
昨年7月に#ババババンビを卒業した水湊美緒(水湊みおから改名)の出演する音楽劇『NINETEEEEN GRRRLZ'99』が4月3日に開幕する。これまで水湊はゲスト出演した経験はあるが、本格的な舞台出演は初。女優転身の一歩を踏み出した。
念願の武道館ライブ直後に活動休止。そして、そのままアイドル卒業となった水湊。「アイドルしかやりたくない人生だった」と話す彼女は、なぜ女優への転身を決めたのか。アイドル卒業の苦悩や女優を目指したきっかけ、そして今作への意気込みを聞いた。
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――昨年、体調不良によって#ババババンビを卒業となったわけですが、改めてその時の心境を教えてください。
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水湊 申し訳ないなという気持ちが大きかったですね。グループ結成から武道館をずっと目標にしていました。自分の中でとてつもなく大きくて、絶対に忘れられない日でした。それで卒業しようなんて決めていませんでした。
だから活動休止して、グループに復帰もできずに急きょ卒業することになってしまって、ファンの方を不安にさせちゃっただろうなと......。卒業ライブもできなくて、ホントに申し訳なかったですね。
――水湊さん自身、ずっとアイドルに憧れていたそうですが、またアイドルになろうとは思わなかったんですか?
水湊 それは思いませんでした。体調の心配もありますけど、そもそもバンビに所属した時に最初で最後のアイドルにしようと思っていたんですよ。
小さい頃からアイドルになりたくて、でも何度も何度もオーディションに落ちまくって......。アイドルがやりたい、アイドル以外やりたくないっていう人生だったから、ここでやりきろうと思ってたので、次を考えることはありませんでした。
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――強い覚悟でアイドルになったんですね。
水湊 またアイドルをやりたい気持ちがなかったわけではないんですけどね(笑)。
でも、アイドルを応援する気持ちって「夢を叶えて欲しい、大きくなって欲しい」という願望が根底にあると思うんですよ。だから、また私がアイドルになったとして、ファンの方は純粋な気持ちで応援できるかな、昔と同じ熱量で応援してくれるかなとか考えると、やっぱり違うのかなって。
――正解は人それぞれだと思いますけど、アイドルを愛してきて、そこに到達したわけですね。
水湊 アイドルプロデュースとか、裏方としてアイドルにかかわることも一瞬考えたんですよ。これまでの経験も活かせるかもしれないし、なにより楽しそうですし。
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でも、今しかできないことってなんだろうと思った時に、もうちょっとみんなの前に立ちたいと思ったんです。
たぶん、あんなに楽しいことって人生でないと思うんです。ライブで大勢の歓声とスポットライト浴びるって、すごいアドレナリン出るし、一度知ったら戻れないくらいの経験なんですよ。
――たしかにアイドルと女優、表現は違えどステージに立つのは同じですね。
水湊 そうなんです。バンビの頃も、演技レッスンやワークショップに参加したり、他のメンバーの演技を見たりしていて、女優さんっていいなとも思ってはいたんですよ。でも、その時は明確に演技をやりたい!という気持ちはありませんでした。
活動休止の間、私って何が好きだったのか、何がやりたいのか、ずっと考えてたんです。だから舞台を通してもう一度皆さんの前に立ちたい。ファンの方を不安にさせたまま終わるのは考えたくないっていう気持ちがすごくあることに気付いたんです。
――さっきの「みんなの前に立ちたい」は、自分のためでもあり、ファンのためでもあったんですね。
水湊 ひとりで映画を観に行ったり、小説を読んでて私も出たいなとか徐々に思い始めたのも、同じタイミングでした。特に活動休止中にちょうど『六人の嘘つきな大学生』が公開されてたんですよ。原作の小説が好きなんですけど、映画を観て、私も出てみたいなと思いました。
――とはいえ、新しい世界への挑戦。アイドルから女優になって、芽が出ないことも少なくないのが現実です。その不安は?
水湊 めっちゃあります。まず子役からやってる俳優さんも多い中、今からできるのかと思いました。それに今回共演する元E-girlsの(山口)乃々華ちゃんなんて、年齢は一緒なんですけど、みんなをまとめたり、私に「こうしたほうが、周りを巻き込む感じが伝わるよ」とか細かくアドバイスをくれるんです。他の共演者のコたちも、経験が違うから当然ですけど、みんなすごくて......。
あと、これはアイドルのいい所でもあるんですけど、アイドルは未来が決められているんです。1年後のライブとかリリースのスケジュールとかがあって、そこに向けてやることをやればいい。そういう意味で、焦燥感はあったけど、明日どうなってるかわからないみたいな不安はあまりなかったんです。
でも俳優は、次に仕事があるかわからないし、ひとりだから何かあっても私自身でカバーするしかない。今までのファンの方もアイドルが好きで応援してくれてる人も多いので、やることが変わったらどう捉えるんだろうとか。新しいアイドルが出来たらそっちに行く人もいるだろうし......。とにかく不安だらけですよ。
――ずっと笑顔でインタビューを受けてくださっているので、そんなに不安が出てくるとは思いませんでした。
水湊 ......それも課題なんですよ〜。自然とアイドルっぽい喋り方しちゃうんですよね。セリフの語尾が下がってしまって、役に合わない時があるので、稽古で直しました。
あとは顔、それこそ笑顔。これはさすがに演技中は出ないですけど、女優さんっぽくなれない。
バンビの時にフルマラソンを走ったんですよ。それを見たファンの方に「あんなに疲れてるのに笑顔でいてくれてありがとう」って言われたんです。ファンの方を見ると無意識にニコニコしちゃうんです。女優さんってクールな感じだったり、愛嬌満載!って感じではないじゃないですか。本当はそうなりたいんですよ。
――笑顔は"アイドルあるある"ですね(笑)。逆に女優になると決めるにあたって、自身の強みみたいなものはあったんです?
