所属事務所の縦型ドラマレーベル『FANFARE』で企画プロデュースと主演を務める高橋文哉 (C)ORICON NewS inc. 芸能事務所のA-PLUSは12日、縦型ドラマレーベル『FANFARE(ファンファーレ)』を発足させた。その第1弾企画として、20周年を迎えた東京ガールズコレクション(TGC)協力で、A-PLUSに所属する俳優・高橋文哉(24)が企画プロデュース・主演の縦型ドラマを制作することとなった。12日に行われた『麻生専門学校グループ presents TGC 熊本 2025』で、その作品の出演者オーディションの開催も発表。募集期間は4月12日から5月31日まで。未経験者も応募可能で、合格者は演技レッスンを受けた上で、制作する縦型ドラマへ出演する。また、合格者はA-PLUSとの所属交渉の権利が与えられる。そんな作品に企画プロデュースという立場で関わることになった高橋にORICON NEWSがインタビュー。自身もオーディションで飛電或人/仮面ライダーゼロワン役を勝ち取り『仮面ライダーゼロワン』に主演した高橋に『FANFARE』への思いを語ってもらった。
【写真】若い!『仮面ライダーゼロワン』当時の高橋文哉■縦型ドラマレーベル『FANFARE』第1弾に企画プロデュース・主演「少しでも力になれるなら」
――どういった経緯でお話が来たのでしょうか?
【高橋】社長から「縦型のドラマレーベルを作るから力を貸してくれ」と言われました。最初は主演をやるということ以外の関わり方は決まっていませんでしたが、打ち合わせで僕がポロっと原案を提案したことから、企画プロデュースという関わり方になりました。なので、初めから企画プロデュースという肩書きで始まったものではなかったのですが、流れの中で企画プロデュースという立場になりました。
――普段から縦型ドラマ結構ご覧になったりしますか?
【高橋】やっぱりTikTokが流行っているので、その流れで見たことはありました。でも、企画プロデュースという立場になるまでは、ほとんど見ていなかったんです。そこからショートドラマアプリのUniReelさんなどを自分の携帯に入れて、そこでちゃんと縦型ドラマというものとして初めて見ました。
――見た感想自体はいかがでしたか。
【高橋】正直な話をすると、違和感がすごくあるなと思いました。たぶん、僕が今までずっと横型のお芝居をしてきたので、皆さんよりも余計に感じていると思うんです。縦型の画角になると、切り取り方が変わるんです。横の画角だと役者の顔があって背景があるものが、縦の画角になると背景の部分が狭くなって顔だけではなくて胸ぐらいまで入ってくる画角になる。お芝居をする中で気を配る範囲が広がる感じがしました。なので見る側は、俳優から得られる情報が増えると思いましたし、縦にすることでしか見せられない表現があるのは間違いなく感じました。『FANFARE』をきっかけに、このタイミングで出会ったことで得るものは大きいかなと思います。
――縦型を経験して、横型の撮影をした時にプラスになることはありそうですか?
【高橋】今はあまり感じないようになってきましたが、デビューした当初に「今撮られてるのはここだから、ここでお芝居をしよう」と言われてきたんです。引きと寄りで芝居が変わる感じです。もう今はどこを切り取られてもいいように演じているのですが、その狭さみたいなものがある意味なくなるのかなと思っています。
――縦型ドラマの魅力は?
【高橋】さきほど言った違和感というものが皆さんからしたら新鮮になると思います。その新鮮という部分を意識して作ってきたいです。やはり見ていて見なきゃいけないところが増えるということは、見てもらえるところが増えるということなので。難しいこともあるかもしれないですが、横型ドラマにはない魅力を引き出す力もあるなとは思います。
――逆に難しそうだなと思うところは?
【高橋】僕が撮影するわけではないですが、横型よりも背景での表現が少なくなると感じています。2ショットを撮るとしたら絶対に引かないといけないので。横型だと顔と顔だけの2ショットが撮れますが、縦だと顔と顔がかなり近い距離感じゃないと撮れないんです。そうなると腰とか膝上ぐらいまで入ってくる。2人きりの世界にしたいけどできないという部分が増えてくると思います。そこでうまく2人だけを引き立たせないといけない。同じことをやってるけれど、縦と横になるだけで全く別物になるのを感じています。
■企画プロデュースという立場で新たな学びも プレッシャーを感じる日々
――『FANFARE』に企画として携われることの楽しさは?
【高橋】最近、初めて外部のスタッフさんも加わった打ち合わせをしましたが、一気に現実味が出てきました。熱量はすごく高くやっているつもりなので、初めての試みをはじめましての方もいますが、今回ご一緒させていただく方々の中でやらせていただくのはすごくうれしいなと思います。
――今はプレッシャーを感じていますか?
