映画『片思い世界』(4月4日公開)(左から)杉咲花、広瀬すず、清原果耶(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc. “朝ドラ”の主人公を演じた経験を持つ、広瀬すず、杉咲花、清原果耶の共演が話題の映画『片思い世界』(監督:土井裕泰)。映画『花束みたいな恋をした』以降、ドラマだけでなく、『怪物』(第76回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞)、『クレイジークルーズ』(Netflix)、最新作『ファーストキス 1ST KISS』など映画でも精力的に活動する脚本家・坂元裕二が新たに書き下ろしたオリジナルストーリーであることにも注目が集まっている。
【動画】広瀬すず×杉咲花×清原果耶からメッセージ 3人が演じる美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)は、現代の東京の片隅のとある古い一軒家で一緒に暮らしている。家族でも同級生でもないけれど、お互いを思い合いながら12年、強い絆で結ばれている。そんな彼女たちの誰にも言えない“究極の片思い”が描かれる。監督は『花束みたいな恋をした』などの土井裕泰が務めた。
――坂元裕二さんのオリジナル脚本ということで、楽しみにしているファンも多い作品だと思います。今回の脚本と向き合って、印象に残ったことは?
【広瀬】言葉がふわっとどこかへ飛んでいってしまいそうで、「届かない」というのはこんなにも息苦しいものなのか、と痛感させられる印象的な脚本でした。そして、苦しくて、もどかしい、だけど、希望があってキラキラしている、それが片思いなのだと思いました。坂元さんとは19歳の時に初めてご一緒しましたが、その前からずっと坂元さんの作品が好きでした。そんな坂元さんの作品の中でも、また違ったテイストの作品だったので、一ファンとしてすごくぜいたくにこの作品の世界を味わわせていただきました。
【杉咲】この映画で描かれるような世界が、本当に存在するのかはわかりませんが、劇中でも描かれているように、人は自分の見たいように人を見てしまう側面がある気がします。個人的には、そういうことを少し見つめ直すきっかけになるような物語になったらいいなと思いました。隣にいる人についてほんの少しでもイメージしようとする心が、やさしさの一歩につながると思うんです。そんな小さなパワーをもらえる映画になったらいいなって。
【清原】シンプルに、「さくらを演じるのがすごく楽しみだな」と思いました。美咲と優花がいてくれるからこそ、さくらが存在できる。そんなキャラクターだと感じました。せりふの言い回しも、すごくマイペースでありながらちょっと気が強くて、自由な感じだったので、それをどう表現できるか、想像するだけでワクワクしました。
――ご自身が演じたキャラクターと、重なる部分や違う部分について感じたことは?また、お互いの演技を見ていて「役とリンクしているな」と思った点などがあれば、ぜひ教えてください。
【杉咲】美咲はしっかりもので長女のような存在、優花は自分のリズムを持っていて自由なところがあり、さくらはザ・末っ子のようなあどけなさがある。演じるうちに、私たち自身の性格や関係性も相まって、そうした設定が自然となじんでいったことが面白かったです。すずちゃんは、周りを見ながら全体を引っ張っていく力があって、現場にいてくれるだけで安心感に包まれました。果耶ちゃんは、ぶれずに自分の意思を持っていて、それをまっすぐに伝えられる。相手や物語に対して真剣だからこそ出てくる言葉があって、それを躊躇(ちゅうちょ)せず共有してくれる姿は、さくらそのものだと思いました。私は一人っ子なので、兄弟姉妹がいる感覚があまり分からないのですが、今回こういう形で体験できてうれしかったです。
【広瀬】私は末っ子ですし、これまで末っ子の役を演じることも多かったのですが、身近な人間関係では長女っぽいと言われることもあり、今回の役も自然と受け入れられました。果耶ちゃんとは、『なつぞら』『ちはやふる』に続いて3作目の共演になるので、この10年間で本当によく会っている人のひとりです。最初の朝ドラで私が姉で果耶ちゃんが妹だった時から「家族」のような親近感を覚えていました。だから、たとえしばらく会っていなくても、勝手に「身内」みたいに感じています。今回のために何か努力をする必要もないくらい自然体で演じることができました。花ちゃんとは、ドラマ『学校のカイダン』で共演したことがありましたが、今回の現場でどんどん距離感が縮まっていった感じがしてうれしかったです。まっすぐで優しいところは優花に似ていると感じました。
【清原】さくらのかわいらしさだけでなく、生意気な部分や芯の強さもあるところが勇ましくてかっこいいキャラクターだと思いました。ただ、彼女がそうしていられるのは、周りから見守られ、愛されているからこそだと思います。私にも姉がいるので、「末っ子の気持ち」がすごくよく分かるんです。お姉ちゃんたちが見てくれているからこそできることがある、という共感がありましたし、さくらを演じながら、「なんてたくさんの愛を受け取って育った子なんだろう」と感じていました。すずちゃんと花ちゃんと一緒にいる時間は、役としてだけでなく、本当に家族のような感覚でした。すずちゃんは頼れるお姉ちゃんという感じで現場を引っ張ってくださり、花ちゃんからは独特の温かさで包んでくれるようなやさしさを感じて、この2人がお姉ちゃんだったら無敵だな、と思いながら現場で過ごしていました。
――衣装や美術も印象的なので、繰り返し見る価値がある作品だと思いました。
【広瀬】そう言ってもらえるとうれしいです。3人が着ているもの、身につけているもの、部屋に飾られている小物たちにも注目してもらいたいです。1回目は「かわいい!」と思っただけのところが、2回目以降は「こんなに生きることを楽しんでるんだ」と感じられるようになったり。繰り返し見ることで、新たな発見や解釈が生まれて、物語の奥深さをより感じていただけると思います。
【杉咲】デニムの衣装にはそれぞれ刺繍が入っているのですが、裏設定として「美咲は手仕事が得意で、ほかの2人の洋服にも刺繍をしたり、破れたらつくろったりしている」というのがありました。とてもかわいらしいので、ぜひ注目していただきたいです。
【清原】合唱コンクールで歌唱するシーンで、3人が着ている制服も印象的でした。スカートの丈やデザインにもこだわりがあり、それぞれのキャラクターにぴったりの制服を着ていますので、そういったポイントにも注目して見ていただけるとうれしいです。
――その合唱シーンについて印象に残っていることは?
【広瀬】合唱なんて十何年ぶりでした。
【清原】なかなか機会がないですよね。
【広瀬】壇上のみんなが前をまっすぐ向いて、音だけで何かを表現している合唱とは、なんて美しいんだろうと思いました。
【杉咲】歌詞の中に、それぞれの人物が背負っている背景とリンクする部分があって、歌っていると、まさに声という風にのって思いが昇華されていくような感覚になりました。
【清原】坂元さんが書いてくださった詩を、合唱曲として歌えるなんて、とてもぜいたくな経験でした。この曲が映画を飛び出して、皆さんに歌っていただけるとうれしいです。