映画『アマチュア』(公開中)主演兼製作のラミ・マレック、共演のレイチェル・ブロズナハン (C)ORICON NewS inc. 映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)でフレディ・マーキュリーを演じ、アカデミー賞主演男優賞に輝いたラミ・マレック。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21年)、『オッペンハイマー』(23年)などの話題作への出演が続く彼が、主演に加えプロデューサーも兼任した映画『アマチュア』が4月11日より公開されている。公開直前に来日したラミ・マレックと、共演のレイチェル・ブロズナハンにインタビューした。
【画像】映画『アマチュア』場面写真 本作は、戦闘経験ゼロの殺しの“アマチュア”である内気なCIA分析官チャーリー・ヘラーが、最愛の妻の命を奪ったテロ組織に挑む、予測不能な復讐スリラー。
プロデューサーとして本作に深く関わったラミ・マレックは、レイチェル・ブロズナハンの起用に強い思いを抱いていたという。彼女は、『マーベラス・ミセス・メイゼル』で2度のゴールデングローブ賞主演女優賞に輝き、今年7月公開予定のジェームズ・ガン監督作『スーパーマン』でロイス・レイン役も控えている。
ラミは「プロデューサーとして関わる上で、最高のキャストを集めることにこだわりました。レイチェルに関しては、昔からの知り合いということもあって、彼女しかいないと思って声をかけました。サラというキャラクターは、チャーリーにとって人生の光そのもの。知性、カリスマ性、内面からあふれる魅力を持つ女性である必要がありました。レイチェルなら、それを苦労せず自然に表現できると思いました。チャーリーを復讐に駆り立てる原動力になる存在として、完璧でした」。
そう言われて、「この先一生、共演し続けたいわ」とラミへの親愛の情をみせるレイチェル。「特別な作品でご一緒できて光栄です。役者としてだけじゃなく、プロデューサーとしてのラミの姿も見ることができました。彼は本当に謙虚だから、代わりに私が声を大にして言うわね。彼には明確なビジョンがあって、誰よりも努力を惜しまない人。チーム全体を支えてくれる存在でした。この作品が成功したのは、たくさんの才能あふれる人が関わっていることもあるけれど、やっぱり多くはラミの背中にかかっていたと思います」と話した。
レイチェルの撮影初日は偶然にも誕生日だったという。「初日でせりふがうまく言えなくて…時差ボケのせいかな(笑)。でもその日、ラミがすごく素敵なバースデーパーティーを開いてくれたんです。本当に感謝の気持ちでいっぱいでした」と、エピソードを教えてくれた。
これを聞いて、ラミも「楽しかったよね、今回の現場で一番印象に残っいることかも」と笑顔に。「全力で演じるからこそ、ちょっとした楽しみを見つけることが支えになるんです。今回のチャーリーという役は感情的にも負荷が大きかったので、心が沈む日もありました。そういう中でも分かち合える喜びがあるからこそ救われる。レイチェルを祝福することが僕にとっても大事な時間になりました」。
ラミは『ボヘミアン・ラプソディ』での来日をきっかけに日本が大好きになったそうで、今回の来日も本人たって希望で実現したという。
「プロデューサーとして、プロモーションツアーに日本を必ず入れてくださいと頼みました。日本での思い出は本当に特別です。7年前、『ボヘミアン・ラプソディ』で来日した時、試写会の終わりごろにこっそり会場を覗いたら、観客の皆さんが一緒に歌っていた光景が忘れられないです。映画館という場所で、知らない人同士が一体となって感動を分かち合える――それこそが映画の力だと思いました。日本は素晴らしい観客がいて、素晴らしい映画文化がある国。必ずまた来たいと、心から思っています」
■映画『アマチュア』
本作の主人公は、内気な愛妻家のCIA分析官チャーリー・ヘラー(ラミ・マレック)。妻のサラ(レイチェル・ブロズナハン)と仲睦まじく穏やかで幸せな日々を送っていたある日、ロンドン出張中のサラがテロリストによって突然命を奪われたことで、すべてが変わる。
「妻を殺した奴を見つけて、自らの手で裁きを下す」と最愛の妻を殺したテロリストたちへの復讐を誓うチャーリー。分析官としては非常に優秀だが、戦闘経験は0(ゼロ)。CIAの上官ヘンダーソン大佐(ローレンス・フィッシュバーン)に特殊スパイとしてのトレーニングを志願するが、大佐は「どれだけ訓練しても無駄だ。お前に人は殺せない」と一蹴。誰にも頼れないと悟ったチャーリーは、分析官として培った経験と並外れた頭脳、そして妻を殺したテロリストへの憎しみだけを武器に、たった一人で無謀な復讐を企て、実行していく。
CIAにすら予測不能な“チャーリーならではの方法”でヨーロッパ各地に潜むテロリストたちを追い詰めていく姿は、フィクションでありながら説得力を持って描かれる。そして、“人を殺せないスパイ”の復讐劇がたどり着く先にある衝撃の結末とは?
スパイスリラーとしてのハラハラドキドキ感と同時に、愛と喪失、そして再生という普遍的なテーマも描く本作。ラミ・マレックの静かで燃えるような演技と、レイチェル・ブロズナハンの知的で優雅な存在感、力任せのアクションではなく、頭脳を武器に戦う復讐劇、『ミッション:インポッシブル』とも、『ボーン・アイデンティティ』とも異なる新鮮な体験を観客に与えてくれる。