは36号車(現1号車)を吉武エンジニア、37号車を大立健太エンジニアがそれぞれを担当し、その後ろの統括役として小枝正樹エンジニアがいた。今年からはこの統括担当を2名体制にするとのこと。

「組織図で言うと小枝が上長になります。彼は37号車につきっきりでやるんだけど、(基本的には2台を)総括で見るような感じ。それに対して吉武は1号車のみを見るということになります」と山田総監督。いずれにしても、今回の件は“トラックエンジニアの変更”ではなく“全体の体制強化”につながっているようだ。

 今回の変更について吉武エンジニアにも聞くと「昨年までは小枝さんが2台をうしろから見ていたんですけど、今年は1号車と37号車で分けようということになって、僕は1号車側の担当です」とのこと。

 もちろん、今季のトラック担当は伊藤エンジニアということで「細かな相談に乗ったり、タイヤ選びなどは自分も加わって決めますけど、セッション中やレース中の瞬間的な判断は彼しかできないので」と吉武エンジニア。

「伊藤はずっと1号車側のメンバーでしたし、2年くらい前からオフのテストでは伊藤がトラックエンジニアをやっていたので、なんの問題もないと思っています」と信頼を寄せていた。

 これに対して、新任の伊藤エンジニアは「タイミングとしては2連覇した後だから、プレッシャーは大きいですけど……。でも、逆にこんな機会をいただけて、挑戦させていただけるのはなかなかないので、頑張りたいと思います」と語った。

 スーパーフォーミュラ・ライツなど他のカテゴリーではトラックエンジニアの経験があり、今年は小林利徠斗の38号車を担当している。スーパーGTに関しても、昨年から水面下で準備を進めていたようで「今年トラックになるという前提で進めていたところもあったので、心づもりはしていました。あと、2年前くらいからテストオペレーションでは(トラックエンジニアを)経験させてもらっていたので、テストに関してはある程度順調にやれているのかなと思います」と語っていた。

 岡山公式テストでは悪天候で本当の勢力図が見えないまま終わっていたが、セッション中には1号車が何度もトップタイムを塗り替えていたのが印象的だった。3連覇に向けた体制強化が、シーズンが始まってどう機能していくか、目が離せない。


■岡山公式テスト直前に突如開設されたXアカウント『よしたけズ』

 そして、今季の1号車陣営でもうひとつ注目を集めそうな新しい試みがある。それが“SNS”だ。実は岡山公式テストの直前に、以下のアカウントがXで立ち上がった。

 一見、吉武エンジニアがXを始めたのかと思い尋ねてみると「実は、あれを始めたのはチーフメカなんですけど(苦笑)」とのこと。

「もともとTOM’Sの公式アカウントがありますが、レースのことだけではなくて一般車の用品の告知投稿とかもあるので、こっちはこっちで現場の身近な話を上げていこうかということで……。もちろん、社長の許可はいただいています」と説明してくれた。

投稿を見ていると、吉武エンジニアが頻繁に登場しているイメージだが「実は僕……あのアカウントにまだ入れないんですよ(岡山公式テスト時)。そのうち僕も投稿できるように共有してくれると思います」とのことらしい。

 ちなみに3月19日時点でフォロワーは約330人。吉武エンジニアは「最初の目標はフォロワー100人だったんですけど、もう超えちゃったと思うので……今の目標は5000人ですね。打倒小池エンジニア(TEAM MUGEN小池智彦エンジニア。現在フォロワー5,200人超)で頑張ろうと思います!」と意気込んでいた。

 こちらもこちらで、2025年シーズンの見どころとなるかも!?

[オートスポーツweb 2025年03月29日]

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