「食べた瞬間に目が開くものってある」“旅する料理人” 三上奈緒、食べることの本質的な喜びを語る

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2025年04月13日 11:10  TOKYO FM +

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「食べた瞬間に目が開くものってある」“旅する料理人” 三上奈緒、食べることの本質的な喜びを語る
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00〜15:50)。4月6日(日)の放送は、旅する料理人こと三上奈緒さんをゲストに迎えて、お届けしました。


(左から)パーソナリティの小山薫堂、三上奈緒さん、宇賀なつみ



◆旅する料理人、キャリアスタートの転機

三上奈緒さんは東京農業大学卒業後、栄養士やフランスでの修行を経て、独自のスタイルを確立。“旅する料理人”として日本各地を巡りながら生産者と交流し、地元食材を活かした料理を提供。昨年は能登半島地震の炊き出し支援もおこなっています。食を通じて地域文化や人々の思いを伝え、「顔の見える食卓作り」をテーマに活動中です。まずは、旅する料理人になった経緯を伺いました。

三上さんは小学校の栄養士として働いたあと、どこかモヤモヤとした思いを抱えていたといいます。もともと地産地消や顔の見える食卓作りを大切にしたいという思いから栄養士の道を選びましたが、東京では畑が少なく、地元産の食材を給食に取り入れるのが難しい現状がありました。「(使用する食材が)誰が作ったかわからないというところに、すごくモヤモヤを感じていたんです」と話します。

4年間栄養士として勤務したのち、一念発起して退職。料理を一から学び直そうとフランスに渡りました。その後、紆余曲折を経て、アメリカ・カリフォルニアにある「シェ・パニース」で研修を受けた経験が、三上さんの人生を大きく変える転機となりました。

研修中、日本から訪れていた愛媛県のデザイン会社の方と出会い、キッチンを案内したことがきっかけで親しくなりました。愛媛で料理をしてほしいと声をかけられたことから、初めて“旅する料理人”としての仕事である「食事会」を開くことになったそうです。

◆東京と長野で2拠点生活

三上さんの仕事スタイルは、旅先で出会った食材を使い、その土地ならではの料理を提供するものです。「言うならば行き当たりばったりです。行ってみないとわからないですね」と、笑顔で語ります。

これまで訪れたことのない都道府県はまだまだたくさんあるといい、基本的にはご縁があって声をかけてもらった場所へ出向くスタイルをとっているそうです。最近では「魚突き」を始めたとのことで、「いつか沖縄の島などの魚突きができる場所に行って、自分で獲った魚を料理して食べてもらう機会があれば一大イベントだなと思います」と、声を弾ませました。

現在の活動拠点は、東京と長野の2ヵ所。長野を選んだ理由について、「長野は“縄文時代の銀座”なんですよ」と話し、縄文時代の足跡が色濃く残る土地で数多くの仕事をするなかで、運命的な魅力を感じたと明かします。

「縄文時代の文化に触れて、命との向き合い方は変わりましたか?」という小山の問いかけに対しては、「自分が食べているものに対する感謝の気持ちがあります。また帰ってきてねっていう“生命観”を意識するようになりました。食べたその先につながっていくものを感じるようになりましたね」と言います。

続けて、三上さんから旅する料理人としての経験の中で印象的だったエピソードについて伺いました。

「地元の人からもらったものに『すごくおいしい!』と言うと、『そんなにおいしい? ありがとう』という反応があります。私というよそ者が入ることで、(地元の魅力を)再発見されるシーンをたくさん見てきました」と三上さんは振り返り、旅する料理人としての役割を実感できたと話します。

これまでフランスでの修行や「シェ・パニース」での経験を活かして料理を作ってきた三上さんですが、最近では、鹿を丸焼きにするという原点回帰に近い調理法に目覚めたそうです。「薪でじっくり焼いて、おいしい塩を少しかけて、肉を素手でほぐしてそのまま食べる。これに勝るものはないと思っています」と明かし、さらに「そういう意味では、料理って何だろうとすごく思います」と続けました。

◆子どもたちの未来のため食育に尽力

三上さんは、食卓から未来を創造する学びの場「おいしいって、なんだ?」や、縄文から原点を学ぶ「縄文倶楽部」を主宰しています。また、食育にも力を入れており、その理由には自身が小学校の栄養士を勤めていた経験があります。「子どもは未来だと思っています」と話す三上さん。

現在、食の世界が崩れつつあると感じており、その背景には食についてしっかり学ぶことなく過ごしてきたことが原因ではないかと考えているそう。「これからの未来を作る子どもたちに何が一番大切なのか、食べるってどういうことなのか(を伝えること)に意義を感じているので、小学校とか親子と一緒にやるワークショップなどに力を入れています」と説明しました。

最後に三上さんに「おいしさとは何か」と尋ねたところ、「一言では言いづらいですけど、体が喜ぶものだと思います」との回答が。「食べた瞬間に目が開くものってあるじゃないですか。それで体に元気がみなぎってくるものだと思います」と話し、食べることの本質的な喜びを伝えてくれました。

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4月6日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年4月14日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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