【ワシントン時事】ヘグセス米国防長官は日米防衛相会談後の記者会見で、中国に対する強硬姿勢をむき出しにした。一方で、日本を「模範的な同盟国」と持ち上げ、インド太平洋地域の同盟国との連携強化を図る考えを強調した。
「米国と日本は、中国共産党による攻撃的で威圧的な行動に断固として立ち向かう」。ヘグセス氏は会見で、トランプ大統領が掲げる「力による平和」に繰り返し触れ、中国をけん制した。
さらに「台湾海峡を含む」と明言した上で、「米国はインド太平洋地域で、強力で即応性があり信頼に足る抑止力を維持することに責務を負う」と表明。台湾有事の阻止を念頭に「強固な同盟を構築する」とも言い切った。
日本への配慮も目立った。米メディアがトランプ政権の経費節減の一環で在日米軍の強化中止を検討していると報じる中、予定通り進める方針を公表。人員の増強や必要な権限の付与も明言した。日本側が警戒する防衛費増額を巡っては、「日本が正しい決断をすると確信している」と要求を控えた。
ヘグセス氏は直前に訪問したフィリピンでも、対中国での連携強化を確認したばかり。2月の訪欧時に「米軍の欧州でのプレゼンス(駐留)は永遠ではない」と米軍の関与を減らす意向を示し、欧州の同盟国を軽視する発言を連発したのとは対照的に、インド太平洋では同盟重視を鮮明にしている。
ただ、トランプ氏は中国の習近平国家主席との良好な関係を誇示し、「中国と一緒に何かをやろう。中国との関係は非常に良いものになる」と何らかの「ディール(取引)」の模索を示唆している。トランプ政権の対中戦略が一貫性を欠く中、トランプ氏の「忠臣」ヘグセス氏の中国や日本に対する姿勢が今後変化する可能性もある。