【高橋】今は、それしかないです。なので今は芝居のことを何も考えていないです。自分がやる役を自分が作るということは今までにない。そこが入ってくると、また全然違う感じになる気もしていて。自分では、やりやすい役、やりにくい役があまり存在しないタイプだと思っているんです。逆に「この高橋文哉が見たいな」というのがあるかを、いろんな人に聞いています。プロデューサーの皆さんや、この企画と関係のない今一緒にやらせていただいている方や、お世話になった先輩方に「今のこの高橋文哉というパブリックイメージがある中で、縦型ドラマで見たい役ありますか?」と。それが実現するか、しないかは置いておいて。自分が演じる役について考え始めたら、もっとプレッシャーを感じると思います。
――作品打ち合わせから参加してみての学びは。
【高橋】ペラ1の紙ぐらいで企画を投げさせてもらったことから始まり、脚本を書くわけでも、監督をするわけでもないですが1番最初の0から1を作る仕事を任せてもらったことは本当にありがたいですし、とても勉強になっています。僕ら俳優は原作があったら原作者の方とお会いすることはありますが、意外と脚本家さんとお会いする機会があまりないんです。だから見えないところは、こうやってできているんだと感じています。いろいろなものが、いろいろな方のところを通って揉まれてきて、やっと僕らのもとに届いてるんだなと今回改めて感じました。
――縦型ドラマを見て、そこから企画に生かしていることは。
【高橋】今の縦型ドラマは“とあるジャンル”の作品がすごく多くなっているように思います。ただ、縦型ドラマだけでなく、すべてのエンタメはそういうふうにできているというか、エンタメの仕事は人が求めているものを作るのが仕事でもあるので、どうしても設定が偏ってしまうとは思いますが、僕らは全く違うものを作ろうとしています。パクチーみたいな作品を作りたいです。もし合わないのであれば、それは出会いの問題なのかなと。
――それはプロデューサーとして、作りたい方向性だったんでしょうか?
【高橋】僕は企画を出した段階では全くそうは思っていなかったのですが、先日、縦型ドラマの制作チームと打ち合わせした時に、「パクチー」とおっしゃってくださった方がいて。僕が出した企画はそうなんだ、と気付きました。それまでは「どういう作品作りたいですか?」、「こういうのです」というだけだった。外部の方も入った打ち合わせで初めて縦型ドラマらしくないドラマであると知りました。それなら、そこに向かいたいな、と。僕が縦型ドラマへのイメージを持っていたから違うところに行きたくてこの企画にした、というよりは、自分が出したものがたまたまパクチーだったんです。それを実現するために今は話をしている最中です。
――今回はその作品に出演する俳優のオーディションをします。
【高橋】まだどんな気持ちでそこにいたらいいのかわからないんですよね…。当初はオーディションも、そこまで関わらない予定だったのですが、それは嫌で。行けるところは全部行こうと思っています。書類から見ようと思っています。社長に『FANFARE』の一発目を任せてもらいましたし、合格者は、うちの事務所との所属交渉の権利も与えられます。オーディションで自分は見出してもらった。と言っても、数多くオーディションを受けている方の人間ではないかもしれませんが、オーディションの独特の緊張感、高揚感というのはすごく覚えています。その時の光景も、一緒にいた人も、見てくれていた人も目に焼き付いていて、全く忘れていません。だから今後も俳優という仕事をやっていく中で一生残る光景だと思った時に、応募者全員分の思いを背負いたいと思いました。オーディションを進んだ人は、最終的に僕が一緒にお芝居させてもらえる。だったら0から100までちゃんと関わりたいなと思いました。できるところは全部やろうと思っています。
――膨大な量の書類が来ても?
【高橋】もちろんです。まだ、どれぐらい来るかわからないですけど(笑)。
■自身のオーディション経験を振り返る 『仮面ライダーゼロワン』からの5年も総括
――自分がオーディションを受けた時を振り返って。
【高橋】仮面ライダーのオーディションは事務所に所属している、その事務所の推しの俳優が受けるもので、誰でも受けられるものではないと思うんです。仮面ライダーは、確固たる決意を持っている人しかその場にいない。でも僕らが今やろうとしているオーディションは逆にまだ何もなくていいんです。なんだったら「役者になりたい」というハッキリした思いもいらないです。自分が興味のあることに対して一歩踏み出すきっかけがこのオーディションであったらいいなと思います。夢への第一歩という言葉はよく聞きますし、綺麗事になりすぎてしまうのかなと思も思いましたが、本当に心からそう思っています。今の時代は何をしたらいいかわからない、夢がなかなか見つからない人もたくさんいると思うんです。その中で、一瞬の興味を行動に移すということをして欲しいと思います。
だから、どんな人に来てほしいとかもないんです。興味を持ってくれた人全てに応募してほしい。今回のオーディションの募集年齢があるのですが、「この年までは絶対募集した方がいいです」と言って僕が募集年齢の上限を上げてもらいました。僕がそうだったのもありますが、小さい頃、ずっとテレビを見ながら「この中に入るにはどうしたらいいんだろう」と思っていましたが、なかなか言えなくて。本当に別次元の仕事だと思っていました。大人になっていくにつれて「実は違うな」と気付きましたが、それに気付く年齢は人それぞれなので募集年齢の上限を上げてもらったんです。自分が俳優を志したのも「俳優は誰でもできるんだな」と気付いて始めたんです。だから最初は何もいらないです。あるとすれば努力をする才能を持っていればいいなと思います。
――そんなオーディションで合格し、主演した『仮面ライダーゼロワン』の放送終了から5年が経とうとしています。この5年の歩みを振り返って。
【高橋】最高です。
――それはイメージ通りという意味で?
