THE RAMPAGE・陣、1stエッセイ『JOKER』インタビュー グループの軌跡や中務裕太との絆を感じるエピソードを語る

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2025年04月08日 13:00  リアルサウンド

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THE RAMPAGE・陣

 LDH JAPANと幻冬舎がタッグを組み、毎月書籍を発売するプロジェクト「GL-16〜THE RAMPAGE BOOKS〜」。その第8弾として、リーダーの1人であるパフォーマー・陣の1stエッセイ『JOKER』が刊行された。


参考:【撮り下ろし写真】THE RAMPAGE・陣、朗らかに笑いながら『JOKER』について語る


 時に厳しく、時に細やかな気遣いでメンバー16人をまとめあげることから、“THE RAMPAGEの母親的存在”として愛されている陣。そして彼自身もまた、グループ随一の“THE RAMPAGEファン”として、メンバーやRAVERS(THE RAMPAGEファン)を深く愛している――。『JOKER』には、そんな関係性がオープンに綴られている。普段は陽気におどけることも多い陣だが、彼は今、THE RAMPAGEに対してどんな想いを抱えているのだろうか。リーダーとしてのこだわりや、陣が大事にしている存在など、さまざまな切り口で語ってもらった。


◼︎表紙にも表れた“THE RAMPAGEの日常風景”


――「GL-16 〜THE RAMPAGE BOOKS〜」では、メンバーがさまざまな形式で書籍を刊行していますが、陣さんがエッセイを出そうと思ったのはなぜでしょうか。


 書籍を作るにあたって、幻冬舎の方と打ち合わせをさせてもらった時に「やっぱり、陣さんの言葉を聞きたいっていう人が多いんじゃないですか?」と提案していただいて、自分も話すの好きやし、インタビュー形式のエッセイを作っていこうと思いました。ホンマは文章のみで考えていたんですけど、担当編集さんからの「ファンのみなさんは、写真も見たいと思いますよ」という意見もあり、最終的には写真だけのページも入れさせていただきました。


――写真を撮る際のこだわりは?


 写真についても、担当スタッフのみなさんと打ち合わせさせてもらったんですけど、THE RAMPAGEの陣と普段の坂本陣、両面を出したいというのは僕のこだわりですね。メリハリをつけたいなと。とはいえ、THE RAMPAGEの陣のほうも、あまり硬い印象にならないようにと意識していました。


――ソロ写真で表紙を飾るメンバーが多い中、表紙をメンバーと撮っているところに、THE RAMPAGEのリーダーであり、メンバー愛の強い陣さんらしさが出ているなと感じました。


 ありがとうございます。最初から、表紙は1人で撮るつもりがなくて。タイトルの文字だけにするか、メンバー全員と撮るかのどっちかだと思ってたんです。それで今回はリーダーの権力を使い、メンバーを招集させてもらいました(笑)。


 『JOKER』の撮影のためだけに集まってもらったのですが、みんな「陣さんにギャラ払ってもらわないと〜」とかブーブー言いながら撮ってました(笑)。僕がそうやってメンバーにいじられてる感じも、“THE RAMPAGEの日常風景”というか。普段の関係性や僕のキャラクターが想像できる表紙になったんじゃないかなと思います。


――『JOKER』というタイトルについても教えてください。


 この本を作るためにインタビュアーさんに自分の考えを話していく中で、自分の性格が明確に見えてきて、“ジョーク”や“ふざける”が僕のキーワードやなって思ったんですよね。“LDHイチふざけてる男”と言われる時もあるくらいなんで(笑)。と同時に、リーダーという立ち位置も、トランプで特別な意味を持つジョーカーと重なって見えたりして。「『JOKER』ってカッコいいな」って思いました。


――エッセイを読ませていただいて、個人的には、パブリックイメージ通りというか、恐らくファンの方が知っている陣さん像がそのまま綴られているんだろうな、という印象を受けました。ご自身はどう感じますか?


