シソンヌじろうに大人計画ベテラン・池津祥子&伊勢志摩メロメロ「かっこいい〜」 コントと芝居の“境界線”とは

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2025年04月13日 09:10  クランクイン!

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(左から)伊勢志摩、シソンヌ・じろう、池津祥子  クランクイン! 写真:山田健史
 宮藤官九郎が脚本、木野花が演出を手がける舞台、平凡パンチライン『Wife is miracle〜世界で一番アツい嫁〜』。大人計画の女優陣5名と、同劇団初参戦となるシソンヌ・じろうが共演するとあり、発表されるや否や大きな話題になっている。今回は、劇場で長年笑いを生み出し続けてきた池津祥子と伊勢志摩、そして『キングオブコント』王者であり現在は審査員も務めるコントの雄・じろうの3人にインタビュー。コントとコメディに感じる違いから、演劇人と芸人それぞれの笑いに対する思いまで聞いた。

【写真】“嫁感”たっぷりな池津祥子&伊勢志摩、じろうとラブラブショット

■シソンヌ・じろう、“大人計画との親和性”はいかに?

――じろうさん、大人計画には今回初参戦となります。稽古スタートが迫る今、どのような心境でしょうか?

じろう:楽しみが一番大きいです。子どものころからおばさまに囲まれていたので。いつもは(相方の)長谷川(忍)さんと2人でやっているので、あまり慣れていない環境で緊張はすると思うんですが。

――伊勢さん、じろうさんとは『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』(TBS系)で共演経験がありますが、どんな印象でしょうか。

伊勢:現場で一緒だったんですが、あいさつしたくらいで。その後舞台で共演することがあるなんて当時は思ってないので、「お、芝居うまいなぁ〜」とか思って見てただけ。この度じろうさんにオファーさせていただいて、「ドラマの時にもうちょっと仲良くしとけばよかった……」って思ったんですけど、でも穏やかな方なので、全然心配はしてないです。

――池津さんはじろうさんとは初共演になります。

池津:私は下北沢の飲み屋で1度お会いしたんです。荒川(良々)くんと一緒にいらっしゃって、ごあいさつして。それ以来です。

――大人計画の男性陣とじろうさんを比較するとどうでしょう。

池津:もうね……全然違います(笑)。

伊勢:じろうさんが上品すぎて! うちの人間も下品なわけではないんですが、競馬新聞を足組んで読んだりとか、そういう感じの人もいるし……(じろうさんは)稽古場で競馬新聞は読まないでしょうね。分かんないけど! 共演した時にも思ったんですが、とても観察力がある。繊細な人なんだろうなって思ってます。大人計画の人間も繊細な男たちばかりですが、その繊細の出方が全然違うなと思って楽しみ。“おばさま寄り”の方だろうな。

池津:(じろうさんは)話しかけやすそうな空気を出してくださってますね。うちの人たちだと、「うるせえ、話しかけんな」みたいな雰囲気を私が勝手に感じるときがあるけど(笑)、そんな感じじゃなさそうな気はしてます。でも、うるさかったら本当に言ってください。

じろう:(笑)

――ほかの出演者の方々も含めて、この人のこの役が面白そう! というものは?

伊勢:宍戸美和公さんが、企画会議の時から面白いことを言いっぱなしなの。口数がとても少ないのに、言うことが「ちょっともう何言ってんの?(笑)」みたいなことが多くて。ものすごく面白いので、宍戸さんを見てほしいというか、私も見たいっていうか。

池津:台本がこれからなので……全員面白くなることを目指したいです。そう言えば……ずっと黙ってた宍戸さんが会議で喋り出した時に、すっごい声に痰が絡んで「ガラガラ……」ってなったりしてる。あれ面白いよね、芝居中にもたまにある(笑)。

伊勢:あ、なってるね(笑)。

じろう:僕はもう全ての方との絡みが楽しみですね。皆さんの新しい引き出しを開けてあげて、「私こんなことしたらウケるんだ」という新しい発見のお手伝いができればと。

伊勢・池津:素敵〜。

■シソンヌと大人計画は実は近い? コントと演劇、その境目

――コントをやりながら、ドラマや舞台で俳優としても活躍するじろうさん。コントとコメディの明確な違いや共通点は感じられますか?

じろう:お笑いの土俵でのコントに関して言えば、分かりやすく設定があって、それをまずお客さんに分からせてから、そこから想像できる面白いものをボケていく。ドラマだとストーリーがまずあって、そこに人間性の面白さだったり、設定と関係ない会話としての面白さだったりがありますね。

――演じていて、別物という感覚なんでしょうか?

