『クスノキの番人』©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会東野圭吾の小説「クスノキの番人」がアニメーション映画化されることが決定した。東野圭吾作品としては初のアニメ化であり、2026年に劇場公開が予定されている。
理不尽な解雇により職を失った直井玲斗は、追い詰められた末の過ちで逮捕される。「依頼人の指示に従うなら、釈放する」と告げる弁護士の条件を呑んだ玲斗の前に現れたのは、亡き母の腹違いの姉で、大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献してきた柳澤千舟。千舟から促され、月郷神社に佇む<クスノキの番人>になった玲斗は、様々な事情で境内を訪れる人々と出会う。
クスノキに定期的に足を運び続ける男・佐治寿明。その娘で父の行動を不審に思う女子大生・佐治優美。家業の継承に葛藤する青年・大場壮貴、彼らや千舟と関わるうちに、玲斗の世界は、少しずつ色を帯びていくが…。
監督を務めるのは、「ソードアート・オンライン」シリーズや『HELLO WORLD』などで知られ、幅広い層から支持を集める、伊藤智彦。アニメーション制作は「俺だけレベルアップな件」(24年)、「マッシュル-MASHLE-」(23年)や「リコリス・リコイル」(22年)、映画『かがみの孤城』(22年)等、洗練された技術力とクリエイティブな作品づくりが日本国内外で高い評価を得ているA-1 Picturesが手掛ける。
東野圭吾は原作について、「いつも以上に空想力を必要としました。超自然的な現象が頻繁に出てくるからで、実写化するのは難しいだろう、と執筆しながら考えていました。アニメーションになれば素晴らしいのでは、との思いが出てきたのはそういう流れからです」と明かす。
そして、「このたび、その夢が実現することになり、心よりありがたく感じております。私の空想力をはるかに超えた映像作品となっているに違いなく、今から楽しみにしています」と、アニメーション映画化への期待を寄せた。
伊藤監督も「この映画を通して『今の自分を形作っているものに感謝を告げる』。これが今回の自分の目標です。それは両親に、ということだけでなく普段関わっている人や昔お世話になった人、一瞬だけ現れてはいなくなった人もまるっと全てに。そしてこの気持ちを次の世代にバトンを送りたい、そう考えています」と熱い思いを語っている。
<コメント 全文>
■東野圭吾
小説を書く手法は作家によってそれぞれだと思いますが、私の場合、まずは頭の中で映像を思い描き、それを文章化していきます。だから作品の舞台となる土地には必ず参考にした場所があり、登場人物たちにもモデルがいることが多いです。『クスノキの番人』も、そのようにして書き上げた作品ですが、いつも以上に空想力を必要としました。超自然的な現象が頻繁に出てくるからで、実写化するのは難しいだろう、と執筆しながら考えていました。アニメーションになれば素晴らしいのでは、との思いが出てきたのはそういう流れからです。このたび、その夢が実現することになり、心よりありがたく感じております。私の空想力をはるかに超えた映像作品となっているに違いなく、今から楽しみにしています。
■伊藤智彦監督
人はあっけなくいなくなるし、現状が永遠に続くことなんてあり得ない。ここ数年で自分が強く考えていることです。
個としての人間はとても脆弱で、遺伝子を残すという方法でそれを乗り越えようとしているのが動物的な対策なのだと思います。自分も40歳を過ぎ、残される側から残す側の気持ちを分かるようになってきました。それは単なる遺伝情報ということではなく、技術や精神性などといったことに関してもです。
この映画を通して『今の自分を形作っているものに感謝を告げる』。これが今回の自分の目標です。それは両親に、ということだけでなく普段関わっている人や昔お世話になった人、一瞬だけ現れてはいなくなった人もまるっと全てに。
そしてこの気持ちを次の世代にバトンを送りたい、そう考えています。
監督 伊藤智彦
『クスノキの番人』は2026年公開。
(シネマカフェ編集部)