【高橋】あの時は5年後を想像してなかったので。1年後を考えたりはしていましたが。『仮面ライダーゼロワン』では、すごくプレッシャーを感じていました。そもそも売れるとは何かもわからなかったような状態でしたし。でも、19歳ながら、だんだん進んでいくにつれて「これは期待なんだな」と思うようになりました。プレッシャーではなくて期待なんだと受け取り方を変えてからは、すごく居心地が良くなって「期待に応えるためには何をしたらいいのか」とどんどん模索して、自分なりに向き合っていきました。5年という節目で言うと、そんな期待をしてくれていた人たちも「想像していなかった」と思われるぐらいだったらいいなと思います。
――やはり令和仮面ライダー1号は背負うものが多かったんですね。
【高橋】クランクインから、いろんなことを言われました。でも、令和仮面ライダー1号のタイミングでやらせてもらえたのは本当にありがたいことでした。監督、カメラマンさん、スタッフの皆さんの全ての思いを背負って表に立たせてもらって、その真ん中にいた。今ではできないようなことをたくさんやらせていただきました。生意気だったなと思いますが主演だからというだけで年上の方々をまとめようとしたり。昨年5年ぶりに井桁弘恵さんと共演して「大人になったね」と言ってもらえました。まとめないとという意識が強すぎて、あの時は失礼なこともたくさん言ったんだと思います…。キャストは一人ひとりではなくて「俳優部」という1つの部署であるのは仮面ライダーで教わりました。作品作りの中で上下が全くないのが仮面ライダーという作品。いろんな作品を作っていくにつれて、皆さんがすごく気遣ってくださるおかげもあって俳優は偉いものだと錯覚してしまう。でもそうじゃなくて、俳優もその作品作りの中の1つの部署でしかない。今もそう強く思っていられるのは仮面ライダーのおかげだなと思います。
――憧れを抱く存在は?
【高橋】今まで一緒にやらせていただいた主演の方にはみんな思います。自分が主演の時とはできることが全然違う。最初は「こういう人になりたい」と、ずっと思っていたのですが、この仕事において憧れの人を見つけることは、あまり相性が良くないことだなってことに気付いて。本当に十人十色の仕事なので。もともと俳優はやっていることが、まねごとに近いですし、なるべく嘘を減らして真実にしないといけない仕事。自分自身を疑っていくよりも信じていく方がこの仕事との相性がいいなと最近、気付きました。
――作品作りに影響は?
【高橋】自分にしかできないことはなんだろうと考え始めました。「こういう役だからこうなるであろう」ではなく、「この役を僕に任せていただいた時にどういうものを求められていて、それに対して自分がどういうものを表現できるのか」とだけ考えるようになりました。なので「こうなりたい」が今はなくなりました。
――最後に意気込みを伺わせてください。
【高橋】今までやってきたこととはまた違うものを作ろうとしている部分は、僕の役者業にもすごく生きているなと思います。この年齢で企画プロデュースというものをする時に、いろいろなご意見をいただくと思うんです。でも、そこには自分の中で責任感もあれば、不安要素もたくさんある。すごく覚悟を持ってやっている。「温かい目で見てください」とは全くもって思っていないので。厳しい目で見ていただきたいです。その中で自分がオーディションまで関わって、一緒にやっていく人を見つけるのは、すごく心が躍る。あと、最後はまた主演として違う立場で関わる。そこでは1つまた違うアプローチの仕方で1つの作品に向き合う。そこは温かい目で見ていただきたいです(笑)。見ている側もすごくいろいろな楽しみ方ができるものじゃないかなと思います。できることはやりたいなと思います。
■縦型ドラマレーベル『FANFARE(ファンファーレ)』とは
オーディション番組が、エンターテインメントの大きな潮流を作るようになった背景にある価値観。デジタルネイティブ世代である10代の若者が、既存のエンターテイメントよりも、自分自身の目で“見つけた”ものに価値を見出し、【見つけて、推す】、“推し活”自体がエンターテインメントとなっている。『FANFARE(ファンファーレ)』は、その価値観に寄り添い、YouTubeチャンネルを立ち上げ、その中で出演者のオーディションからレッスン・撮影と、作品ができるまで、そして、スターの卵が産まれる瞬間までを見せるドラマレーベルとなる。
■オーディション概要
<応募資格>
・12歳〜20歳の男女(※2025年5月31日時点で)
・国籍は不問(ただし、日本語で演技ができる方に限る)
・自薦他薦は不問(推薦者は事前に参加者の同意を得た上で応募すること)
・演技未経験の方も歓迎
・特定のプロダクション、マネジメント、レコード会社、音楽出版社等との契約がない方
■募集期間
4月12日〜5月31日(必着)
※6月30日までに合格者のみに連絡