プレマ、ヨーロッパでの成功を糧に北米インディカー挑戦へ。「アメリカでも主役になりたい」とロジン代表

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2025年04月09日 14:20  AUTOSPORT web

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2025年NTTインディカー・シリーズ ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)
 2024年の4月、プレマ・レーシングはインディアナポリス・モーター・スピードウェイで会見を行い、2025年シーズンからNTTインディカーシリーズに参戦することを発表した。

 チームの代表を務めるレネ・ロジンはその会見で、「我々はつねに新しい挑戦、新しい冒険を求めている。インディカーは挑戦のしがいがある素晴らしいシリーズ。これまでとは異なる大陸における挑戦ともなる。カートからF2まで、ヨーロッパではすべてのステップアップカテゴリーで戦ってきた。F1以外には全部出場してきた。世界耐久選手権(WEC)のチームとも技術提携を行なっている」と語った。

「そんな私たちは、ヨーロッパから外へと出て行くチャンスを窺って来ており、“今こそ自分たちの領域を拡大するためにインディカーに挑戦しよう”と決意した。自分たちが世界的な組織となるために。ドライバー、メカニック、エンジニアたちにとっても、持てる力を拡大していく新たな可能性となる。アメリカでもっとも重要なチャンピオンシップに参戦できることを誇りと感ずると同時に、インディカーで戦えることを楽しみにしている」

 最初から2台体制でフル参戦。そこにプレマの本気度、そして自信のほどが表れている。ロジンの言葉の通り、プレマはF1以外で素晴らしい成績を挙げ、確固たる地位を築き上げて来ている。「自分たちは世界のトップレベルにある」とのコメントも傲慢に響きはしない。

 2025年の参戦開始というタイミングに関しては、新シャシー導入直前ということもあって賛否両論あるが、彼らは大きなプロジェクトにみずからゴーサインを出した。彼らはダラーラ・シャシーを5台も購入。投資も惜しみなく行なっている。

 歴史も実績も備えたチームは、大西洋の両岸でチームマネジャーとしての経験を積んできているイギリス人のピアース・フィリップスをアメリカ部隊のトップに抜擢。本拠地はインディアナポリスの郊外、市の北東に位置するフィッシャーズに据えた。デトロイトへと続くインターステイト沿いで、奇しくもアンドレッティ・グローバルの新ヘッドクォーターと同じエリアだ。

 ドライバーには、FIA F2で実績を残し、F1チームのリザーブドライバー、テストドライバーなどを務めたキャリアを持つカラム・アイロットとロバート・シュワルツマンが起用されることになった。

 どちらもステップアップ時にプレマで走り、活躍したドライバーで、アイロットはインディカー参戦経験があり、まさにチャレンジ開始時にうってつけの存在。シュワルツマンは才能ある若手としてチームとしての期待値は非常に高い。

 彼らの記念すべきインディーカーにおける初レース、セント・ピーターズバーグでの開幕戦ではアイロットが予選27番手から19位フィニッシュし、シュワルツマンが予選18番手から20位でゴール。続くザ・サーマルクラブでの第2戦ではプラクティス1でシュワルツマンのマシンが火災を起こし、プラクティス2まで1周も走れず。予選結果はアイロットが22番手、シュワルツマンは27番手。レースのスタート直後にはチームメイト同士での接触もあり、2戦目も結果はシュワルツマンが22位、アイロットが26位と振るわなかった。

「簡単じゃないことはわかっている。しかし、もっと良いパフォーマンスを見せることができると考えていた。ここまでの戦いぶりにはまったく納得していない」とロジンはサーマルでの週末に語っていた。13シーズンも使われて来たシャシーをライバルチームは知り尽くしている。新規参入のプレマがいきなり上位に割って入って戦えるほどインディカーシリーズは甘くない。

 さらに、エンジニアのトップに迎え入れた異才マイケル・キャノンが開幕前まで2カ月を切ったところで突如としてチームから離脱してしまった影響もあるだろう。彼を失ったことでプレマはオーバルレースでのプログラムに少なからぬダメージを受けたはずだ。しかし、ロジンはファイティングポーズを保っている。表情は明るく、言葉はポジティブだ。

「エンジニアもメカニックも半分はヨーロッパから来ている。我々はヨーロッパの良いところと、アメリカの良いところを融合させたい。お互いが持つ強い部分を合わせることで強くなれると考えている」

 さらにチームは、リザーブドライバーとして元F1ドライバーのロマン・グロージャンと契約。これはレギュラーのふたりのどちらかが急遽F1に呼び寄せられる可能性も考慮してのことだろう。またプレマは、チーム・ペンスキーがリック・メアーズを、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)がダリオ・フランキッティをドライバーコーチとして起用しているように、スポーティング・アドバイザーとしてライアン・ブリスコーを起用している。

 インディカーで8勝の実績を持つ彼は、インディ500でのポールポジション獲得も果たしている。さらに、彼は2大強豪のペンスキーとCGRの両方で走ったことのある珍しいドライバーでもある。その経験はプレマのチーム作りにも活かされることだろう。彼もグロージャンもプレマの卒業生であり、チームの結束力、そして士気は高い。

「私たちは参戦するだけで満足することはない。自分たちはアメリカでも主役になりたい」と最初の会見でロジンは言い、「プレマのスタッフ全員の辛抱強さ、そして決意の硬さがあれば、私たちは成功を勝ち取ることが可能だと思う」とも語っていた。

 そして今回、第2戦のサーマルでは「着々と進歩を重ね、競争力を高めて行く。我々はそれを達成しなくてはならない」というビジョンを披露した。彼の率いるチームには強いリーダーシップが存在し、規律があり、成功に向けた情熱も感じられる。数年後に彼らがトップコンテンダーになっていてもなんの不思議もない。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)

[オートスポーツweb 2025年04月09日]

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