2025年F1第3戦日本GP チェッカー後、ファンに手を振るマックス・フェルスタッペン(レッドブル) 鈴鹿サーキットでのF1第3戦日本GPでも、開幕2戦に続き優勝最有力候補のはずだったマクラーレン。しかし、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の前になすすべもなく、ポール・トゥ・ウィンを許す結果となった。
決勝日の4月6日が24歳の誕生日だったオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、バースデイ勝利を祝うことはできなかった。終盤には2番手ランド・ノリス(マクラーレン)を追い詰めるが、チームメイトも抜けずに3位チェッカー。
「予選3番手だったからね。仕方ない。昨日までは勝てるかもと思っていたけど」と、ピアストリはトップ3インタビューで、サバサバした表情を見せた。
それは2位のノリスも同様で「ペースは良かったけど、十分じゃなかった。マックスはまったくノーミスだったし、彼を超えることはできなかった」と、素直に王者を讃えていた。
金曜、土曜のフリー走行は、ノリスかピアストリのどちらかがトップタイムを記録し、FP1以外はマクラーレンがトップ2を独占していた。一方フェルスタッペンはフリー走行では不安定なマシンの挙動に手こずり、さらにフロントタイヤのグレイニング(タイヤ表面にできるのささくれ磨耗)にも苦しみ、一発の速さ、ロングランペースの両方に不安を抱える船出だった。
ところが予選になると、フェルスタッペンはものすごい走りを披露した。Q1で6番手だったフェルスタッペンは、Q2では3番手まで順位を上げた。しかしトップのノリスには、0.356秒もの大差をつけられていた。Q3の最初のアタックも、ピアストリから0.226秒落ちの2番手。しかし最後のアタックでは自己ベストを0.3秒近く縮め、ノリスをわずか0.012秒差で振り切って、4年連続のポールポジション獲得を達成した。
純粋なマシン戦闘力を比較すれば、レッドブルRB21より、マクラーレンMCL39が優位なのは明らかだ。マクラーレンのふたりも、大きなミスを犯したわけではない。しかしフェルスタッペンは「正気の沙汰じゃない!」と、担当エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが思わず叫ぶほどのスーパーラップを叩き出した。少し非科学的な言い方になってしまうが、マシン性能を100パーセントどころか110パーセント、120パーセント絞り出したということなのだろう。
そして決勝当日は路面温度が予選日より大幅に下がったことで、タイヤマネージメントはずっと楽になった。スタートでホールショットさえ決められれば、鈴鹿サーキットはコース上でオーバーテイクされる危険はほかのコースよりもよりずっと少ない。そしてレースは、そのとおりの展開となった。
では次戦以降も、フェルスタッペンの優位は続くだろうか。確かに抜きにくい鈴鹿のコース特性と涼しいコンディションに、大いに助けられたのは事実である。しかしその前提として、フェルスタッペンの超人的な走りがあった。ノリスとピアストリは、まだまだそのレベルに達していない。非力なマシンを駆りつつ、王者は5連覇を達成してしまうかもしれない。
[オートスポーツweb 2025年04月06日]