じろう:でも、僕は割とお話っぽいコントを作ることが多いので、多分他の芸人よりはあんまりそこに違いを感じていない方だと思います。

――大人計画の皆さんは逆に、「コントっぽいお芝居」にも出演されてきました。コントに対してはどんなイメージがありますか?

池津:差はないような気もするんですけど、ひとつ違うとしたら、ツッコミが入ることですね。コントの方が割と細かくツッコミがちゃんと入るけど、お芝居だとツッコミが何もないまんまっていうぐらいかな。ただ、ここ笑わせたいってところは意識します。台本を読んだ時に自分が笑ったところは絶対笑いを取りたいと思うから、そこに向けては頑張ります。

伊勢:大人計画ではかなりコントに近いことをやっていて。いわゆる「演劇」みたいな話だと、セリフの意味をものすごく自分の中で解釈したりするらしいんですよ。やったことないんですけど(笑)。だからそういう違いなのかな。

池津:この前のお芝居ではやったんでしょ?(笑)

伊勢:この間、青年座さんのお芝居に出たんですけど、稽古すればするほど、セリフがゆっくりになるんですよ。びっくりしちゃって。それで面白いんです。私はこのセリフはリズムで面白いと思ってたけど、こんなに噛み砕いて言うとまた違う面白さがあるんだな、それが演劇なんだって思ったりして。コントと演劇の違いってそういうことなのかなって、ちょっと考えてしまいました。

――今回、芸人さんであるじろうさんと共演することとなりますが、別ジャンルの方との舞台でのやりとりに期待することはありますか?

池津:私は何度か芸人さんとご一緒したことあるんですが、それぞれ違っていたので、じろうさんがどういう稽古をされるかすごく楽しみです。昔、コントっぽいお芝居でバナナマンさんと共演したことがあって。役者たちが全力で稽古しているのを見て、「えっ、稽古中からそんな本気でやるんですか?」って驚かれたんです(笑)。多分新鮮さを保つために稽古は軽い打ち合わせ程度で、本番で全力でやるってことなんだろうなと思って、作り方が全然違うんだと知って。それは面白い経験でした。

伊勢:シソンヌさんのネタを見ると、軽いノリで稽古してっていう感じでは絶対にないと思ってるんです。(演劇と)非常に近いやり方をしてるのではと。うちはコント的なお芝居をやっていて、じろうさんはお芝居的なコントをやってらっしゃるから、ものすごく親和性はあるんじゃないかなと思っています。

池津:でもあの感じ、回数はやってないんじゃないかな?

じろう:稽古は、1ヵ月ぐらい稽古場を取ってしてます。

池津:台本は決まっているけど、掛け合いはラフな感じが残っているじゃないですか。その新鮮さを残すために何度もやってないような気がしたんですけど。

じろう:稽古期間は押さえているんですけど、そんなにやらないですね。やっぱ飽きちゃうんで、2人とも。長谷川さんは“ツッコミたい病”なんで、下地をしっかり作ったら、もう何言っても返してくる。だから本番で、思いついたこと適当に言っちゃう(笑)。

伊勢:あ、そうなんですか!?

池津:かっこいい〜。

■伊勢「期待は絶対に超えないと!」新たな挑戦に意気込み

――じろうさんは、『LIFE!』(NHK)などで俳優さんとコントをされることもありますが、お笑い畑でない方との笑いのやり取りについてはいかがですか?

じろう:笑いに対してのアプローチの仕方が、やっぱり芸人と役者さんじゃ全然違うなって思います。一緒に舞台に立つと、「こういう笑いの取り方もあるんだ」っていう発見も多分あると思うんですよ。

――最後に、劇場にいらっしゃるお客様にメッセージをお願いします。

池津:とにかくびっくりするような芝居にしたいと思います。見たことないような、面白いものになるはずですので、お待ちしております。

じろう:生でものを見るということがどんどんなくなってきてるというか、なんでも動画で見れるような時代になってきたんで、生でこんなに笑えるんだ、面白いんだって思ってもらえる作品になったらうれしいですね。

伊勢:知り合いからも面白そうですねってよく声をかけられるんですが、期待値が大きい気がするんですよ。それを周りの人と話してたら、なんか緊張してきちゃって(笑)。プレッシャーがちょっと来てますね。

池津:すごいよね。お友達から連絡来るのが早かった。

じろう:すごく言われます、僕も。

伊勢:その期待は絶対に超えないといけないですね!

(取材・文:小島萌寧 写真:山田健史)

 平凡パンチライン『Wife is miracle〜世界で一番アツい嫁〜』は、東京・本多劇場にて6月19〜29日上演。
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