ライブは、“生命の源”を想起させる“海の彼方”の映像から始まり、特務機関を模したアジト風の舞台へとシーンが転換。会場の高揚感が高まるなか、誰も聴いたことがなかった最新曲「We Can’t Stop That Way」で幕を開けた。これは41年目のプロジェクト継続を宣言するかのようなメッセージを含んだ楽曲であり、鮮烈な印象を与えた。
最新作「Carry on the Memories」からも3曲が披露され、なかでも「Good Morning Mr.Roadie」では歴代スタッフへの感謝を込めた映像とともに、リハーサル時に撮影された集合写真が大画面に映し出された。TM NETWORKのライブにMCやアンコールがないのは有名だが、その代わりに歌詞や演出を通じてメッセージを届けるスタイルが、ここでも貫かれていた。
セットリストは新旧織り交ぜながらも、“言葉”に重きを置いた選曲がなされており、「SCREEN OF LIFE」ではアカペラでのサビから始まり、LEDスクリーンに戦争で日常を失った人々の写真が昇華していく映像が流れるなど、平和や人間の尊厳をテーマとする一貫したメッセージ性が際立っていた。
アンコールの代わりに本編を締めくくる「Self Control」「Carry on the Memories」「LAST ENCOUNT」では、未来への希望と、これからも音楽を届け続けるという決意が込められていた。フィナーレでは、粒子となって舞台から去っていくメンバーの姿が投影され、再び“海の彼方”の風景へと物語が戻るラスト演出には、大きな余韻が残った。