水湊 稽古で声を褒められることがすごく多いです。演出家の山崎(彬)さんから「舞台映(ば)えがすごいね」と言われたり、初めてだと伝えたら驚かれました。度胸があるんですかね?(笑)
――それはアイドル経験が活きたということですか?
水湊 う〜ん、どっちなんでしょう......。ダンスとか歌の表現自体は得意なのかなと思ってるんです。でも、アイドル時代はあんまり歌を褒められたことはなかったんです。
今回舞台用に歌い方を変えて練習したら、「ハスキーな息の多い声がいいよ。地声と近い歌声がすごく魅力的だから、磨いていくといいよ」と言われたので、経験と練習の両方がうまくかみ合ったのかもですね。今まで高い声が自分の魅力だと思ってたんですけど、新しい発見でした。
――声で印象付けられるのは、いい個性ですね。
水湊 あと今回だけですけど、"動き"ですね。私が演じる役は、何をするか想像つかない奇天烈(きてれつ)なキャラクターなんですよ。ファンの方は知っていると思うんですけど、私って動きが変なんです。走るだけでも変な感じがにじみ出ちゃうんです。
山崎さんは「100億倍やりな」っていうくらいオーバーにしないと舞台では伝わらないので、苦戦しているんですけど、素質はあったのかなと。
それに、稽古2日目に動きが変なことがバレて、山崎さんがツッコんでくれたおかげで、共演者のみんながイジってくれるようになりました。みんな初対面だったので、打ち解けやすくなって、そういう意味でも良かったです(笑)。
――今作は、キャストがすべて同年代の女性ですけど、どんな雰囲気なんですか?
水湊 すごい仲が良くて、休憩中はずっと喋ってます。みんなで稽古のあとにご飯に行ったり。乃々華ちゃん、まりゑさん、(倉持)聖菜さんとは「鍋パ」するんですよ! あと、みーたん(長月翠/元ラストアイドル)とか元アイドルのコもいるので、「いつぐらいからやろうと思ったんですか?」とか、「1本目からそんな上手なんですかとか?」とかいろいろ質問してます。
――和やかないい環境で、本番もうまくいきそうですね! 最後に今作の見どころと、ご自身の女優としての目標をお願いします。
水湊 今回の作品は、歌唱劇で90年代のメロディがたくさん使われていて、観客の方も巻き込んだ演出もあるので、すごく楽しめると思います! あと、私の役は舞台上をずっとくるくる走り回っているようなキャラクターなので、頑張ってるな〜と思っていただけたらうれしいですね(笑)。
女優としての目標は......アイドル時代を知らない人に知ってもらったり、名前聞いたことあるなって思ってもらえたら一人前なのかなって思うんですよね。まだ始めたばかりで、ゆくゆくは代表作にできたりしたらうれしいけど、まずは目の前の役を一生懸命演じて、実力や魅力を身に着けることで、世間のみなさんに"女優・水湊美緒"を知っていただきたいです。
●水湊美緒(みなと・みお)
1997年6月10日生まれ 福岡県出身
身長162cm
2020年の結成時から24年7月まで#ババババンビに所属。3月に放映されていたドラマ『純喫茶つながり、閉店します』(テレビ愛知)に出演
公式X【@_mm_meow】
公式Instagram【@_mm_meow】
●SAKURACROSS PROJECT『NINETEEEEN GRRRLZ'99』
1990年代のメロディをふんだんに使い、当時の空気感を蘇らせた"世紀末デタラメ音楽劇"。オーディションで選ばれた12人の女性キャストが「結局終わらずもう一度繰り返されることとなった世界を、ガルルと唸りながら生き抜く」物語。
脚本・演出/山崎彬
出演/山口乃々華 水湊美緒 小山内花凜 長月翠 北野瑠華 木村彩音 月山鈴音 杉浦しづき 窪真理チャカローズ 中沢のあ 倉持聖菜 まりゑ
期間/2025年4月3日(木)〜13日(日)
会場/六本木トリコロールシアター
詳細は公式サイトにて【https://www.meijiza.co.jp/others/2025_04_01/】
取材・文/鯨井隆正 撮影/五十嵐和博