
【写真】専業主婦の詩穂を演じる多部未華子
本作は、2019年にドラマ化された『わたし、定時で帰ります。』の著者・朱野帰子が描く新たなお仕事小説をドラマ化。専業主婦になることを選んだ村上詩穂(多部)が、ひょんなことから働くママや育休中のエリート官僚パパなど“対岸にいる人たち”と出会い、交流していく姿を描く。
本作への出演オファーを受けた多部は、「子どもを持つ専業主婦という、これまであまり演じる機会のなかった役柄だったのでオファーをいただいてうれしかったです。こういう役をやりたかったと思っていましたし、自分にとって新境地だなと感じました。今の時代に専業主婦が主役というのは新しいですよね」と話す。
さらに「原作を読んだ最初の感想は『共感することが多すぎて、ドラマで描けるのかな?』でした。それくらい日常生活で起こる子育ての小さな悩みや家事の悩みなど、とてもリアルに描かれているんです。脚本では、そういったリアルな悩みの数々をポジティブに前向きに捉えられるように後押ししてくれるストーリーになっています」と語った。
詩穂を演じる中で、役柄に対する印象が変わったことを聞かれ、「私は専業主婦ではないので、仕事があると子どものことは旦那さんに任せることが多いのですが、仕事がない時は子どもと一緒に過ごしたり、家事をしたりしているので、詩穂の専業主婦ぶりについては特段理解できないことはなかったです」と明かす多部。
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詩織に対して共感したところを聞かれると「子育てをしているママたちとつながりたいという思い。私も妊娠中から子どもが0歳くらいの頃は特に感じていたことなのですが、ずっと家にこもっていると話し相手がいないんです。なので、私は自分の子どもと同じ月齢の子どもを持つママのつぶやきをよく見ていました。『なんでこんなにミルクを飲んでくれないんだろう』と思ってつぶやきを見てみると同じ思いをしている方たちがいますし、夜中の3時に起きてしまったら同じように子どもに起こされている方たちがいて。それを見るだけでも1人じゃないと思えるんですよね」と明かす。
そして「『働くママとは話が合わない』『専業主婦は生きづらい』というつぶやきを見て、この作品がそんな方々にも届けばいいなと思いました。最近子どもを産んだ友人にも、ぜひ見てもらいたいと感じるほど。今まさに子どもと向き合っている方に届いてほしいです」と語った。
また、実際に子育てをする中で、想像と違ったことを聞かれ、「全部違いますね。想像以上にどれも大変です。1人の人格を育てるにあたって、何が正しいのか間違っているのか分からないまま、手探りで進む毎日です」と回答。
「自分たちの家族なりの答えを見つけなくてはなりませんが、それが世間からずれているかもしれないし、合っているかもしれないし。だから、子育てに『分かった』と思えた瞬間は一度もないんです。栄養の与え方から何から何まで、本当に分からないことばかり。経験者に相談をしたり、YouTube動画を参考にしたりすることもありますが、それでもやっぱり分からない。でもそれ以上に子どものかわいさが上回るんです。こういった感情になったのも初めてですね」と続けた。
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■子育てで感じる“孤独”に共感 1話では「誰にも話せない心境を全て吐露しているように感じました」
自分の子育てとドラマでリンクするシーンについて、多部は「1話で働くママ・長野礼子さん(江口のりこ)と詩穂が対峙するシーンがあるのですが、両方の気持ちがすごく理解できました。2人が『世界からすごく孤独』だと感じる場面は、決して大げさではなく、私も本当に孤独を感じることがあります。それは、子どもとずっと向き合っている時間でも、礼子さんのように職場での居場所がないと感じる時でも同じです」とコメント。
「このシーンの2人のセリフは、私にとって非常に重く、誰にも話せない心境を全て吐露しているように感じました。このドラマにはそのようなシーンが多いのですが特にそのシーンは印象に残っています」と明かした。
また、ドラマ『これは経費で落ちません!』(2019年/NHK)以来となる江口のりことの共演については、「私は江口さんのテンションが大好きです。この現場では、長野家の末っ子・星夏ちゃん(吉玉帆花)を抱っこひもでずっと抱っこしているので、あまり積極的に話しかけないようにしているのですが、『抱っこひもが苦じゃない』と言っていて驚きました。私は腰が痛くなるから苦手だったのですが、本当に平気そうなんですよね。今度、本音を聞いてみます」と語った。
そんな多部演じる詩穂は、ディーン・フジオカ演じる育休中のエリート官僚パパ・中谷達也と対立していく役どころでもある。ディーンとの共演については「ディーンさんはお会いする前からとてもカッコいいなと思っていましたが、実際も変わらずカッコいい方です。中谷のようにフラットで、あまり波がない感じがします」と印象を述べ、「現場でまだ3人のシーンが少なく、江口さんとディーンさんのお2人が話している姿を見ていないので、どんな会話をするんだろうと興味があります」と期待を寄せた。
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また、娘・苺役の子役・永井花奈とのコミュニケーションについて、「アニメの話をすることもありますし、この間、花奈ちゃんから絵をプレゼントしてもらったので家に飾っています」と明かした多部。
「ですが、まだ距離感を模索中です。親子役なのでなあなあになってもいいとは思うのですが、1人の役者として接することも大事なのかなと思って、そのあんばいが難しいと感じています。花奈ちゃんはすごくしっかりしていてパワフルですね。他の子役の子もみんな元気いっぱいで一生懸命頑張っていますよ。しっかりと演技をする時は演技して、遊んだり、時には泣いたり。子どもらしい一面もたくさんあるので、どうやってバランスを保っているのか気になりますし、きっとご両親も大変なんだろうなと思います」と語った。
そして多部は「より多くの方、特にたくさんのご家族に届けたいと思いながら、作品に取り組んでいます。家族の形や価値観、子どもとの向き合い方、夫婦の関係などは人それぞれ違います。そんな中で、ひとつの言葉やシーンが誰かの救いになったり、共感を生んだり、家族で話し合うきっかけになればうれしいです」とメッセージを。
「人生を大きく変える作品ではないかもしれませんが、小さな一歩を後押しするようなドラマになればと思いながら撮影しています。明日からも『私たちなりに頑張ろう』と思える作品になれば幸いです」と言葉を寄せた。
ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』は、TBS系にて4月1日より毎週火曜22時放送。