 僕、素の自分ではない姿を見せるのが苦手なんですよ。あえてキャラを作るというのが苦手で。だから、『JOKER』を読んでいただく方にも、割と素のままの自分を見ていただけるのかなと思います。でも、逆もあるんじゃないかな?


――というと?


 この本の制作は、インタビュアーさんに「あの時はこう思ってました」というのを全部お伝えして、それを整理してまとめていただいたんです。作ってる時はただ必死だったんですけど、完成した本を後々読み返した時に「自分ってこんな感じなんや!」っていうのがわかって嬉しかったんです。それと同じように、読んでくれた方の中には「こんな陣さん、知らなかった」とか、初めて聞くエピソードに驚かれる方もいるんじゃないかなと思います。


◼︎赤裸々に語れたのはRAVERSへの信頼があってこそ


――結構、赤裸々に語られていますが、できるだけ赤裸々に語った背景には、どんな想いがあったんでしょうか。


 THE RAMPAGEの軌跡を書いていくにあたって、RAVERS目線と、僕らのファンではない読者の方目線の2つを意識していました。


 RAVERSの中には、古くから応援してくれている人や最近新しくファンになってくれた人など、いろんな方がいますが、今のRAVERSは、もし自分がTHE RAMPAGEの深いところまで語ったり、多少ネガティブなことを言ったとしても、それで離れていきはしないなと思ったんです。「何をやっても受け入れてくれるだろう」って。


――RAVERSのみなさんを信頼してるからこそ、素直に話したってことですよね。


 もちろん中には「そんな生々しい話聞きたくない」っていう人もいるだろうけど、グループ結成から10年以上経った今、自分が本を作るんやったら、僕ら16人が辿ってきた軌跡をちゃんとみんなに伝えるべきだなと思いました。


――では、まだファンじゃない人に対しては?


 ファンじゃない人は、基本的に表でアーティストとして活動している自分達のことしか知らないじゃないですか。LDHという大きな看板も背負っていますし、大舞台でパフォーマンスさせていただくだけの経験をちゃんとしてきてるグループなんです、というのを知ってほしいと思いました。


 それに、キラキラとした面だけを見せるのは僕ららしくないな、という想いもありましたね。ちゃんと生身でぶつかって、時には失敗もして、一歩一歩踏みしめながら進んできた先に、今のステージがあるっていう感覚なので。僕らの泥臭い部分も知ってもらうために、思い切って書きました。


◼︎浦川翔平は照れ隠しでふざけている?


――メンバー1人1人に対する陣さんからのメッセージと、それに対するメンバーからのコメントが載っていますが、この章を読み返した時に思ったことはなんでしょうか。


 5年くらい前だったら、多分、こんなに具体的に言えなかったやろなぁ……って思いましたね。今では、誰一人詰まることなく「このメンバーはこういうところがあるよね」って言えるし、さらに踏み込んで「でも、もっとこうしたら良いのになぁ」っていうところまで言えたので、今出せて良かったなって思いました。僕も去年30歳になりましたし、結成当時は10代だったメンバーも全員20代になりましたけど、大人になればなるほど、「ここは直したほうがいいよ」とかって言いづらくなると思うんです。でも、僕らは信頼関係があるから、臆することなく言えるし、この人にはどういう言い方をすればちゃんと伝わるかを知ってる。それが今のTHE RAMPAGEなんやなっていうのが、このページを読んでもらうと、よくわかると思います。


――ちなみに、(浦川)翔平さんから陣さんへのメッセージで「陣さんも僕もふざけている代表だけど、真面目な部分を出すのが恥ずかしいから、その部分をコーティングするためにあえてふざけているのでは?」という問いかけがありましたが、実際のところはいかがですか?


