【F1第4戦予選の要点】アップデート未投入も突然速くなったアルピーヌとブリアトーレ効果

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2025年04月13日 04:20  AUTOSPORT web

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2025年F1第4戦バーレーンGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
「フラビオの誕生日だからね。悪くなかったんじゃない?」

 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が驚異的なパフォーマンスを発揮し予選5番手、グリッド3列目を獲得した。ミスを犯したとはいえ今季タイトル候補のランド・ノリス(マクラーレン)に0.051秒差、前戦勝者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)には0.207秒の大差をつけた。

 上を見れば4番手のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とは0.003秒、3番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)とも0.041秒の超僅差。予選3番手でグリッド2列目を陥れる可能性も、十二分にあったということだ。

 ちなみに冒頭の“フラビオ”とは、今年からアルピーヌF1のエグゼクティブアドバイザーに任命されたフラビオ・ブリアトーレを指す。予選当日の4月12日が75歳の誕生日だった。

 ブリアトーレはアルピーヌF1の前身、ルノーF1のチーム代表だった2008年、第15戦シンガポールGPでネルソン・ピケJr.に故意にクラッシュすることを命じ、フェルナンド・アロンソ(当時はルノーに在籍)の優勝を仕組んだクラッシュゲート事件の首謀者として、一時はF1から無期限追放処分を受けた。そんな人物の復帰には、今も批判の声が多い。

 そのあたりを忖度してか肩書きはあくまで『エグゼクティブアドバイザー』だが、実質的にはチーム代表と言っていい。アルピーヌが来季よりパワーユニットをルノー製からメルセデス製に切り替えることになった一件に深く関わっていることは確かだし、2月にはイタリア最大の石油会社Eni(エニ/旧アジップ)をメインスポンサー&再生可能燃料の供給パートナーとして引っ張り込むことに成功した。

 FIA F2に参戦するハイテックのオーナーで、現アルピーヌF1チーム代表のオリバー・オークスは確かにやり手だが、ブリアトーレの前では新入社員のように小さくなっている。おそらくドライバー選定も、オークス代表ではなくブリアトーレが最終的な決断を下しているだろう。チームスタッフもブリアトーレの方を向いて仕事をしているのは間違いない。

 ガスリーが無線でブリアトーレの誕生日に言及したのも、そんな文脈からということだ(本当に祝う気持ちがあれば、ハッピーバースデーくらい歌ってもいいだろうとも思う)。

 とはいえガスリーの予選5番手は、文字通り衝撃だった。初日フリー走行1回目(FP1)は2番手。しかし予選とほぼ同じコンディションで行われたFP2は、17番手に沈んでいた。「冬のテストと違いすぎた」、「ソフトタイヤがぜんぜんダメだった」という言葉は、予選に向けて不安を感じさせた。

 それでも予選直前のFP3では6番手と、再び速さを取り戻した。そして予選本番もQ1は8番手、Q2ではマクラーレン2台に次ぐ3番手タイムを叩き出し、Q3に進出してみせた。チームメイトである新人ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)も11番手につけたのを見れば、今週末のアルピーヌは中団勢トップの速さがあるといえそうだ。

 しかし今季ここまでの3戦では、予選は9番手、レースもオーストラリアGPの11位が最高位。全10チームでポイントを獲得していないのは、現時点でアルピーヌだけだ。それが突然、速くなった。車体のアップデート? いや、アルピーヌは開幕以来今回も含めて、一度もアップデートをしていない。

 ガスリー自身はF1デビュー年の2018年にここで予選6番手、決勝も4位に入る大活躍を見せた。その後も上位グリッド獲得や上位入賞を重ねており、バーレーンが得意なのは確かだが、それだけでは説明できない。

 やはり、『ブリアトーレ効果』ということだろうか?

[オートスポーツweb 2025年04月13日]

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