
坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「White Christmas」や「Steppin’out with My Baby」「Blue Skies」など、時代を超えて愛されるアーヴィング・バーリンの名曲の数々と華やかなレビューシーンが本作を彩る。主人公のジム・ハーディを演じる坂本昌行とジムの親友のテッド・ハノーバーを演じる増田貴久に公演への意気込みやミュージカル初共演となる思いなどを聞いた。

−出演が決まったときの心境を教えてください。
坂本 (増田が出演している)作品もバラエティーもよく見ているので、やっときたという感覚はあまりないんですよ。いつも会っているし、何度も共演しているような感覚があります。なので、リラックスして臨めるのかなと思います。
増田 僕は作品の内容を知る前に「坂本くん主演のミュージカルに出ませんか」というオファーをいただいたので、すぐに「出ます」と伝えて。
坂本 断りづらいもんね(笑)。
増田 いや、僕だけしか話を聞いていなかったので、むしろ断るならそのタイミングでした(笑)。でも、坂本くんが主演だと聞いたので、内容も聞かずに出演したいと言ったのですが、後から僕がやったことのないタップのシーンもあると聞いてビビってます(笑)。
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−お互いの印象は?
坂本 (増田が出演している)ドラマにゲストで出させてもらったときに、チームを作る力があると感じました。NEWSではリーダーではないという認識があったのですが、リーダー感がすごく強かったので、人を引っ張っていく引き出しも持っているんだなと。なので、今回、稽古場の空気を作るのは増田くんです。引っ張ってもらいながら、僕は僕の仕事だけをやります(笑)。
増田 それをずっとおっしゃっているんですよ(笑)。なので、初日、みんなの胃袋をつかむ差し入れから始めたいと思います。坂本くんとは、ドラマの現場で1度、ご一緒させていただきましたが、僕はバックでずっと踊らせてもらっていたので、ずっと背中を見てきた感覚があります。一緒にミュージカルを作るのは初めてなので、坂本くんがどういうふうに現場にいるのか、どうやって積み上げていくのかを近くで見られるのがうれしいです。
−お互いに出演作などをご覧になっていますか。もし、ご覧になっていたら感想を聞かせてください。
坂本 近々だと「20世紀号に乗って」を見させてもらいました。バラエティーでもコメント力も瞬発力もあると感じていたので、それを生かした役作りをしているなと。よく「役を自分に寄せるのか」「役に自分を寄せていくのか」というタイプがあると言いますが、増田は役を自分に引き寄せるタイプなのかなと思います。それから、器用。なんでもうまくこなせるんだろうなと感じます。
増田 僕は、「TOP HAT」を見させてもらいました。坂本くんがステージの真ん中にいるだけでピリッとするなと感じました。スタイルもきれいで立ち姿もかっこいい。歌もダンスもうまい。今回、ミュージカルで共演させていただけるというので、僕の周りの人たちからも「坂本くんの舞台に出るんですね」とすごくよく声をかけてもらうんです。それくらい大きなことなんだなと思います。
−今回、坂本さんはショービジネスの世界を引退して農場経営を営むジム・ハーディ役、増田さんはハリウッド進出を目指すステージ・パフォーマーのテッド・ハノーバー役です。それぞれの役にどのくらいハマっていると思いますか。
坂本 僕は自分を役に投影したり、役に近づいていく方で、こういうせりふが出た理由は何なんだろうと考えて役を作っていくので、ハマる、ハマらないというよりは僕自身が染まるというイメージです。
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増田 僕はそもそもスターの役なので、役作りはほぼいらないかなと思っています(笑)。
−なるほど。では、坂本さんは増田さんのテッド、増田さんは坂本さんのジムについてはどんな印象がありますか。
坂本 テッドは一見すると自分の意見を押し通して歩んでいるように見えるけれども、実は周りを自然と幸せにしたり、勇気づけたりするタイプの役だと思います。誰かに気を遣って話しているのではなく、自然と話している言葉が人を勇気づけたり、笑顔にさせる。なので、ぴったりだと思います。稽古もいらないんじゃないかな(笑)。
増田 ぶっつけ本番でいきます(笑)!
−増田さんから見た坂本さんのジムはいかがですか。
増田 ジムはテッドのことを親友だと思っているというせりふがあるので、その関係性がポイントになるのかなと思います。僕自身は、友達のことが大好きだと思っていてもあまり「親友」という言葉は使わないんですよ。この人とは一生、大切な関係を築いていく友達だと思う友人がいても、それがイコール「親友だ」というワードにはならない。でも、ジムは「親友だ」と言ってくれるので、その関係性が見えるように演じられたらと思います。
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−お二人の関係性づくりはこれから?
増田 プライベートでは(坂本と)仲は良いですが、これからの期間で役としても深めていきたいと思います。
坂本 …いや。
増田 「いや」はおかしいじゃないですか(笑)。
坂本 プライベートでは会ったことはないので。
増田 連絡先もこれから交換していきたいと思います(笑)。
−最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
坂本 古き良きアメリカのミュージカル作品だと思います。それをこの令和の現代に初演でできるということはわれわれも非常にワクワクしていますし、何よりもこの音楽を皆さまに届けられることが幸せです。すてきな音楽を聞いて笑顔になって、幸せになって帰っていただけたらと思います。
増田 僕がコロナ禍に「ハウ・トゥー・サクシード」という作品をやらせてもらったときに坂本くんが見に来てくださって、「落ち込んでいる時代だからこそ、コメディーでポップな作品があるのが良いよね」と言ってくださったのを覚えています。僕自身も観劇している3時間が、「今年1番楽しかった時間」だと思っていただけるような作品を作りたいと思っています。ジュニアの頃からずっと坂本くんの背中を見させてもらってきて、こうして共演という形で同じステージで歌ったり踊ったりするのは初めての経験なので、後輩として、1人の役者として、成長を見せられるようにしっかり頑張りたいなと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
ミュージカル「ホリデイ・イン」は、4月1日〜16日に都内・東急シアターオーブ、4月22日〜5月1日に大阪・SkyシアターMBSで上演。
