26歳の平祐奈が“11歳からの芸能生活”を振り返る。姉・平愛梨の“独特な演技指導”が追い風に

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2025年04月03日 16:31  日刊SPA!

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平祐奈
11歳のときに是枝裕和監督の『奇跡』のオーディションに合格して女優デビュー。26歳にして芸歴15年目となる平祐奈さん。
最近では橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説『おむすび』での好演も光った。そんな平さんが久保史緒里さんとW主演を務める映画『ネムルバカ』が公開中。

『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの阪元裕吾監督が、同名の青春コミックを実写映画化したシスターフッドものだ。大学の女子寮で同じ部屋に住む後輩・入巣(久保)と先輩・ルカ(平)の日々を見つめた本作。

「自分らしさを見つけよう」ともがく大学生を演じた平さん自身が、「何をしたらいいんだろう。何をするべきなんだろう」を自問自答した日々を振り返った。また、姉・平愛梨との関係や、縁を感じた舞台『奇跡の人』への思いも口にした。

◆厳しいことで有名な母。初の金髪への反応は?

――インディーズバンドのギター&ヴォーカルとして、夢を追いかけているルカを演じました。原作通りの金髪姿を披露していますが、平さんの家は厳しいルールがあったことが知られています。二十歳になるまでは、炭酸飲料やコーヒーが禁止だったり、眉毛を整えることも禁止だったり。以前、作品で茶髪になったとき(映画『honey』2018)もお母さまの許可取りが必要だったとか。今回はそれを上回る金髪です。

平祐奈(以下、平):母を含め、家族みんな「え?」とビックリしていましたけど、もう仕事だと分かっているので。私は6人兄弟の末っ子なんですが(兄が4人、姉は14歳年上の平愛梨)、最近は母より兄のほうがいろいろ言ってきます。なので今回は金髪にするとは言わずに、先に金髪にしてから見せました。

――反応は。

平:ちょっとビックリさせようという気持ちもあったんですけど、意外と「そういう役なの?」という感じでした。一回、茶髪をやっているのが大きかったのかなと。

ほかにもいろんな役をやらせていただいてきたので、家族もだいぶ受け入れ態勢です。それより私が帰ってくるとずっと部屋でギターや歌の練習ばかりしているから、「アーティストを目指すの?」と思っている感じでした(笑)。

◆触ったこともなかったギターは、ひたすら練習するのみ

――平さんが歌が上手なのは、これまでの役でも知っていましたが、今回もステキでした。ただ、ルカのインディーズ時代の歌と、レコード会社から連絡があった後の歌ではまったくテイストが違っていましたね。

平:歌、全然上手くないです。特にタイトルにもなっている「ネムルバカ」と、最初に歌っている「脳内ノイズ」はめちゃくちゃ高音だし速いしパンキッシュな感じで、本当に難しかったです。もう一方の曲調のほうがまだ馴染みはありましたけど、やっぱり高いキーで、大変でした。

ただルカがライブハウスで歌うときは、緊張とかじゃなくて、「私が発散できるところはここなんだ」と、ルカとして普段の感情を爆発させるつもりでやれたので最高でしたね。「やりたいことはこれなんだ」という熱い気持ちがありました。だけど頭をガンガンに振るので、クビが痛くてムチ打ちみたいになりましたけど(笑)。

――(笑)。ギターにも挑戦しました。

平:ずっと苦戦してました。それまでギターに触ったこともなかったので、全然できる気がしなかったんですけど、スケジュールが決まっていたので、とにかくコピーして、ひたすら練習するのみでした。

◆一見、対照的に映る入巣とルカだけど

――入巣とルカの空気感がとてもよかったですが、石黒正数さんの原作が描かれたのは10年以上前です。

平:今読んでも全く違和感がないなと。夢を追いかけているルカと、夢がない入巣。

どちらも必死に生きているふたりの日常生活が描かれていて、誰もが通る道だな、共感できるなと感じましたし、一見、対照的なふたりと思いきや、心の底にあるものは共通しているんだろうなと感じました。だから一緒にいて違和感がないし、お互いを補いながらバランスを取りあっているんだろうなと。

――“共通”していることというのは。

平:お互い、自分に自信がないんですよね。入巣は「どうしたらいいんだろう」と口に出して言うタイプ。ルカはやりたいことは明確にあるし、そうは見えないかもしれないけれど、「自分には才能がないのだろうか」と日々もがいている。

そしてお互いに、気づいてはいないかもしれないけれど、お互いのいいところを認め合っている。そこがまたいいなと思いました。

◆自分はルカタイプだけど、友達の悩みは身近だった

――田口(綱啓永)と伊藤(樋口幸平)を含めた同世代4人のシーンでの「やりたいことがある人(ルカ)と、それがない人(入巣)。そのほかに何をやったらいいのか分からない人が8割いる」との会話に、共感する人も多いと思います。平さん自身は、どんな大学生活でしたか?

平:私自身は11歳からこの世界に入って、ずっと夢を追いかけてきました。なのでどちらかというとルカの気持ちのほうが共通する部分があると思います。

大学生活は仕事をしながらだったので、苦労というなら、卒業するにはどうしたらいいか、「卒論どうしよう」といったものでしたね。お友達や友達とのキャンパスライフは楽しめました。

――周りのお友達で悩んでいる人は?

