小栗旬&窪塚洋介は「正しいと思う表現をしている人」『フロントライン』キャスティング秘話が明らかに

0

2025年04月11日 14:01  cinemacafe.net

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

cinemacafe.net

『フロントライン』特別試写会© 2025「フロントライン」製作委員会
小栗旬と窪塚洋介が映画『フロントライン』のキックオフイベントとして、日本体育大学にて約350名が在籍する保険医療学部救急医療学科の生徒を対象にした特別試写会に登壇した。

物語の舞台は、2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。乗客乗員は世界56か国の3,711名。

横浜入港後の健康診断と有症状者の検体採取により10人の感染者が確認されたことで、日本が初めて治療法不明の未知のウイルスに直面することとなった。この状況下で<最前線>に駆けつけたのは、家族を残し、安全な日常を捨てて「命」を救うことを最優先にした医師や看護師たちだった――。

この日、試写後には小栗と窪塚演じるDMAT(災害派遣医療チーム)隊員のモデルとなった、阿南英明医師と近藤久禎医師によるトークの後、生徒には内緒で小栗と窪塚がサプライズで登壇。未来の救急救命士たちを前に、当時のクルーズ船内での状況や、本作に込められたメッセージを語り、学生からの質問に答えるQ&Aも行った。

企画、脚本を担当した増本淳プロデューサーは、本作へのリサーチ期間を経て「1年ぐらい取材させてもらって、当時パソコン画面越しだったので、初めて(阿南医師と近藤医師に)お会いしたのは撮影に入る直前でしたよね。今こうしておニ人と立たせていただけた事が光栄です」と完成した思いを語る。

続けて、「当時『THE DAYS』を撮影していて、10日ぐらい経った頃にコロナの影響で撮影が止まってしまいまして。どうにか続けたいと思って、日本で一番新型コロナウイルスに詳しい方にどうやって撮影したら安全なのかを聞きたいというのがあって阿南先生たちに話をうかがって。何度も取材をしていくうちに、撮影再会のための取材よりも、ダイヤモンド・プリンセス号でそんな事があったんだという話を聞いて当時の報道と違うところがあったので興味を持ちました。これは何らかのかたちで伝えられたら意味があるなと思ったのがきっかけです」と本作の企画についてふり返った。

DMATの組織について近藤医師が「ちょうど今年で発足から20年になりますが、被災地の都道府県の要請に基づいて、個々の医療機関からチームが派遣されるシステムになっています。実際に出動するのはDMATに登録しトレーニングを受けている医師や看護師などになります。災害時に現場に行き、被災地で頑張っていらっしゃる医療機関を支える、そのためであれば何でもやるという組織になっています」と説明。

DMATの活動をする上で最も大事にしていることを問われると、阿南医師は「それぞれの現場で困っていることが違うんですよね。違う困りごとを一瞬で拾い上げて支援のかたちを構築することを心がけてます。船の中で困っている人がいる、では私たちは何をするべきなのかを考えて動いていったということですね」と話した。

小栗旬が劇中で使用した聴診器は実際のもの
阿南医師をモデルにした結城を小栗が、近藤医師がモデルになった仙道を窪塚が演じ、そのキャスティングについて「取材を通してお二人からの言葉で素敵だなと思ったのが、災害時は何も決まってないから立場がどうとか、セクションがどうではなくて、できることは全部やるということでした。色んな人に批判もされるでしょう、それでも我々はやるんですとお話されていて、批判を恐れずに困っている人のために厳しい状況に立ち向かっていくキャラクターを誰にお願いするかとなった時に、批判を恐れずに自分が正しいと思う表現をしている人は小栗旬と窪塚洋介なんじゃないかと思ってオファーしました」と明かした。

小栗についての印象を阿南医師は「芝居に入るとぐっと入り込んで集中されてたんですけどそれが魅力的で。小栗さんが劇中で使っていた聴診器は実際に僕のものなんです。診察のシーンは研修医にもこうやってほしいなと思うくらい、本当にすごい再現性でしたね」と話し絶賛。

ここで阿南医師から「今日は僕らの仲間が来ています!」という紹介と共に、メインキャストの小栗と窪塚がサプライズ登壇、生徒から歓声があがり大盛り上がりとなった。

小栗は今作のオファーについて「増本さんに脚本を読ませてもらった時に、取材されたものってどれくらいあるのか聞いたら、もの凄い分厚い資料が送られてきて、それを読んだらどれ位強い想いでこの作品を作りたいのかが伝わってきて、これは参加しないわけにはいかないと思いました」と回顧。