 これは僕じゃなくて、彼(浦川)自身のことなんですよ。彼は照れ隠しでふざけてるタイプなんで。確かに、僕も根はすごい真面目なんです。会議の時もズバッと意見を言うし、メンバーに対して言わなきゃいけないことは、たとえ厳しいことでも言うし。特にライブのリハーサルの時は、かなりキツイ自覚があります。でも、それだけだと嫌われちゃうなと思ったから、普段はその倍はふざけてるようにしてますね。根がふざけてるのもあるけど、率先して明るい空気作りをしてるなぁって『JOKER』を作ったことで気づきました。


――その厳しさと気遣いのギャップが、陣さんが“THE RAMPAGEのオカン”と呼ばれる所以なんでしょうね。


 楽屋が汚れてると「これ、誰の〜?」って叱るんですけど、その雰囲気もオカンっぽいかもしれません(笑)。でもね、僕がそう言うと「俺のじゃない」っていう人がいるんですよ。いや、そうじゃないやろ!と。たとえ自分のじゃなくても、グループとしてお借りしている楽屋なんだし、目の前にあるゴミくらい捨てろや!と。それくらい細かく言っちゃう人間なんで、フォローするべき時も細やかなフォローをするようにしています。


――そういえば、インタビュー後に1人残って、取材用の紙資料を整えているメンバーを見かけたことが何度かあって。内心「今日は(後藤)拓磨さんが片づけ係なのかな?」「今日は(川村)壱馬さんの番かな?」と思っていたんですが、そういった決まりはありましたか?


 デビュー当初は、スタッフさんから「来た時より美しく」を教え込まれていたこともあって、みんなで話し合ってルール化していました。でもここ数年は、メンバーがバラバラに帰宅することが多いので、その意識が疎かになってるなって感じてて。去年、僕からみんなに「最近はバラバラに帰ることが増えてるので、先に帰って気づかなかったっていう人もいるかもしれませんが、気づいた人は整理整頓してから出ましょう」ってLINEしましたね。もう良い大人達なので、お恥ずかしいんですけど、いまだに言います(笑)。


――「気をつけようや」みたいな口調じゃなくて、敬語で言うんですね。


 メンバーを叱る時は絶対敬語ですね。「〇〇しようや」って僕が言っちゃうと、ちょっと幼稚に聴こえちゃうんですよ。学校の先生と生徒みたいになっちゃう。でも、ここは仕事の現場だから。仕事としてちゃんとしなきゃいけない部分は、あえて敬語でビジネスライクに言うようにしてます。


◼︎幼い頃の兄弟喧嘩に社会の縮図が


――『JOKER』の前半部分には、陣さんの生い立ちを語るページや、地元・大阪で関わってきた人との対談もあります。その章を読み返して、感じたことはなんでしょうか。


 改めて、僕は他人に恵まれてるなって思いましたね。多感な思春期の頃、周りに素敵な方がたくさんいたので、実は反抗期にもなったことがないんです。男3兄弟ということもあり、兄弟喧嘩はめちゃくちゃありましたけど、グレることなく、すくすくと育ちました(笑顔)。


――当時はどんなことで喧嘩を?


 2個上の兄がめちゃくちゃヤンチャやったんですよ。だから、基本的に兄の言い分が悪くて、僕が正しかったんです。それなのに、「合ってるか、合ってないかじゃない。生意気や」って理由でどつかれて!(笑)その時に僕は「世の中にはこんな理不尽があるんや」って知って、物事を論理的に考えるようになりました。「アカンことはアカン、でも言うタイミングは考えよう」「そうか、言わない正解もあるのか!」って。


 芸能界に入ってからも、そういうことってよくあるんですよね。正しいと思うことを主張したとして、すぐに大勢に受け入れられるかって言ったら、そうじゃないんだなって思うこと。そういった社会の厳しさを、子どもの頃にいち早く兄から学ばせていただきました(笑)。


――坂本家の中に、社会の縮図が……(笑)。


 そうそう、2人喧嘩で社会を学ぶっていう。僕、あの頃ずっと考えてましたもん。「なんでアニキのほうが悪いのに、俺が怒られるん!?」って。でも、何度も喧嘩するうちに「可愛く伝えたら、怒られないこともあるんやな」って気づいたりして。今、会社でも意見を言う時は、「それは違います!」っていきなりぶつかるんじゃなくて、「僕もそう思うんですけど、こういう見方もできませんかね……?」って言うようにしています。発言テクニックが磨かれました(笑)。


◼︎対談をしたのは「人生の節々で強い影響を受けてきた人達」


――ダンススクールの先生や母校の恩師、整体の先生や昔のバイト先の店長など、今まで関わった方との対談で過去を振り返ろうと思った理由はなんですか?


