写真 3月19日、結婚情報誌『ゼクシィ』の新しいCMガールとCMボーイが発表されました。
新人俳優の登竜門と言われるほど注目度の高い『ゼクシィ』のCM。しかし今回の起用にネットではさまざまな意見が集まっています。というのも、CMガールに未成年が起用されたからです。
◆17歳の未成年をCMガールに起用して批判続出
今回2年ぶりの開催となったオーディションの末に、『ゼクシィ』の15代目CMガールに選ばれたのは17歳の池端杏慈さん。CMボーイに選ばれたのは25歳の西垣匠さんでした。
このニュースが報じられると、SNSでは池端さんの年齢に注目する人が続出。「結婚できない未成年の高校生を起用するのはおかしい」「18歳未満の結婚は国際的には児童婚なのに」「ロリコン文化の助長では」といった批判の声が集まっていました。
また酒類CMは法律に則り、未成年飲酒防止の観点から25歳以下のタレントを起用しないルールになっていることから「アルコールのCMと同じようにすべき」という意見もありました。
これまで日本では女性は16歳、男性は18歳になれば結婚ができましたが、法改正によって2022年からは男女ともに婚姻可能年齢が18歳に統一されています。
池端さんは2007年9月生まれなので“今年18歳になる”と考えることもできますが、起用時点で17歳という事実に疑問を抱く人が多かったのもやむを得ないことかもしれません。
◆年の差婚も減少しているのに俳優は8歳差
またCMガールとCMボーイに8歳という年齢差があることに対しても「未成年の女の子が年上男性と結婚することを推奨しているの?」「大学卒業した社会人3年目の男が高2の女の子と結婚すると考えるとグルーミングに感じて気持ち悪い」「せめて男性も同世代なら男女平等の観点でも理解できる」という否定的な意見がありました。
厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」発表によると、2023年の平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.7歳でした。年の差婚も減少傾向にあり、初婚における平均婚姻年齢差は1980年に2.6歳だったのが2022年には1.5歳に。割合で見ても初婚で男女が同年齢の割合は1980年が12.8%だったのが2019年には21%にまで上昇しています。
このようにアラサーでの同世代婚が主流になっている現在、リアルにゼクシィを購入する世代のほとんどが30歳前後の同年代カップルの男女であることが容易に推測されます。
こうした実情がある中で未成年の高校生をCMガールに起用するのは現実からかけ離れており、いくらCMというイメージの世界の話だとしても、結婚という人の人生に大きく関わるライフイベントを扱っていることから、今回多くの人がモヤモヤしてしまっているのでしょう。
◆初代ゼクシィガールは13歳で起用されていた
かつては加藤ローサさんや倉科カナさん、吉岡里帆さんや佐久間由衣さんなどが務めてきた歴代ゼクシィガール。
しかし2013年には松井愛莉さんが当時16歳で、2014年には広瀬すずさんが当時15歳でゼクシィガールに選ばれています。
初代の加賀美セイラさんに至っては2001年に当時13歳で起用されました。むしろ最初からゼクシィ側のコンセプトとして未成年の女優やモデルをゼクシィガールに起用する方針があったのだろうと推測されます。
このように中高生の女優もCMに起用することで結婚へのポジティブイメージを伝え、結婚に憧れる若年層を取り込んで行きたいというゼクシィ側の狙いもあるのかもしれません。
◆結婚したくない若者が増えてる現在に…
しかし実際にゼクシィの購買層としては「もうすぐ結婚や結婚式を控えている」という今まさに結婚しようとしている人たちのはずです。そして先述の通り、それは男女ともにアラサー世代。
結婚したくない若者が増えていると叫ばれて久しい現代では、この低賃金や物価高の中で結婚にまつわるお金や出産などの難関をどう乗り越えられるのかという現実的な問題をクリアしない限り若者は結婚に向かわないでしょう。
そんななかで自分と同年齢の女の子がゼクシィのCMでウエディングドレス姿を披露しているのを見て「私も綺麗なウエディングドレスを着たい」、「豪華な結婚式を挙げたい」と思える若者が実際にどのくらいいると言うのでしょうか。
結婚が若者にとって今まで以上にシビアになっており、ジェンダー問題に社会や企業がどう向き合うかも注目が集まる現代。だからこそ今回、ゼクシィは“結婚”という人の人生に大きく関わるブライダル情報誌としての姿勢が問われているのかもしれません。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中