今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

1

2025年04月01日 15:50  エンタメOVO

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

エンタメOVO

ヘアメイク/渡嘉敷愛子 スタイリング/小蔵昌

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語だ。暢さんをモデルにした主人公・朝田のぶを演じるのは、3365人の中からオーディションを経て抜てきされた今田美桜。放送開始を前に、撮影の舞台裏や意気込みを語ってくれた。




−昨年9月のクランクインから半年が経った今のお気持ちはいかがですか。

 「もう半年?」と思うくらいあっという間で、今ではのぶを演じることが、生活の一部になっています。普段、テレビドラマや映画の撮影をしていると、少なからず緊張感があるのですが、今回はとてもナチュラルに毎日、のぶになれている気がしています。そんな充実した毎日を過ごせているのは、ほかのキャストやスタッフの皆さんのおかげです。

−暢さんをモデルにした主人公・朝田のぶを演じるにあたって、どのような準備をしましたか。

 やなせたかしさんに比べ、暢さんの資料は少ないのですが、やなせさんが書かれた本に、ときどき暢さんのことが出てくるんです。そこから、懐が深く、柔らかさと強さを持っていらっしゃる方だな、という印象を受けました。また、やなせさんが撮影した暢さんの写真もたくさん残っているので、そこに写っているやなせさんに向けた暢さんの笑顔なども参考にさせていただきました。やなせさんに見せる暢さんのそういう柔らかさや強さを備えつつも、この作品ののぶと嵩は幼なじみという設定なので、対照的な性格の嵩を明るく引っ張っていくのぶでありたいと、想像を膨らませながら演じているところです。

−主人公のぶはどんな人物でしょうか。

 “はちきん(「元気のいい女性」を意味する高知の言葉)おのぶ”や“いだてんおのぶ”などと呼ばれ、男勝りで元気いっぱいな女の子ですが、同時にとても感情豊かで、人の悲しみにもちゃんと向き合うことができる人です。そこがのぶの魅力です。

−暢さんとやなせたかしさんの出身地・高知県でも撮影されたそうですね。

 高知県でクランクインしましたが、そのとき、撮影のために地元の皆さんが広大なソバの実の畑を作ってくださったり、たくさんの差し入れをしてくださったりしたんです。初めて訪れたにもかかわらず、そんなふうに歓迎していただき、高知県の方々の温かさを感じました。きっと暢さんとやなせさんも、そういう環境で育ったからこそ、みんなに愛される温かな作品が生まれたんだろうなと感じました。そういう高知県の皆さんの温かさを東京に持ち帰るような気持ちで、今は撮影に臨んでいます。高知県でスタートすることができ、本当によかったです。







−高知県の「やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム」も訪問されたそうですね、

 「アンパンマンミュージアム」には二度伺いました。どちらの日も親子連れでいっぱいで、改めて『アンパンマン』という作品が幅広い世代に愛されていることを知り、「あんぱん」もそういう作品になれたら…と思いました。やなせさんの作品の貯蔵庫も見学させていただきましたが、スタッフの方が楽しそうに案内してくださる様子からも、やなせさんのお人柄がうかがえ、演じる上で参考になりました。

−のぶは土佐ことばで話しますが、練習はいかがでしたか。

 最初は土佐ことば指導の先生が、練習用の音声データを用意してくださったのですが、それを聴くだけでは不十分と感じ、1カ月くらい経った頃から、撮影の合間にも先生のご指導を受けるようにしました。そのうち、徐々に耳が慣れ、理解できるようになっていきました。ただ、今でも発音の難しい言葉はあるので、そんなときは北村さんに相談すると、すぐに似た発音の単語を探してくれるので、それを参考に練習しています。嵩を演じる北村さんには、土佐ことばのせりふはないので、申し訳ないと思いつつ…(苦笑)。北村さんの優しさに、いつも助けられています。

−嵩役の北村さんとは6度目の共演とのことですが、今回の共演はいかがですか。

 今回は、幼なじみから夫婦になるという距離の近い関係なので、相手役が北村さんで安心しています。北村さんは現場を俯瞰(ふかん)で見ていて、困っている人がいると、すぐに助けてくださるんです。その点は嵩と通じるものがありますし、そういう北村さんが一緒だからこそ、私も肩の力を抜いて、リラックスして演じることができています。お芝居に関しても、2人で細かい話をすることはありませんが、北村さんにはどんな球を投げても受け止めてくれるという信頼感があるので、私も変に遠慮することなく、のびのびとお芝居をさせていただいています。

−のぶと嵩の関係については、どんな印象をお持ちでしょうか。

 のぶと嵩のように、いろんなものを乗り越えて分かり合える関係は、とてもうらやましいです。第1週で、のぶがおとなしい嵩に「うちが守っちゃる」と言葉をかける場面があるので、最初はのぶが引っ張っていくようにも感じますが、実はそれほど一方通行という関係でもないんです。嵩がいるからこそ、のぶが強くなれる部分もありますし、のぶが困ったときは、嵩がさりげなく手を差し伸べてくれることもあって。そんなふうに、性格は正反対でも支え合える関係はすてきだなと。

−本作を通じて、『アンパンマン』という作品に対する印象は変わりましたか。

 『アンパンマン』は、私も子どもの頃から大好きな作品で、『アンパンマンのマーチ』も、いつの間にか口ずさんでいたほどです。子どもの頃は内容について深く考えていたわけではありませんが、今回、演じていく中で、やなせさんが「生きる喜び」など、作品を通じていろんなことを伝えようとしていたことに気付かされました。そんなふうに、大人になってから見ると新たな視点で捉えることができますし、「子どもも大人と変わらない人間だから」と語ったやなせさんの言葉からも、子ども向けだからといって手を抜かなかった姿勢がうかがえ、改めて感銘を受けました。『アンパンマン』がこれほど長く、多くの方に愛される理由はそんなところにもあるのかなと思います。

−それでは最後に、放送開始に向けた意気込みをお聞かせください。

 半年間、毎朝多くの方がご覧になる作品の主人公を演じさせていただける喜びをかみ締めながら、責任感を持って臨みたいと思っています。この作品をどのように受け止めてくださるのか、期待に胸を膨らませつつ、少しでも皆さんの心を温かくできたら…と願っています。応援よろしくお願いします。

(取材・文/井上健一)


もっと大きな画像が見たい・画像が表示されない場合はこちら

    ニュース設定