防衛費圧力、増幅を警戒=対中抑止に「ディール」上乗せ―日本政府はや予防線

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2025年04月13日 07:31  時事通信社

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時事通信社

記者会見する中谷元防衛相=11日、国会内
 日本政府がトランプ米政権から防衛費増額圧力が高まることに警戒を強めている。増額要求を対中抑止強化の観点から公言してきたエルブリッジ・コルビー氏の国防次官就任が決定。トランプ大統領が関税措置を巡る「ディール(取引)」に絡め、要求を増幅させてくる可能性があるためだ。

 「大事なのは防衛力の中身だ。わが国自身の判断と責任で進めていく」。中谷元防衛相は11日の記者会見で、防衛費増額要求が米国から強まる可能性について問われ、こう予防線を張った。

 トランプ氏は2月の日米首脳会談後の共同記者会見で、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%とする日本の方針に関し「さらに増えるのを楽しみにしている」と表明した。ただ、その後は来日したヘグセス国防長官も防衛費を取り上げず、米国は表立って要求してきていない。

 もっとも、日本政府内では「嵐の前の静けさ」は過ぎ去りつつあるとの見方が広がる。米上院が8日、「日本は防衛費をできるだけ早く、少なくともGDP比3%にすべきだ」と明言してきたコルビー氏を国防総省ナンバー3に承認。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する日米協議が1年後に迫ってきたからだ。

 さらに日本政府を身構えさせるのがトランプ流のディールだ。「通常は通商と安全保障は切り離すべきもの」(政府関係者)だが、トランプ氏は関税措置見直しの条件として「驚くべきもの」を各国に要求。外務省幹部は「トランプ氏の頭の中で両者は一体だ」と指摘する。

 実際、トランプ氏は韓国の韓悳洙首相と8日に電話会談した際、関税措置と並べて在韓米軍の駐留経費負担問題を持ち出した。10日には貿易不均衡を指摘する文脈で日米安保条約を取り上げ、「米国が攻撃されても、日本は米国に何もする必要がない」と日本への不満をあらわにした。

 日本政府は関税措置見直しに向けた交渉カードとして、防衛装備品の購入拡大などを検討する構え。ただ、現在はGDP比2%の防衛費達成に向けて取り組んでいる途上だ。財源となる防衛増税もスタートできておらず、米国から過大な要求を突き付けられれば、対応に窮することも予想される。防衛省関係者は「トランプ政権の動きを注視していく必要がある」と語った。 

このニュースに関するつぶやき

  • もしかしたら核を積んでいるかもしれない原子力潜水艦をアメリカから購入すれば一番安上がりな抑止力になるのでは。まずそういう話も含めたディールができる総理大臣にしないと。
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