
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、飛行機を利用すると目にするHND、NRTなどの3文字の3レターコードについて語る。
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飛行機を利用すると必ず目にする、3レターコード。羽田空港だとHND、成田空港だとNRTのように、チケットや荷物のタグに表記されている3文字のアルファベットのことです。これは「IATA(国際航空運送協会)」という航空会社の業界団体が決めており、世界共通で使用されてます。
通常は、都市名から3文字パターン(長崎空港はNGS、シドニー国際空港はSYD)や、空港名パターン(羽田はHND、ジョン・F・ケネディ国際空港はJFK)など、連想しやすい文字が当てはめられていますが、「!?」なものもあります。
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日本の代表的な例は、関西国際空港=KIX。本来でしたら、関西インターナショナルエアポート=KIAがしっくりきますが、なぜに3文字目がX? 実は3レターコードは、"早い者勝ち"です。
関空ができたときには、パプアニューギニアのカイアピット(Kaiapit)空港がKIAを取得していたため、空いていたKIXにしたそう。本来Xに「国際的」という意味はないけど、ロサンゼルス国際空港がLAXだから、個人的にはKIXもあまり違和感がない。
でも、「なんで!?」と思う例もあります。まずは神戸空港のUKB。カメルーンのコウタバ(Koutaba)空港が先にKOBを取得していたのはしょうがない。ほかに候補になりそうなKBE、JapanのJを使用したKBJも、共に登録済み。
でも、なぜUに落ち着いたのか、正式な理由は調べてもわかりません。インターネットではUniverse説があるそうですが、出典不明。個人的には最終形態みたいな感じで、「UKB=アルティメット神戸」ということにしました。勝手な解釈シリーズだと、高知空港のKCZは、私の中では「高知ぜよ!」のKCZです。
山形空港=GAJは、YMGもYAMもカナダの空港が使っており(Yの字のほとんどはカナダがIATA創立初期にかっさらいました)、YGJも米子空港が使っていたので、結果的にyamaGAta Japanになったのでしょう。米子のせいで「山ガァ〜タジャパン!」とガとジャを強調することになった山形空港、恨んでないかしら。OKAを沖縄の那覇空港に取られてた岡山空港、怒ってないかしら。でも、那覇だって沖縄のOKIを島根の隠岐空港に取られたんだから......みんな仲良くしてほしいです。
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もちろん、海外の「先に取られたドミノ」もあります。アイルランドのコーク(Cork)に行った際は、ORKという中途半端なコードが印象的でした。調べると、CORはアルゼンチンのコルドバ(Córdoba)にある空港が使っていました。スペインにもコルドバ空港がありますが、そこはODB。
最後に、お気に入りのコードをいくつか。みんな失望してそうな中米のオレンジウオーク空港=ORZ。大げさなリアクションをしそうな米ウィロー空港=WOW。怒りむき出しのスペインのマドリード空港=MAD。書類を書くたびに誰かが傷つく米フレズノ・ヨセミテ空港=FAT。日本だと、社会課題に取り組みそうなセントレア空港=NGOと、英語圏の人は口に出しにくい福岡空港のFUKがありますね。
●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。一番おっかない3レターコードはマダガスカルにある空港のDIE。公式Instagram【@sayaichikawa.official】