2025年F1第3戦日本GP 平川亮(アルピーヌ) 4月4日、2025年F1第3戦日本GPが開幕を迎えた。走り始めとなったフリー走行1回目(FP1)にはアルピーヌのリザーブドライバーを務める平川亮が出走し、チームメイトのピエール・ガスリー(14番手)を0.153秒上回る12番手となった。
走行終了後、カコミ取材に応じた平川は「セッション前は結構緊張していました。ただ、ヘルメット被ってクルマに乗り込んでからは、周りの音も聞こえず、集中して走ることができました」と、母国グランプリ初出走を振り返った。
「ただ、いまだ鈴鹿をF1で走ったという実感はあまり湧いていませんね。とはいえ、しっかりと与えられた仕事はこなせましたし、非常に満足しています」
チームから与えられたプログラムを完遂することに集中した平川。観客が集うスタンドに目をやる余裕はなかったとしつつも、「日本のファンのみなさんにたくさん応援したりしていただいて、それはものすごく力になりました。FP1出走は2度目ですが、最初のアブダビGPのときとはぜんぜん違う雰囲気があり、すごく良かったです」と、笑みを見せた。
平川のベストタイムは1分29秒394。先述したとおり、レギュラードライバーであり、アルピーヌのエースであるガスリーを0.153秒上回ることになった。フリー走行のためチーム内の2台で実施するプログラムには違いはあるとしつつも、「すごく良かったと思います」と平川。
「序盤のミディアムタイヤでの走行の際は、クルマが思ったより(シミュレーションよりも)速くて、それに合わせるのが大変でした。ただ、ソフトタイヤでの2回目のアタックでは結構いいタイムが出せました。もちろんアタックもシケインでロスがあったりと完璧ではなかったのですけど、高速、中速のコーナーはすごく良かったです」
記者から『1分30秒を切るタイムで走る鈴鹿の景色は今までと違う?』と問われると「再舗装されたセクター1がぜんぜん違いますね。そこは結構驚きました」と平川。
「また、クルマが(スーパーフォーミュラ/SFよりも)大きいのでコースが狭く感じました。少しでもコース幅を使うことを意識しましたが、それでもとにかく狭いなと思いました」
なお、『もし完璧なアタックだったらどれほどタイムを縮めることができたか』と尋ねられると、予選のアタックではないと前置きをした上で「0.2〜0.3秒は縮められたかとは思いますが、周りも同じ条件ですので、あまり(たらればは)言いたくはないですね」と平川。
「チームからはいい仕事をした、という評価はしていただいてます。僕が乗ることで、FP1に乗ることができなくなったジャック・ドゥーハンに対してもフィードバックはしていますので、チームには貢献できたと思います」
平川はアルピーヌのファクトリーでシミュレーターを経験してから今回のFP1に臨んだ。今回の走行では、平川の好みのセットアップでの走行が実現したようだ。
「シミュレーターの段階から『(セットアップを)こういうふうにしたい』というのは伝えて、自分の好みになるようにやってきました。細かいことは言えませんが、多少の味付けは自分好みにしています」
なお、鈴鹿サーキットはセクター1の再舗装が行われており、スーパーフォーミュラのオフのテストの際には、SFドライバーからもバンピーだという意見も少なくはなかった。その後SF開幕戦までに再再舗装が行われるとバンプは改善されたが、路面状況が気になった平川は、SFチャンピオン経験者の野尻智紀にLINEで状況を尋ねたという。
「だいぶスムーズになっていて、ターン1だけ気をつけたほうがいいと言われたのですけど、そこは意外に大丈夫でしたね。でも、野尻選手や古巣であるトムスのエンジニアたちにもいろいろなアドバイスを貰っていて、そこが活きたかなと思います。本当にたくさんのサポートがありましたね」
そして、レッドブル移籍に伴い日本中から期待を集める角田裕毅について尋ねられると、「日本人でも戦えるということは、僕でも彼でも証明できていると思います。やはり日本からもっと日本人がF1で活躍できる道を、僕としても開いていきたいと思っています」と、平川。
「彼にだけ期待するのではなく、自分自身がもっと道を開けていけるように頑張っていきたいと思います」
「とにかく楽しかった」と今回のFP1を振り返った平川。今後の予定について尋ねられると「FP2を見学します(笑)」としつつも、「何かが起きたら自分が代わりに乗ります。(日本GPでの)リザーブドライバーは僕だけなので。明日の予選が始まるまでは、一応その準備はすると思います」と語っていた。
去年のマクラーレン、そしてハースに続き、現役F1マシン3台目での走行を終えた平川の評価は、複数のチームで高まっている。初走行でガスリーを上回る走りを見せたそのポテンシャルは、鈴鹿のパドックでも大きなインパクトになったに違いない。
[オートスポーツweb 2025年04月04日]