衆院内閣委員会で質問を聞く石破茂首相=4日午前、国会内 韓国の尹錫悦大統領の罷免を受け、日本政府からは尹政権下で好転した日韓関係の揺り戻しにつながりかねないと懸念する声が出ている。トランプ米大統領の相互関税発表など国際情勢が激変する中、日韓関係の重要性は増している。日本政府は尹氏の後継を選ぶ大統領選が日韓関係の今後を左右するとみて、行方を注視する構えだ。
「近々に大統領選が行われるが、どういう状況になっても、日韓の緊密な連携が極めて重要だ。最重要課題の一つとして取り組みたい」。石破茂首相は4日の衆院内閣委員会で、尹氏の罷免や大統領選の結果にかかわらず、日韓関係の改善に引き続き取り組む考えを示した。
日韓関係は韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた2018年の元徴用工判決以降、戦後最悪と言われるまで悪化した。好転したのは保守系の尹氏が22年に大統領に就任し、元徴用工問題の解決策を打ち出したのがきっかけだった。
北朝鮮とロシアの軍事協力など東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、「日韓の協力は極めて重要」(首相)。日韓国交正常化60周年の今年は関係強化に向けたシナリオが両政府内で練られていただけに、日本政府内からは尹氏の「退場」に「残念だ」(高官)と率直な声も漏れる。
今後の日韓関係を占うのが60日以内に行われる大統領選だ。17年の朴槿恵大統領(当時)の罷免後、当選した革新系の文在寅大統領(同)が慰安婦合意を覆し、日韓関係が悪化していったことは関係者の脳裏に今も焼き付く。このため、日本政府は保守系候補の動向に加え、優勢とみられている革新系の李在明「共に民主党」代表の対日姿勢を注視している。
トランプ米政権は2日、日韓両国など同盟国も標的にした相互関税を発表。日本外務省幹部は「トランプリスクもある中、韓国側も日韓関係を悪化させるようなことはできないだろう」と指摘する。日本政府関係者は他国の内政に口出しはできないとして「大統領選の行方を見守るしかない」と語った。