4月6日に生放送された『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で、3月31日に公表されたフジテレビが設置した第三者委員会による調査報告書を検証する企画が行われた。しかし、トラブルの“当事者”であるフジテレビの番組とは思えない発言が――。
この企画は、司会を務める宮根誠司(61)とフジテレビの藤本万梨乃アナ(29)に加えて、橋下徹氏、古市憲寿氏、中野円佳氏、後藤達也氏、長野智子氏、石戸諭氏の6名の有識者が、報告書の内容について議論するというもの。
企画冒頭にまず、東京大学多様性包摂共創センターDEI共創推進戦略室准教授の中野円佳氏は、中居正広氏(52)とフジテレビの元女性アナウンサー(以下、女性A)の間に起こったトラブルについて報告を受けた編成局長(当時)が“なぜ自宅に行ってしまったんだ”と考えたり、港浩一社長(当時)ら上層部がトラブルを「男女間のプライベートな事柄」と認識したことを疑問視。
中野氏の“家に行く=性的同意を意味しない”ということが「理解できていない」という発言を受け、宮根から「有名な大物のタレントさんからの誘いは断りにくい?」と話を振られた、元フジテレビの女性アナウンサーで、現在はジャーナリストの長野智子(62)はこう答えた。
「私、嫌だったら行かないと思うんですけども、やはりこの問題点って女性アナウンサーでも色々いるので。私みたいなのもいるわけですよね。会社のなかで、色々な社員の話をきくと、よい仕事をするよりも、有名人や政治家とか太いパイプを持ってるほうが評価されるという空気があったと、多くの社員から聞いて、そういうことをことさらに気にする人は断りづらいと思ったのかもしれない」
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自分なら“行かない”ときっぱり答えた長野。なお、報告書では、トラブルが起こった食事について、中居氏は女性Aを誘った当初、他のメンバーに声をかけ、店も探すとしていたが、実際はいずれも行っておらず、最終的に自身が所有するマンションでの食事を提案したと記されている。女性Aは中居氏のマンションでの食事を受け入れた経緯について、《ここで断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか》《行きたくはないけど行った、という気持ち》などと、ヒアリングに対して回答。
第三者委員会はこうした経緯を踏まえ、トラブルをフジテレビの《「業務の延長線上」における性暴力であったと認められる》と結論づけている。
また、企画中盤では、視聴者への「フジテレビは変われる?変われない?」というアンケートの投票結果が発表され、「変われる」が22%、「変われない」が78%という厳しい結果となった。
その流れで、宮根は視聴者に「1つだけ言いたいのは」と呼びかけ、自身がこれまで仕事をともにしてきたアナウンサーの仕事ぶりを“リスペクトする”とした上で、「今回Aさんは大変な目に遭われましたけども、そのアナウンス部の人たち全部が接待要員”だとか“上納される”とかそういう見方は、視聴者の方にはぜひ違うんだと思っていただきたくて、みんなプロフェッショナルとしてがんばってらっしゃる」とコメント。そして、宮根から意見を求められた長野はこう言った。
「そう思います。報告書を見て、今の世論の感じだと、なんかアナウンサー全員が脆弱で、仕方なく上納みたいなことになってますけど、ほとんどの人が、本当に真面目に、真摯に、そういうことにイエス/ノーもきちんと言えて、毅然としてやってるわけですよね」
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この発言に宮根は「今回のAさんという断れなかった状況に追い込まれたというんですけど、日々のアナウンサーの方たちがすべてがそういうことをやってるというのは、ぜひ違うなと」と同調。
しかし、すぐさま中野氏が「それでも今の言い方だと、そういうつもりじゃなかったかもしれないですけど、Aさんが断れなかったのを責めるように聞こえるのでやめたほうがいいと思います」と忠告していた。
前述の通り、女性Aは嫌だと思いながらも、業務への影響を恐れ中居氏のマンションに行き、被害にあっている。にもかかわらず、“嫌なら行かない”“ほとんどのアナウンサーはイエス/ノー”といえるとした、長野のコメントは“二次加害では?”とX上で指摘が相次ぐこととなった。
《長野智子さん、第一声で「私なら断った」はダメでしょ…。いろんな背景事情があって断れなかった、ということは当事者にしかわからない。自分の立場で考えても、断れないと思うわどう考えても。上司がへこへこしてる相手からの誘い》
《何言ってるの? 「政治家やタレントと太いパイプがある人が…」云々って まるで被害者が上昇志向の強い人みたいな言い方 感じ悪い 信じられない》
《長野智子、最悪のコメント。 私は断れるけど、政治家や大物タレントと太いパイプを持った方が社内で評価される、評価されたい個人の問題?にしてる。OBとは思えない発言だわ》
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こうした批判を受け、長野は7日にXで《昨日のMRサンデーでの私の発言について、私の言葉足らずのために本意を伝えることができず反省しています》と書き出し、こう釈明した。
《ほとんどのアナウンサーは、日々真摯に実直に仕事に向き合い、yes,noを判断して行動をしています。被害者Aさんもその一人で、むしろ、仕事に真摯であるからこそ、編成幹部B氏の繋いだ業務の延長線上という特殊事案において、「中居氏を怒らせてはいけない」という思いで行動し、結果的に事件に巻き込まれてしまいました。悪いのは言うまでもなく、加害者です。
一方で、第三者委員会の報告書において、「アナウンサーが脆弱な立場にあったのではないか」という指摘があり、その印象が伝わることで、今も多くの女性アナウンサーに対して「上納されただろう」など中傷が浴びせられて、苦しい思いをしていることを聞いていました。私はそれは違うということを伝えたかったのですが、言葉が足りませんでした。 中野円佳さんからの指摘を受けたとき、うまく伝えられなかったと思ったのですが、時間がなく言い直すことができませんでした。
これが本意だったのですが、もちろんそう聞こえなかったという方はいると思うし、不快な思いをされた方にお詫びします。申し訳ありませんでした》
しかし、この発言にも、
《被害者Aさんに謝罪すべきでは?》
《「私なら行かない」は、どう言い訳しようと、被害者にも非があるって暗に言ってるようなものだろう》
と指摘が相次ぐなど、批判は今も絶えない。あるテレビ局関係者は呆れ気味に言う。
「長野さんの発言は言葉足らずだとしても、被害女性を貶めるものと捉えられても仕方ありません。また、他の局の情報番組での議論ならまだしも、よりによって被害女性が働いていて、第三者委員会からも一連の対応にもはっきりと問題があると指摘されたフジテレビの番組で、この発言をするというのは見識に欠けていると言わざるを得ないのではないでしょうか」
フジテレビは本当に“変われる”のか?
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