カタロニア・サーキットで行われた開幕戦のスタートシーン 2025年ELMS第1戦バルセロナ 4月6日、スペインのカタロニア・サーキットでELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ2025年シーズン開幕戦『バルセロナ4時間レース』が行われ、AFコルセの83号車オレカ07・ギブソン(フランソワ・ペロード/マシュー・バキシビエール/アレッシオ・ロベラ組)が総合優勝を飾った。
このLMP2プロ・アマエントリーのマシンは、チェッカーまで残り2周でセーフティカー(SC)が退いた段階では4番手につけていたが、直前に行われた最後のピットストップでニュータイヤに履き替えたことが奏功した。
83号車オレカを駆るバキシビエールは、わずか1周でピエトロ・フィッティパルディがドライブする10号車オレカ(ベクター・スポーツ)とシャルル・ミレッシの48号車オレカ(VDSパニス・レーシング)をかわし、2番手でファイナルラップに突入する。
首位を走り、初優勝を手にしようとしていたマティス・ジョベール(IDECスポール/18号車オレカ)も83号車の勢いを止めることはできず、ピットイン前に順位を争っていたライバルにターン7で逆転を許す。83号車オレカは最終的に130周をラップし、IDECスポールに1.187秒差をつけトップでチェッカーフラッグを受けた。
バルセロナの開幕ラウンドでLMP2プロ・アマエントリーのチームがオーバーオール・ウイナーとなるのは2度目だ。前回は2023年にTFスポーツが運営するレーシング・チーム・ターキー(34号車オレカ07・ギブソン)によって達成されている。
一方、敗れたIDECスポールは、ジェネシス・シグマ・レーシングがサポートする18号車オレカのコクピットをシェアするジョベールとジェイミー・チャドウィック、ダニエル・ジュンカデラの3名全員がELMSで初めての表彰台に立ち、クラス優勝とチャンピオンシップの最大ポイントを獲得した。
最初のSC導入後に表彰台争いに加わったジュンカデラは、ターン1でVDSパニス・レーシングのマシンをかわして2番手に浮上した。その後ジェベールにステアリングが引き継がれる。弱冠20歳のLMP2ルーキーは、トップのCLXモータースポーツにプレッシャーをかけ、残り50分となったところでトラフィックをうまく利用し、ターン13で47号車オレカをオーバーテイク。これで首位に立ったが、前述のとおり最終的にはバキシビエールの83号車に先行を許してしまい総合2位でのフィニッシュとなった。
総合3位/LMP2クラス2位は、ミレッシ/オリー・グレイ/エステバン・マッソン組の48号車。総合4位はベクター・スポーツの10号車、同5位にはCLX・ピュア・レクシングの37号車オレカが入っている。
アルガルベ・プロ・レーシングの25号車・20号車オレカが6位・7位で並び、20号車はLMP2プロ・アマクラス2位となった。今季2025年もユナイテッド・オートスポーツからELMSに参戦している佐藤万璃音は、ダニエル・シュナイダー、オリバー・ジャービスと21号車オレカをシェアし、この開幕ラウンドを総合12位/プロ・アマクラス5位で終えている。
同じく日本人ドライバーの木村武史は、今季初戦で表彰台を獲得した。木村とダニエル・セラ、ベン・タックという新しいドライバーラインアップとなったケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 GT3は、アイアン・デイムスの85号車ポルシェ911 GT3 R(サラ・ボビー/ミシャル・ガッティン/セリア・マルタン組)と激戦を繰り広げ、最終的に0.786秒の僅差でLMGT3クラス2位につけた。
“女性チーム”のアイアン・デイムスは、ガッティンがセラのフェラーリを退けトップチェッカーを受けたことで昨季2024年のイモラ以来、勝利から遠ざかっていた期間にピリオドを打った。
LMGT3クラス3位にはプロトン・コンペティションの60号車ポルシェ911 GT3 Rが入った。WEC世界耐久選手権からELMSに戦いの場を移した小泉洋史が乗り込んだ82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)は、同クラス6位で開幕戦を終えている。
リジェ、デュケーヌ、ジネッタの各社のニューマシンと、トヨタベースのオレカ製3.5リッターV6ツインターボエンジンの新しいパッケージで始動した新生LMP3クラスでは、リジェJS P325・トヨタを使用するチームが表彰台を独占した。
優勝は124周をラップしたCLXモータースポーツの17号車で、2位のRLR Mモータースポーツ15号車に1.9秒差をつけた。クラス3位はインターユーロポル・コンペティションの88号車だ。
ともに1台のみのエントリーとなったデュケーヌD09・トヨタ(WTM・バイ・リナルディ・レーシグ)がクラス6位でデビュー戦を完走した一方、ジネッタG61-LT-P325エボ・トヨタ(DKRエンジニアリング)は114周をラップしたものの完走扱いとはならなかった。
ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズの次戦、第2戦『ル・カステレ4時間レース』は5月2日から4日にかけて、南フランスのポール・リカール・サーキットで開催される。
[オートスポーツweb 2025年04月07日]