難関トラックでも好調トヨタ陣営ふたたび。今度はハムリンが連勝マーク/NASCAR第8戦

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2025年04月08日 18:10  AUTOSPORT web

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デニー・ハムリン(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリXSE)の11号車が、オーバータイムで完璧なリスタートを切り前週マーティンスヴィルに続く連勝をマーク
 NASCARカップシリーズのカレンダーでも屈指の伝統を誇るサウスカロライナ州ダーリントン・レースウェイで開催された2025年第8戦『グッドイヤー400』は、最後のピットストップでまたも完璧な仕事をこなしたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)の11号車が、オーバータイムで完璧なリスタートを切り前週マーティンスビルに続く連勝をマーク。

 297周中243周をリードしてレースベストを記録したウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を振り切るとともに、すでにシーズン序盤で3連勝を記録している僚友、クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)も20番手発進から3位に喰い込むなど、今週もトヨタ陣営が猛威を振るっている。

 シリーズでもっとも歴史的かつ過酷なトラックのひとつと称され、その独特のシェイプから周回を通じて高い集中力を要求。レースでは壁にタッチせず走行するのも至難の業とあって、ここダーリントンは「The Track Too Tough to Tame(飼いならすのが難しすぎるトラック)」や「The Lady in Black(漆黒の貴婦人)」の異名をとってきた。

 そんな1.366マイル(2.198km)の古参オーバルで先行したのはシボレー陣営で、まずはフリープラクティス(FP)で今季好調カーソン・ホセヴァー(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が最速を刻むと、予選では盟主ヘンドリック・モータースポーツ(HMS)の24号車バイロンが今季2度目、通算15度目のポールポジションを獲得した。

 ボトムからハイラインで傾きが変化するプログレッシブバンクに加え、曲率の変化するターン2ではとくに壁際ギリギリでのコントロールを強いられ、ウォールにタッチする車両が続出するなか、バイロンは決勝序盤から圧倒的な強さを見せ、最初の243周をリードしてステージ1とステージ2の両方を制覇。リードラップ数でも1レース最多記録を更新するなど、キャリア最高の一日を締め括るべくそのまま終盤戦に突入する。

 追走集団もタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)やダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)の“神様MJ”ことマイケル・ジョーダン率いるトヨタ陣営(ハムリンが共同所有)や、王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らが続々と入れ替わり、最終ステージではそのレディックに加え、ハムリンやベルのカムリXSE艦隊がフォーメーションを構築していく。

 すると、勝利へ向け総仕上げに入ろうとしていたラップリーダーの希望を打ち砕くかのように、首位を行くバイロンの僚友カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がスピン。序盤3周目のクラッシュから中盤に復帰していた今季の“ダブル”挑戦者が、最終コーションの引き金となってしまう。


■ピットクルーとラーソンを「愛している」

 これで優勝戦線に留まるチームもオーバータイムのリスタートに備えてフレッシュタイヤに交換するチャンスを掴み、ここでハムリンのクルーはレディックとバイロン、さらには警告直前に首位浮上を果たしていたライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)に先んじて、先頭で11号車を送り出す。

 これが決定打となり、リスタートでも他を圧倒したジョー・ギブス・レーシング(JGR)のエースカーがバイロンに0.597秒差で勝利。満面の笑みでクルマから降り、ピットクルーに全幅の信頼と感謝のアクションを寄せたハムリンにとって、2012年のテネシー州ブリストルと翌週のアトランタで勝利を挙げて以来の2週連続勝利となった。

「今、本当に愛しているのはふたりいる。ピットクルーとカイル・ラーソンだ(笑)」と44歳のベテラン。「少し手助けをしてくれたことに、ありがとうと言いたいね。ピットクルーは素晴らしい仕事をしてくれた。先週(マーティンスビル)も優勝したし、今週も優勝した。すべては彼らのおかげだ」

 一方、レースのほぼ全域を支配しながら、まさに惜敗を喫したバイロンは「まず、チームがあれだけの努力と準備をしてくれたこと。あんなマシンを持って、あんな走りをさせてくれたことを本当に誇りに思う」と謝意を述べた。

「完璧なレースになりそうで、毎周リードするはずだった。本当に誇りに思う。(ライバルの)彼らはグリーンフラッグサイクルの反対側で攻撃に出る可能性があったが、僕らは(最後のコーションで)コントロールを失い、掌握していた権利を失ったら、ふたたび上位に戻るには遅すぎたんだ」と、最後のコーションが出た時点で3番手にいたバイロン。

「最悪だし、今夜も痛みは続くだろうが、それでも良い点はたくさんある。でも……今この時点、この瞬間は確かに……心が痛いね」

 これでNASCARカップシリーズは来週末、こちらも有名なハイバンクを持つテネシー州のブリストル・モータースピードウェイで第9戦『フード・シティ500』が争われるが、勝者ハムリンは“前年度覇者”として僚友ベルに並ぶシーズン3連勝に挑む。

 同じく土曜に併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第8戦『スポーツ・クリップス・ヘアカッツ・VFW・ヘルプA・ヒーロー200』でも、JGR陣営が躍動。ブレンダン・ジョーンズ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が過去3シーズン、98レース連続未勝利という記録を克服し、元カップ王者チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を撃破する勝利を飾っている。

[オートスポーツweb 2025年04月08日]

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