
【動画】吉田羊が悦子(広瀬すず)の約30年後を演じる! 映画『遠い山なみの光』特報
原作は、2017年にノーベル文学賞を受賞し、『日の名残り』『わたしを離さないで』など、映画化作品でも非常に高い評価を受ける作家カズオ・イシグロが、1982年につづり、王立文学協会賞を受賞した長編小説デビュー作。戦後間もない1950年代の長崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリーだ。
日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が1人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で1人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった―。
監督を務めるのは石川慶。カカズオ・イシグロも大ファンだという『ある男』は、長編デビュー作『愚行録』以来再びヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門にてワールドプレミアを迎え、第46回日本アカデミー賞では最多13部門でノミネート、最優秀作品賞を含む最多8部門受賞という快挙を達成し、国内外で高く評価された。本作が『ある男』以来3年ぶりの映画作品となる。
公開に先駆け、フランス時間5月13〜24日開催予定の第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されることが決定。石川監督作品がカンヌ国際映画祭に選出されるのは初めて。カズオ・イシグロも、1994年にクリント・イーストウッドやカトリーヌ・ドヌーヴらと共にコンペティション部門の審査員を務めているが、出品者側として参加するのは初。広瀬は2015年に参加した是枝裕和監督作『海街diary』以来2度目、二階堂、吉田は初参加となる。映画祭の正式上映(上映日未定)に合わせての、石川監督に加え、広瀬、二階堂、吉田の渡航は調整中。
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吉田は本作でほぼ全編英語での演技に初挑戦しており、撮影直前に単身イギリスへ短期留学、現地でのホームステイで磨きをかけた流ちょうな英語を劇中で披露している。本作の出演に寄せて吉田は「全編ブリティッシュアクセントの英語台詞は母国語でないもどかしさもありましたが、その不自由さと、言語に向き合った時間がそのまま知らず悦子の血肉になっていたと実感できたことは得難い経験でした」と語っている。
日本での撮影後、イギリスパートを撮影した本作。石川監督は吉田について「イギリス訛りの英語の習得のため誰よりも早く現地入りされて、完璧に“30年前に渡英した悦子”としてクランクイン。本読みでのイギリス人スタッフの驚きと敬意に満ちた表情が、その圧倒的な説得力を物語っていました」とコメントを寄せた。
悦子の夫・二郎を演じる松下については「松下さんは真摯に芝居に向き合い、次々と新たな表情を見せてくださいました。素晴らしい演技、ぜひご期待ください」、さらに二郎の父を演じた三浦については「役への姿勢、現場での佇まい、そして映画への深い洞察と愛情。そのすべてに学ぶことばかりでした」と語り、信頼関係の深さをのぞかせた。
今回初の映像解禁となった特報予告では、「私がついた嘘」という言葉と共に、広瀬演じる1950年代長崎の悦子、二階堂演じる謎多き女性・佐知子、そして吉田演じるイギリスで暮らす1980年代の悦子らの顔が映し出される。
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また、吉田演じる1980年代の悦子が英国調のティーカップを持ち、遠くを見つめる写真が初解禁。広瀬演じる1950年代の悦子が昭和の雰囲気の暖簾の前で佇む姿や、二階堂演じる佐知子のモダンなファッションが映える場面写真も到着。ミステリアスでどこか不穏な空気が漂う女性たちの姿に期待が高まる場面写真となっている。
映画『遠い山なみの光』は、9月5日公開。
吉田羊、石川慶監督のコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■吉田羊
私演じる悦子は、主にイギリスでの撮影となりました。全編ブリティッシュアクセントの英語台詞は母国語でないもどかしさもありましたが、その不自由さと、言語に向き合った時間がそのまま知らず悦子の血肉になっていたと実感できたことは得難い経験でした。撮影現場では、石川監督と一体となり、複雑に交差する強さと弱さの中に浮かび上がる悦子の本心を手繰り寄せるような日々。それは途方もないようで、優しい作業でした。また今回、カンヌ国際映画祭への正式出品が決まったという報せを聞きとても嬉しく、この先、日本が誇る石川監督の作品が世界中の映画館でかけられる姿を想像しては今から昂揚しています。
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■石川慶監督
ロンドン時代の悦子のキャスティングは、イギリスでの公開も見据えて海外チームとともに進め全会一致で吉田羊さんに決定しました。イギリス訛りの英語の習得のため誰よりも早く現地入りされて、完璧に“30年前に渡英した悦子”としてクランクイン。本読みでのイギリス人スタッフの驚きと敬意に満ちた表情が、その圧倒的な説得力を物語っていました。
松下さんは真摯に芝居に向き合い、次々と新たな表情を見せてくださいました。素晴らしい演技、ぜひご期待ください。
三浦さんには僕の強い希望でオファーしました。役への姿勢、現場での佇まい、そして映画への深い洞察と愛情。そのすべてに学ぶことばかりでした。