平:いました。私、大学最後の1年間がコロナ禍でのリモート授業だったんです。みんなが就職活動を始める時期からコロナ禍になって、学校に行けなくなってしまった。

「どうしたらいいの」と悩んでいる子は本当に多かったです。やりたいこと、行きたい道があるのに行けなかったり、進んでいたのに、またイチからスタートしなければいけなかったり。そういう子はたくさんいました。

◆自分は何をしたらいいんだろうと自問自答した日々

――芸能界もそれまでと違う状況におかれました。

平:そうですね。撮影が延期になったり、全くなくなってしまったり。緊急事態宣言のあった丸1カ月、外に出られなかった。そんなこと初めてでした。みなさんそうだったと思います。

あの時期、人生で初めて自分自身とちゃんと向き合って自問自答しました。「何をしたらいいんだろう。何をするべきなんだろう」と考えて、「私は普段からエンタメの力に救われているし、自分もその立場でありたい」と強く思いました。

――ご家族ともリモートでやりとりされていたのでしょうか。

平:普段は母と住んでいるのですが、緊急事態宣言の直前にちょうど母が実家に帰っていて、戻ってこれなくなったので、本当に家でひとりになりました。丸1カ月間もひとりきりになったことなんてありませんでした。普段は家に帰ったら喋る相手が必ずいましたから。

寂しくなってるウサギさんみたいで、どうしていいか分からなくて、最初はすごく戸惑っていました。でもその時間があったから、自分を見つめ直したり、やるべきこと、やっていきたいことを考えることができました。

◆久保とはプライベートでもよく会う仲に

――これまでひとりでいることはなかったとのことですが、親御さんや6人兄弟という環境で育ったことは、人間関係を築いていくうえで影響していると感じますか?

平:そうですね、感じます。私は兄弟がみんな年上です。一番上が19歳上で、一番近くても8つ上。なので、年上の方と打ち解けられることが多いです。今回、同年代のしーちゃん(久保)と、プライベートでもよく会うくらい仲良くなれたのは、かなり珍しいことでした。

――久保さんとは、どうしてそんなに仲良くなれたのだと感じますか?

平:しーちゃんが人見知りなので、初対面のときはまさかここまで仲良くなれるとは思っていませんでした。でもルカと入巣が先輩後輩の関係だったので、撮影期間もずっと先輩後輩の関係性でいられました。いつもの私は、そんなに役に引っ張られることはないんですけどね。

でも今回は入巣のことが大切で、「この子を守らなきゃ!」みたいな気持ちがあって、現場にいる間、ずっと強くいられたんです。しーちゃんが「私が現場で困っているとき、自然と声をかけてくれた」と言ってくれているんですけど、それもルカだったからできたんだろうなと。

馬が合ったことはもちろんですが、仲良くなれたきっかけは最初に先輩モードになれていたからだと思います。

◆平愛梨は姉、友達、お母さん。そして芸能界のよき先輩

――普段の平さんは妹タイプなのでしょうか。お姉さんの平愛梨さんとの関係性は。

平:姉とは14歳離れているのですが、周りからは私のほうが「お姉ちゃんみたいだね」と言われることが多いです。まあ、姉がああいう感じの人なので(笑)。もちろん姉だし、でも友達みたいな、時にお母さんみたいにも感じられる相手です。

――芸能界においては先輩です。そうした相談事は。

平:最初の頃は特にめちゃめちゃ心強かったですし、今でも仕事先のスタッフさんやキャストさんから、「以前、お姉ちゃんとご一緒しました」と声をかけていただいて、そこからコミュニケーションが生まれることもあります。

姉は10年先輩で、そのおかげで私ものびのびとこうしていられると思っています。本当にありがたいです。

◆姉から受けた独特な演技指導

――かつてお芝居の練習の際に、愛梨さんが美内すずえさんの名作少女コミック『ガラスの仮面』の月影先生のように「仮面をつけるのよ!」と指導してくれたというのは本当ですか?

平:本当です(笑)。

――それは10代の妹に教えるには、そうした方法がいいと思ったのか、それとも愛梨さんが……。

平:完全に姉が『ガラスの仮面』を好きで、月影先生をやりたかったからです。ドンピシャの世代で、好きで何度も見ていて、姉の中で「やっぱり女優といえばこれ!」というイメージがあるのだと思います。

でも役に入るときに「仮面をかぶるのよ」と思うのは、自分も通った道です。それに、そういう練習をしていたら、実際に初舞台で(『ガラスの仮面』のエピソードに登場する)『奇跡の人』のヘレン・ケラーの役をいただいたんです。

◆鈴木杏、高畑充希も演じたヘレン・ケラー役に抜擢

――そうですよね!

平:「『ガラスの仮面』に出てきたヘレン・ケラーの役が来た!お姉ちゃんが言ってたやつ!」とすっごく嬉しかったです。あれはちょっと不思議な縁を感じました。

――舞台『奇跡の人』というと、鈴木杏さんも高畑充希さんも、ヘレンを演じたのち、アニー・サリバン役を務めました。今後、サリバン先生もやりたいとは。

平:めちゃくちゃ思います。ヘレンを演じていても思いましたが、サリバン先生もやっぱりすごい人なんですよね。めげずに諦めずにヘレンを育て上げた。

サリバン先生にもコンプレックスみたいなものがあったからこそ、ヘレンと共鳴できる部分があったのだと思うのですが、私のときにサリバン先生を演じた高畑さんを見ていても、以前にヘレンを経験していたからこそ生きるものがあるのだろうなと近くで感じました。

私もいつかはサリバン先生ができたらいいな、それくらいの器を持てる人、女優になれたらいいなと思っています。

◆正解がない物語だからこそ想像力を膨らませてほしい

――ぜひ楽しみにしています。最後に、改めて公開中の『ネムルバカ』にひと言お願いします。

平:ルカと入巣の日常に入っちゃったみたいな感覚で入り込んでいける作品だと思います。登場人物のキャラが濃くて、刺さる言葉も多いので、男女年齢問わず共感してもらえると思います。正解はない物語だと思いますが、だからこそ、観る方の想像力で膨らませていただけたらと思います。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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