 家族にも言えることなんですが、今回対談した方達からは、人生の節々で強い影響を受けてきたんですよね。例えばダンスの先生からは、「争わずに楽しむ」っていう平和主義な精神を学びましたし、中学の先生は、アメリカの実業家であるアンドリュー・カーネギーの墓石に刻まれた名言「自分より優れたる人を自分の周りに集めたる人、ここに眠る」を教えてくれて。だから、この機会に話してみたいなと思いました。


――「自分より優れたる人を自分の周りに集めたる人、ここに眠る」という言葉は、THE RAMPAGEとして活動する際も大事にしていることですか?


 そうですね。「自分が一番優れてる」って思ってる人って、人がついてこないんですよ。リーダーとして愛されないんです。その点、THE RAMPAGEは自分よりもスペシャルなメンバーが揃っていて、すごくありがたい環境だなって思います。そんなメンバー達が、ブーブー文句を言いながらも僕のために集まってくれてる状況が、まさにこの名言の通りだなって思います……(笑)。


 今お話したような、本文で太字になっているところは、僕が特に強く伝えたいことなので、ぜひ注目してほしいですね。


――また、陣さんの人生に影響を与えた人として紹介が欠かせないのが、同郷の先輩である、GENERATIONSの中務裕太さん。陣さんは裕太さんの強火オタクとしても知られていますし、『JOKER』に書ききれなかった2人の熱いエピソードをぜひお聞きしたいです。


 そうだなぁ……THE RAMPAGEが結成されたぐらいのタイミングだったかな? 先にGENERATIONSとしてデビューされていた裕太さんが「陣、これまでも夢を追いかけるのはめっちゃしんどかったと思うけど、デビューしたらもっときついぞ。頑張れよ」ってメールくれたんです。今でもめっちゃ覚えてますね。そう言われても、その時の僕は「やっと憧れのアーティストになれるんやから、めっちゃ楽しいんちゃうん!?」って思ってたから、いまいちピンと来てなくて。でもTHE RAMPAGEがデビューして初めて、その意味に気づくわけですよ。メンバーと意思疎通がとれなかったり、グループが上手くいかんくなって、なんだこの状況は!?ってなるわけです。


 ただ、信頼する裕太さんの言葉があったおかげで、多少なりとも覚悟はできてたので。デビュー後の大変な時期も、なんとか乗り越えられました。普通、今からアーティストになる子に、あんまりネガティブなことは言わないじゃないですか。僕のために言ってくれたんやなぁ……って思うから、この言葉は大事な思い出です。


――では最後に、今のTHE RAMPAGEにおけるご自分の役割や、今後個人として力を入れていきたいことを教えてください。


 今はTHE RAMPAGEの認知度を上げる時期だと思ってるので、僕はそのための広報係だなって思いますね。MATSUさん(EXILEの松本利夫)が言ってくださったみたいに、グループの“みどりの窓口”でありたいです。僕ね、THE RAMPAGEのことをほんまにカッコいいグループだって思ってるんですよ。自分達のパフォーマンスに絶大な自信があるんです。だからこそ、まずはとっつきやすいキャラの僕がラジオやTV、さまざまなメディアに飛び出していって、「こんなに面白いメンバーがいますよ」「こんなカッコいいグループいますよ」っていうのをアピールして。最終的には、自分達のフィールドまで足を運んでもらう。そんな広報活動を、RAVERSのみなさんの力もお借りしながら、引き続きやっていけたらと思っています。


(文・取材=斉藤碧 写真=はぎひさこ)



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