2025年F1第3戦日本GP FIA会見 角田裕毅(レッドブル) 2025年F1第3戦日本GPの木曜日に行われたFIA会見には、第1部にリアム・ローソン(レーシングブルズ)、第2部に角田裕毅(レッドブル)が出席した。そして驚くべきことに第2部では、同席したシャルル・ルクレール(フェラーリ)やニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)を差し置いて、ほとんど角田だけに質問が集中したのだった。
これまで歴代日本人F1ドライバーのほぼすべての会見に出席してきたが、たとえ彼らが表彰台を得た直後の会見でも、ここまでのことはなかった。開幕からわずか3戦目でのトップチームへの抜擢という劇的な経緯、そして何より角田なら何かやってくれそうだという期待が、これだけの注目を呼んだということなのだろう。
まずはレッドブルに移籍が決まった経緯について、質問が飛んだ。
Q:中国GP以降、どんな道のりを歩んできたのでしょう。具体的に誰から電話があって、その時あなたはどこにいましたか?
角田:「具体的なことは言えませんが、最初に電話を受けたのは、中国GPが終わったあとの月曜日か火曜日です。(レッドブルの)クリスチャン・ホーナー代表からでした。『少し状況が変わるかもしれないから、覚悟しておいた方がいい』と。僕はすでに鈴鹿の準備のためにイギリスにいて、それで急遽レッドブル・レーシングのシミュレーターセッションをすることになりました。その後、(ホーナーが昇格を)確認してくれました」
Q:クリスチャンから昇格を確認する電話を受けたあと、誰かに知らせましたか? 両親とか? それから会見の第1部でピエール(・ガスリー/アルピーヌ)は、レッドブルでの経験についてあなたと話をしたと言っていました。それはどれくらい役に立ちましたか?
角田:「クリスチャンはとにかく秘密だと言っていたので、誰にも電話しませんでした。いや、ほんとは電話したんですけどね(一同笑)。冗談です。本当に誰にも言ってないです。両親に話したのは、ニュースが出る前日でした。それだけです」
「ピエールからは、レッドブルでの経験、レッドブルでやるべきだったこと、そしてレッドブルでの今後のレースで使えると思うアイデアをいくつか共有したいというメッセージをもらいました。とても親切だし、とても役に立つアドバイスでした。チェコ(セルジオ・ペレス)からも応援メッセージをもらいました。レッドブルファミリーのドライバー全員が応援メッセージをくれました。なかでもこのふたりは本当に支えになってくれて、本当に感謝しています。ふたりとも尊敬しているドライバーなので、とても嬉しかったです」
兄のように慕うガスリーからの親身なアドバイス、そしてペレスからもメッセージが来たという。ともにレッドブルで苦難の道を歩んだドライバーである。純粋に角田には、成功してほしいという思いなのだろう。
Q:チームからは、自分の実力を証明するのにどれくらいの期間を与えられるか、どのような保証を受けましたか? ローソンに起こったことを考えると、プレッシャーを感じるのでは?
角田:「自分を証明するための具体的なレース数や期間は、特に言われなかったですね。クリスチャンからは、僕に期待していること、達成してほしいことについて言及しただけです。もちろんコースに出るたびに、プレッシャーは必ずやってきます。でも今のところ、僕はとてもリラックスしています。レーシングブルズにいたときと同じような感じです。レッドブルのホスピタリティに入ったときも同じで、朝食のことしか考えませんでした(笑)。プレッシャーを感じる必要はないし、自然にやってくるものです。特に母国グランプリの予選はそうでしょう。でも僕には自信があるし、他のドライバーとは違うことができると信じています」
Q:ホーナー代表はあなたが達成すべきことについて、具体的にどんな要求をしましたか?
角田:「基本的にはマックス(・フェルスタッペン)のパフォーマンスにできるだけ近づくことです。そうすればチームにとっていい結果が生まれるし、戦略的なサポートもできる。彼らはマックスが最優先だとはっきり言っていますが、それは僕も完全に理解しています。4度の世界チャンピオンであり、どんなに困難な状況でもいいパフォーマンスを見せていますからね。あとは技術的なフィードバックでの貢献ですね。アブダビテストでのフィードバックに、彼らはとても満足してくれました。それを続けていくだけです。でも最優先事項は、とにかくマックスに近づくことです。それは決して、簡単なことではないでしょうけど」
Q:裕毅、このクルマの運転方法を最もよく知っているのは、明らかにマックスです。どうしたらうまくいくのか尋ねたり、彼の走行データを調べたりしましたか? あるいはこの新しい挑戦について、何かアドバイスを受けましたか?
角田:「正直に言うと、ないです。マックスの肩をたたいてRB21について尋ねても、本当のことは言わないと思うし(一同笑)。なので走行データや車載ビデオから、自分で見つけ出そうとしてます。過去2戦での動画はすでにチェックしてます。今のところは、クルマの明らかなトリッキーさは感じていないです。実際に走って感じてみればわかるし、これまで4年間の経験から、解決するためのアイデアが得られると思います。それでも本当に苦労したら……いや、彼に聞くつもりはないかな(笑)。エンジニアと一緒に見つけ出そうとするだけです。とにかくFP1が終わった時点で、どうなるか見てみるつもりです」
次々に矢継ぎ早に、両脇のルクレールとヒュルケンベルグが明らかに退屈な表情を見せるぐらいに、ほとんど角田だけに質問が繰り出される。それを彼は、時にユーモアを交えて居並ぶジャーナリストを笑わせる余裕も持ちつつ、的確に答えを返して行った。
Q:ローソンをわずか2戦で降ろすというかなり厳しい決断の恩恵を、あなたは受けました。一方で、レッドブルは当初はあなたの代わりに、ローソンを選んでいました。そんな厳しい意思決定プロセスでも、あなたの自信は揺らがなかったのでしょうか?
角田:「確かに、彼らが当初僕ではなくリアムを選んだことは十分に厳しいものでした。でもそれが現実だし、リアムも今回の件でこの組織内で物事がいかに急速に変化するかを理解したと思います。それがレッドブルが成功している理由のひとつでもあるわけですしね」
「ええっと、質問は何でしたっけ?(一同笑) ああ、どれだけ自信があるかでしたね。自信はあります。マックスのようにすぐにパフォーマンスを発揮する自信があると言っているわけではないですが、(これまでの)ドライバーとは何か違うことができるという自信はあります。自信がなかったら、(レッドブルのレーシングスーツを指して)これを着ることなく、レーシングブルズに残っていたでしょう。向こうに残っていたら、マシンを十分理解しているし、速く走らせる方法も十分わかっています。でも僕は、新たな挑戦をしたかったし、挑戦する自信もある。だからこのスーツを着て、違うカラーリングのマシンで戦おうと決めたんです」
[オートスポーツweb 2025年04月03日]