
ひと言でいえば「衝撃」ーーー。いま世界中で話題になっている海外ドラマがあることをご存じでしょうか。
13歳の少年が起こしてしまった凄惨な事件。成績もよく家庭環境も良好ないわゆる “ごく普通の少年” だったはずなのに、なぜこんな事態が起きてしまったのか。たった4話しかないシリーズが人々の目をくぎづけにしている……。今回はその魅力に迫ります。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドラマ『アドレセンス』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
ある日のこと、13歳の少年・ジェイミーが同級生の少女を殺害した容疑で逮捕されてしまいます。
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「僕はやってない」と無実を訴え続けるジェイミーと、なかなか事態を飲み込めずに戸惑う家族。ジェイミーの父は息子の「やってない」という言葉を信じますが、警察官が決定的な証拠をつきつけたことで信頼が揺らぐように……。
ジェイミーの家族、事件を担当する刑事、ジェイミーと対峙する臨床心理士。それぞれの視点を通して事件の全貌を紐解いていきます。
【ココが見どころ!】
<その1:脅威のワンカット撮影>
本作が話題になった理由のひとつがコレ。1話あたり52分〜65分あるのですが、全話ワンカットで撮影されているんですよ。
これだけの時間をワンカットで撮影するだなんて正気の沙汰ではない。「ちょ…動線どうなってんの!?」と思わずにはいられない、すさまじい長回しに圧倒されてしまうことでしょう。
そして、このワンカット撮影こそが本作に強烈なリアリティーを与えています。息ができないほど高まる緊張感、生々しさはまるでドキュメンタリーのようです。
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<その2:息を飲む第3話>
冒頭でもお伝えしていますが、本作は全4話で構成されているのですが、SNSではとりわけ第3話が話題。
第3話は殺人容疑がかかっているジェイミー×臨床心理士の面談シーンのみで構成されているのですが、画面から1秒たりとも目が離せなかったし、観終わったあとの精神的な疲れがハンパなかったです。
なにげない会話から始まったコミュニケーションが、まさかあんなかたちで終わるだなんてね。
ジェイミーの一挙手一投足に引き込まれ、嫌悪し、あっけにとられる52分間。ジェイミーを演じるオーウェン・クーパーさんにとってこれが俳優デビュー作という事実にも震えます。
<その3:どうすればよかった? これは誰の身にも起こりうる悪夢>
本作のタイトル「アドレセンス(adolescence)」は “思春期から成人期までの過渡期” という意味を持つそう。
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事件を起こしたジェイミーはまさにこの年齢にあり、同年代のほかの子たちと同じような平凡な毎日を送っていました。父や母、姉とも良好な関係を築いていたのです。普通の子ども、普通の家庭、だけど普通じゃない事件が起きてしまったーーー。
本作は全話を通して「どうすればよかったのか」と問いかけてきますが、その問いに対する明確な答えは示していません。だからこそ、私たちは永遠に考え続けることになるのです。
【1時間が秒、それなのに重厚】
実は私、ごはんを食べながらこの作品を観始めたのですが、あまりにもすごい、もはやすごいとしか言いようがない内容に打ちのめされて、途中から食べることを忘れてしまいました。1話が秒なのに重厚すぎて「ながら見」できない!!!!!
また、本作の主軸には「マノスフィア(manosphere=man blogoshereからくる造語 / 男らしさを追求して女性を軽視する男性中心のオンラインコミュニティ)」があります。
SNSを発端に世界に広がり続けるこの問題についても深く考えさせられる作品です。
■今回ご紹介した作品
『アドレセンス』(原題:Adolescence)
2025年3月13日からNetflixで独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Courtesy Netflix © 2024、Courtesy of Ben Blackall/Netflix © 2024