長尾謙杜「僕らの距離の縮め方が、役とリンクした」當真あみ「長尾さんは現場を明るく盛り上げてくれました」切ないラブストーリーで初共演『おいしくて泣くとき』【インタビュー】

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2025年04月07日 18:10  エンタメOVO

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(C)2025 映画「おいしくて泣くとき」製作委員会

 幼い頃に母親を亡くした心也と、家に居場所のない夕花。同級生の2人はひょんなことから“ひま部”を結成。孤独な2人は、次第に距離を縮めていくが、ある事件をきっかけに夕花が姿を消してしまう…。

 全国公開中の『おいしくて泣くとき』は、森沢明夫の小説を原作にした切ないラブストーリー。主人公の心也を演じるのは、『室町無頼』(25)での活躍も記憶に新しい“なにわ男子”の長尾謙杜。これが劇場映画初主演となる。夕花役に起用されたのは、NHKの大河ドラマ「どうする家康」(23)など多数の作品で活躍し、進境著しい若手俳優の當真あみ。初共演となる2人が、撮影の舞台裏を語ってくれた。




−お2人は今回が初共演だそうですが、どのように心也と夕花の関係を作っていきましたか。

長尾 年齢が四つ離れていたので、最初は話が合うか、心配していたんです。でも、会ってみたら、當真さんはきちんと自分の意見を持っているしっかりした方で。僕の方が子どもなんじゃないかと思ったくらいです(笑)。おかげで違和感なく、同級生役を演じることができました。

當真 長尾さんとは初対面だったので、最初は緊張していたんです。でも、優しく気さくに話しかけてくださったおかげで、リラックスして撮影に臨むことができました。

長尾 最初はぎこちなかったけど、撮影が進むうちに、徐々にたわいもない会話もするようになり、距離が近づいていった感じだよね。実は今回、撮影はほぼ順撮り(物語の展開通りの順番で撮影すること)だったんです。だから、そういう僕らの距離の縮め方が、役とリンクする部分もあって。

當真 現場でも、監督と長尾さんと3人で、コミュニケーションをとりながら撮影できたおかげで、自分の思いをきちんと伝えることができ、のびのびやれた気がします。

長尾 當真さんのお芝居も、まっすぐ心に訴えるようなところがあったので、僕もすごくお芝居がしやすかった。

當真 私こそ、クライマックスのシーンでは、長尾さんが心也くんとして思いのこもった力強い言葉を投げかけてくれたので、夕花としても、私自身としても、グッと来るものがありました。

−そういうお二人のお芝居が、心也と夕花の物語を魅力的にしています。同時に、素敵な言葉もちりばめられた作品で、特に心也の父・耕平(安田顕)が心也に語る「人の幸せってのは、学歴や収入で決まるんじゃなくて、自分の意思で判断しながら生きてるかどうか、それに左右されるんだ」というせりふは印象的です。お二人はこの言葉にどんな印象を持ちましたか。

長尾 そういう気持ちでいられたら、誰もが幸せになれるんじゃないかな、と思いました。自分の人生を自分で選択して生きていけるのは、幸せなことですし。僕自身も、その気持ちを忘れずにいたいです。

當真 私はそのせりふを聞いて、はっとさせられました。学生の頃から、周りに合わせることが多かったのですが、それは楽をして逃げているだけなのかも、と思って。

長尾 でも、芸能界に入る時はどうやって決断したの?

當真 それは、スカウトされたとき、両親に相談したら、「あなたがやりたい方をやりなさい」と後押ししてくれたので、最後は自分でこの道に進むと決めました。

長尾 じゃあ、大事なことはやっぱり、自分で判断しているんだよね。

當真 考えてみれば、そうですね(笑)。







−この作品は長尾さんの劇場映画初主演作ですが、その点について意識したことはありますか。

長尾 特別に意識したことはなかったです。安田顕さんを始め、キャストの皆さんは先輩方が多かったですし、スタッフの皆さんも、僕より年齢も経験も上の方ばかりでしたから。どちらかというと、僕が皆さんの力をお借りした、という感じです。ただその分、「みんなで一緒にこの作品をいい方向に持っていけたら」という思いで、毎日撮影を楽しく進められるように心掛けていました。それが形になったのは、監督やキャスト、スタッフの皆さんのおかげです。

當真 長尾さんはとても優しくて、現場を明るく盛り上げてくださっていましたよね。私がミスをしたときも、「そういう日もあるよね」とフォローしてくださいました。

長尾 一生懸命やっている中でときどきミスが出るのは仕方ないよね。自分もミスすることはあるから。むしろ、そこで現場の空気が悪くならないようにした方が、作品にとっていい結果につながると思って。

當真 あと、現場にインスタントカメラをたくさん差し入れて。

長尾 それは、この作品にとって「思い出」が大切なものだと思ったから。僕らはこの作品が形になって残るけど、スタッフの皆さんにも、目に見える形で思い出を残してもらいたかった。だから、スタッフの皆さんと一緒に写真を撮ってアルバムにすれば、一つの作品として残せるんじゃないかと思って。皆さんも楽しんで撮影してくれていたようで、うれしかったな。でも、當真さんも、四つ葉のクローバーを栞にして、スタッフの皆さんに配ってましたよね?

當真 あれは、四つ葉がたくさん生えている場所があったので、「見つかればラッキー」くらいの軽い気持ちで、撮影の合間に探し始めたんです。そうしたら、思った以上に見つかり、私自身が驚いたくらいで(笑)。それをどうするか考えた結果、栞にして皆さんに配ることにしました。

長尾 僕はその様子を「いくつ夢をかなえる気なのかな?」と思いながら見ていた(笑)。つられて僕も探してみたけど、全然見つからなくて。「四つ葉のクローバーも、人を選んでいるのかな?」と悔しかった(苦笑)。

當真 でも、四つ葉よりもレアな五つ葉を見つけたじゃないですか。

長尾 そうだった!五つ葉!きっと効果二倍で、夢が二つかなうはず!(笑)。

−それでは最後に、公開を楽しみに待つ皆さんへのお言葉をお願いします。

當真 心也と夕花のいちずな恋を描いたラブストーリーですが、それだけでなく、周囲の人々のいろんな思いも描かれたとても温かく切ない作品です。ぜひ多くの方にご覧いただけたらうれしいです。

長尾 心也と父親の関係や父親が切り盛りする食堂の話、夕花の家庭の話など、いろんな要素が盛り込まれていて、どこかハッと気付かされる部分がある映画だと思います。この映画をご覧になった皆さんの中に、少しでもそういう気持ちが芽生えてくれたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)


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