主演・高橋一生『1972 渚の螢火』今秋ドラマ化決定! 本土復帰目前の沖縄が舞台のクライムサスペンス

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2025年04月08日 10:10  クランクイン!

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『連続ドラマW 1972 渚の螢火』ロゴ (C)WOWOW
 第164回直木賞候補となった坂上泉のクライムサスペンス小説を、高橋一生を主演に迎えて、『連続ドラマW 1972 渚の螢火』としてWOWOWで映像化することが決定した。高橋が自らのアイデンティティを問う刑事を熱演する。

【写真】高橋一生、自らのアイデンティティを問う刑事を熱演

 『明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記』(『へぼ侍』に改題してデビュー)で第26回松本清張賞を受賞、2作目『インビジブル』で第23回大藪春彦賞を受賞した坂上泉。そんな新鋭作家が放つ、第164回直木三十五賞候補となった『渚の螢火』(双葉文庫刊)がWOWOWで映像化。坂上の作品が映像化されるのは本作が初となる。

 舞台は1972年、沖縄。本土復帰が目前に迫る中、現金を輸送していた銀行の車両が何者かに襲撃され、100万ルが強奪される事件が発生する。当時沖縄では復帰に際し、円ドル交換(米占領下ではドル紙幣を使用していたが、復帰に伴い円紙幣への交換が必要だった)が県政の重要事業と位置付けられており、琉球警察はこの件が日本政府やアメリカ政府に知られると、重大な外交問題に発展しかねないと、これを秘密裏に解決する特別捜査班を編成。復帰までの期限は18日。捜査班メンバーたちは事件解決に奔走する。

 捜査に当たる特別捜査班の班長・真栄田太一を演じるのは高橋一生。真栄田は石垣島出身、さらに東京の大学に進学し琉球警察に入署したエリート。沖縄出身でありながら地元の署員からは「ないちゃー(本土の人間)」と揶揄され、真栄田は自分が何者なのかアイデンティティを問い続ける。本作で高橋は、連続ドラマW作品で初主演を飾る。

 監督は、映画『愛を乞うひと』『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の平山秀幸。高橋とは『よい子と遊ぼう』、『連続ドラマ W ヒトリシズカ』(WOWOW)以来、3度目のタッグとなる。迫り来るタイムリミットと予測不能な展開。強奪事件は地元ギャングの犯行と目されたが、その背後にはアメリカ政府の思惑が見え隠れする。琉球警察、最後の任務。沖縄の未来を懸けた戦いが始まる——。

 高橋は「僕が演じる真栄田は、自分がどこで生まれ、自分がどのように社会や風土になじんでいくのか、自分はどうあるべきか、とアイデンティティを問い続けているキャラクターです」と説明し、「そして、真栄田が所属する本土復帰特別対策室を語るうえで欠かせない存在が、真栄田と双璧をなす刑事・与那覇です。2人は同い年で、真栄田が八重山諸島出身であるのに対し、与那覇は沖縄本島出身。真栄田も熱いが、彼も熱い男で、2人はぶつかり合います。内燃している器官は一緒だけれど、出力の仕方が違うという差異を上手く出せたと思いますので、是非2人の掛け合いにも注目していただければと思います」とアピール。

 作品については「本作に描かれているのは、忘れてはいけないこと、残していかなければならない歴史的背景だと思います。お芝居を通して、自分自身がこの歴史を学び直すきっかけになりました。僕は、本作に登場するキャラクターに悪人はおらず、社会に捻じ曲げられてしまった人々の物語として捉えています。どの人物もそうなってしまった理由があり、純粋悪ではなく、風⼟、国の背景、出自の違いなどで、こんなにも変わってしまうのかということを本作は問いている。そういった点も感じて頂ければと思います」と語っている。

 原作者の坂上は「戦後80年、沖縄の本土復帰も半世紀以上前になるなか、不条理と怒りと情熱に満ちた時代を知る人は少なくなりました。その時代を生きた方々への敬意を、小説から映像化を通じて、より多くの皆様にお届けできるのであれば、望外の幸せです」とメッセージを寄せている。

 『連続ドラマW 1972 渚の螢火』は、WOWOWにて今秋放送・配信(全5話)。

※高橋一生、坂上泉のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■高橋一生(真栄田太一役)

――オファーを受けた際の印象、脚本に関してお聞かせください。

本作のお話を頂いたときに、実話ベースの物語でも娯楽作品として作り上げることはできるのではないかと感じました。僕は、フィクションは徹底してエンタテイメントであるべきだと常々思っているのですが、ただ楽しめるということだけではなく、その物語が深く見ている人にしみ込んでいくということは可能なんじゃないかなと、望みを見出していました。

本作に描かれているのは、忘れてはいけないこと、残していかなければならない歴史的背景だと思います。お芝居を通して、自分自身がこの歴史を学び直すきっかけになりました。

――撮影はいかがでしたか。

とにかく密度が高い撮影でした。毎日時間が溶けていくようだと感じていました。気づいたら、「こんなに撮っていたっけ?」という感じで、とても充実していたと思います。

――真栄田のキャラクターを教えてください。

僕が演じる真栄田は、自分がどこで生まれ、自分がどのように社会や風土になじんでいくのか、自分はどうあるべきか、とアイデンティティを問い続けているキャラクターです。撮影を終えて、本作に携わる皆さんが僕の真栄田というキャラクターを形作ってくれたと実感しています。共演者の皆さん、平山監督をはじめ、スタッフの皆さんが僕を真栄田として見てくださってとても助かりました。

そして、真栄田が所属する本土復帰特別対策室を語るうえで欠かせない存在が、真栄田と双璧をなす刑事・与那覇です。2人は同い年で、真栄田が八重山諸島出身であるのに対し、与那覇は沖縄本島出身。真栄田も熱いが、彼も熱い男で、2人はぶつかり合います。内燃している器官は一緒だけれど、出力の仕方が違うという差異を上手く出せたと思いますので、是非2人の掛け合いにも注目していただければと思います。

――視聴者へメッセージをお願いします。

歴史的背景がわからないという方にもクライムサスペンスとして楽しんでいただくことができる作品だと思います。そして、自分がどこで生まれたかによってその人の人生が最初から決まってしまいかねないレールが存在している、ということにも着目していただきたいです。それぞれのキャラクターが浮き立ってみえると思います。

僕は、本作に登場するキャラクターに悪人はおらず、社会に捻じ曲げられてしまった人々の物語として捉えています。どの人物もそうなってしまった理由があり、純粋悪ではなく、風土、国の背景、出自の違いなどで、こんなにも変わってしまうのかということを本作は問いている。そういった点も感じて頂ければと思います。

■坂上泉(原作者)

――『渚の螢火』の映像化が決まった時の気持ちをお聞かせください。

小説家デビュー以来「エラいことになった」の連続ですが、その中でもとびきりの「エラいこっちゃ」です。半世紀前の米軍占領下の沖縄を、実写映像で再現しようとする猛者がいるとは……。

――視聴者へメッセージをお願いします。

戦後80年、沖縄の本土復帰も半世紀以上前になるなか、不条理と怒りと情熱に満ちた時代を知る人は少なくなりました。その時代を生きた方々への敬意を、小説から映像化を通じて、より多くの皆様にお届けできるのであれば、望外の幸せです。
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