2025年F1第2戦中国GP ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェラーリの無線通信は、今シーズン序盤からしつこく詮索され、かなりの議論を巻き起こしている。しかし、徐々に明らかになってきているのは、スクーデリアのスタッフとドライバーたちの間では多くの内部の冗談が飛び交っていて、ルクレール、ハミルトン、そしてそれぞれのエンジニアたちが何の話をしているのか部外者には理解しにくいということだ。
メルボルンでみんなの注目を集めたのは、ルクレールのエンジニアのコメントだった。ルクレールは、レース序盤にシートがびっしょり濡れていると不満を漏らした。結局それは、ドリンクボトルが開いて中身が彼の背中に広がったためだったが、エンジニアの(ブライアン・)ボッツィは、「おそらく水だろう」とコメントし、ルクレールは、「新たな名言だ」と返した。その後、レースチームがあまりにも見え透いた、あるいは完全に文脈から外れた文章のリストを作っており、それをルクレールが使用した表現である“名言”と名づけていたことが明らかになった。
上海では、ルイス・ハミルトンとレースエンジニアのリカルド・アダミのやり取りが放送局やファンを混乱させた。ハミルトンがスプリントで優勝した後、アダミがサンディエゴについて何度か言及したのだが、これはまた別の内部ジョークだったことが判明した。
フィニッシュラインを越えたとき、ハミルトンは「僕たちはどのあたり?」と尋ねた。アダミはそれに対し、「サンディエゴだよ」と答えた。ハミルトンは笑いながら「本当に? やったね!」と返答した。そしてアダミは次のようにつけ加えた「サンディエゴでよくやったよ、サンディエゴ!」この言葉の正確な意味について多くの人たちは当惑し、中国GPの週末の残りの間、この問題は取り上げられなかった。
しかし、フェラーリに近い情報筋によると、そのやり取りは映画『俺たちニュースキャスター』(Anchorman: The legend of Ron Burgundy)への言及であり、「サンディエゴよ、エレガントなままで」は、ニュースキャスターのロン・バーガンディがニュース放送の締めくくりに使う決まり文句だということだ……。
■中国人の元F1テストドライバー
元F1テストドライバーの馬青華が、中国GPに予想外のゲストとして来場した。この中国人ドライバーは、2012年と2013年のフリー走行セッションに短期間参加した際にパドックにいた数人の人々と再会した。馬は、2012年にHRTのFP1セッションを4回担当し、グランプリの公式プログラムに参加した最初の中国人ドライバーとなった。彼はその翌年に上海で、ケータハムF1チームから最後のレースに出場した。
スーパーライセンスを取得する資格がなかった馬は、その後フォーミュラEに目を向け、レーシングドライバーとしていくつかのイベントに参加し、その後はツーリングカーレースに力を入れて、国際シリーズである程度の成功を収めた。母国に戻ってレースをしている馬は、グランプリの週末に市内に滞在し、パドックに入るためのゲストパスをプロモーターから手に入れ、最終的には地元テレビ局の仕事を少しすることになった。彼らは、母国グランプリのために確保された長時間の放送枠を埋めるために、F1の知識を持つ人材を切実に必要としていたのだ。
■厳格な屈曲規制の影響
FIAは、中国GP直前に導入された厳格な屈曲規制により、F1出場チームの半数が車両のリヤウイングの構造変更を余儀なくされたことを認めた。FIAが認める許容範囲が大幅に縮小されると、パドックでは、どのチームが最も大きな打撃を受けるかということについて盛んに議論が交わされた。レッドブルのスタッフは、マクラーレンのペースの優位性が崩れ、RB21が突如としてフィールド最速のマシンになるだろうと予想していた。
これまでのところ、新しいテストに適合するためにリヤウイング上部フラップのカーボン構造を強化する必要があったことを認めているのはアルピーヌとハースだけだが、上海でのエステバン・オコンとオリバー・ベアマンのペースを考えれば、VF-25がそのせいでパフォーマンスを失わなかったことは誰の目にも明らかだ。中国でFIAのニコラス・トンバジスは、「オーストラリアですでに新しいコンプライアンステストに合格しているチームもある」と説明し、「4、5チームは合格していなかったと思うので、何らかの措置を講じる必要があり、我々はそれらのチームすべてをテストした」とつけ加えた。
しかしトンバジスは、今年さらに厳しいテストが行われる可能性を否定しなかった。また、すべてのリヤウイングが合法になったと確信しているかと聞かれると、「確信というのはかなり大きな言葉だが、今回はこれで十分になると期待している」とコメントした。
[オートスポーツweb 2025年03月30日]