窪塚は「正直最初は警戒したんですけど、まるでドキュメンタリーのようなリアリティのある脚本であった事と、撮影の初日にキッチングローブが用意されていて、医療用の手袋じゃないんですかって聞いたら、実際に対応初日に間違えてキッチングローブが届いちゃったんですというのを聞いて、これは緻密な取材のもと作られているから背中を預けられるなと思いました」と裏話を交えて本作への出演について明かす。

さらに増本プロデューサーは、「小栗さんがこれはやるべきですよねって言ってくれたんですよね。芝居ができるとか、かっこいいのは十分知っているので、彼がそう言ってくれて相談して良かったと思いました」と話し、窪塚についても「彼から現場へのリスペクトを感じられたからやりたいと言っていただいて強く心を打たれました」と明かした。

小栗は阿南医師について「この脚本に描かれているよりも実際はあくが強い方だからねと言われていたんですが、実際会ってみたら本当にあくが強い方たちで(笑)こういう方たちが熱意を持ってこの作品に向き合っていただけるなら大丈夫だろうなと思ったのが阿南先生への印象ですね。現場で段々熱くなっていく阿南先生の姿を見てしっかりやらなきゃと思いましたね」と話す。

窪塚は「もし目隠しをしてこの現場に連れてこられたら、当時の現場のままだからクラスターの現場がもう一度再現されたみたですって近藤先生が言っていたのが印象的でした。最前線にいた方がそう言うなら、ここで仙道として生きて仙道として芝居すればそう見えるんだという安心感がありました。“結城ちゃん”とバディで向き合っていく」と劇中の結城の呼び方についても触れ、実際に近藤医師が“阿南ちゃん”と呼んでいるということで2人の医師の関係性も忠実に再現されていることを明かした。

窪塚洋介「名もなきヒーロー、こういう人たちが守ってくれてるんだ」
DMATについても小栗は、「DMATは感染症チームじゃないのにこの危機を乗り越えたのがもの凄いことだと思いますし、自分もこれからも興味深く追いかけさせていただきたい」と敬意を表し、窪塚は「出てくる全ての人が素晴らしくて、名もなきヒーローというか、こういう人たちが守ってくれてるんだっていうのを感じました。人の想いやささやかな優しさでこの世界が満たされていたらいいなと思いますし、これから皆さんも救急救命士になっていくと思うんですけど、一人一人が主役で、大きな声ではないけどたくさんの期待を寄せられている」とメッセージを送った。

ここで会場に集まった学生からの質問に答えるQ&Aを実施。「この映画を作るうえで大切にしたことは何ですか」という質問に、小栗は「“やれることは全部やる”というのは持ちつつ、結城の役で自分があきらめたら全部終わっちゃうんだと思ったので“あきらめない”というのはテーマとして大事にしました」と回答。窪塚は「ぶれない事を大切にしていたはずなのに結城に激昂してぶれてしまう、この温度感やバディ感を大事にしました」と明かした。

さらに、この会場に集まった生徒を目の前にして改めて「こんなにたくさんの未来のヒーローたちがまっすぐ生きてるんだという事に息をのんだというか、胸がつまる思いがあります。そういう人達が支えてるんだと思って、応援してます」と熱い言葉でエール。

そして、これから始まる大学生活で、新しいことを始める時に心がけていることはとの質問に窪塚は「自分軸で歩いてきたなと思うので、それで今一番幸せだと思います」と語ると、小栗は「自分に期待しないようにしていて。元々自分に期待するタイプだったんですが、練習したこと以上のことって中々できないと思いうんです。日々できることをするというのをチャレンジするときは心がけてます」と話した。

最後に窪塚は、映画について「まだちょっと生々しい部分も残ると思うんです。こぼれ落ちちゃったものもあるけれど、この映画を通してそれも全て前に進む力にかえて、今日が一番若いと良く言いますから、皆さんの力もお貸しください」と話し、小栗は「これからの未来を作っていく皆さんに初めに見てもらえた事が非常に良かったと思います。洋介くんと言葉を借りて、僕たちも頑張りますので、皆さんも一緒にがんばっていきましょう」と挨拶して、イベントを締めくくった。

『フロントライン』は6月13日(金)より全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

    ニュース設定