ファイナルラップの熾烈な3台バトル。あと1周で表彰台を逃したAstemoのルーキー小出、濃密すぎたデビュー戦/GT500決勝

0

2025年04月13日 21:30  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

ファイナルラップに向かう、4番手17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTの小出と5番手ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT松下、6番手DENSO KOBELCO SARD GR Supraのフェネストラズ
 ウエットのセーフティカー(SC)スタートとなったスーパーGT開幕戦、第1戦の岡山。レースは実質スタートの1周目から波乱の展開となり、GT500の3台がマルチクラッシュなど、計4回のSC導入、FCY(フルコースイエロー)2回、赤旗1回、ペナルティが4台に課されるという荒れた内容となってしまった。トラブルやアクシデントが絶えない中、GT500のファイナルラップでは3台が3位表彰台を巡って熾烈なバトルとなった。その表彰台争いについて、レース後に聞いた。

 4番手17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTのルーキー小出峻、5番手8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTの松下信治、そして6番手39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraのサッシャ・フェネストラズの3台が僅差で並びながら入った82周目のファイナルラップ。

 3番手37号車Deloitte TOM'S GR Supraは10秒加算のペナルティが出ており、この時点では4番手の17号車Astemoの3位表彰台が目前という状況だった。サインガードで見守っていた17号車の金石勝智監督もあと1周と思っていたところ、「あれっ!? 帰ってけえへん!」という不測の事態となった。

 そのファイナルラップではバックストレートエンドのヘアピンで17号車と8号車、そして39号車が激しく最後のバトルを演じていた。まずは8号車松下信治に、その時の状況を聞いた。

「前(17号車)がGT300に引っかかっていて近かったので、それでヘアピンで突っ込んでインに入って(17号車を)オーバーテイクしました。僕ら2台がレイトブレーキしたものだから『おっとっと』とやっている間に、後の39号車に『ごっつぁんです』という感じで抜かれてしまい、しょうがないなと」と、松下。

 一方の小出は「バックストレートで後ろから(8号車と39号車が)来ていて、結構、牽制をしていたのですけど、それに対して8号車がヘアピンで割と強引に内側に入ってきた。そこで僕は外から被せようとしたのですけど、向こうがオーバーランしてきたので、そこで引いてクロスをかけざるを得ない感じになって、そのクロスをかけようとしたところで、内側から39号車が2台を抜いていきました」

 結果として39号車が2台を抜いて表彰台を獲得。そして、8号車と17号車はヘアピンの次の左コーナーで接触してしまい、17号車の小出がコースアウト。この接触で8号車の松下に40秒加算のペナルティが科され、8号車は7位、17号車はなんとかコースに戻り、8位でレースを終えることになった。

 GT500でのデビューレースで表彰台を目の前にしながら、チャンスを逃してしまった小出はレース後、悔しさを見せた。

「自分としては悔しいですし、もうちょっと違う選択がレースでできたのかなという気持ちです。(最後の)バトル自体の位置どりも、やっぱり自分でもう少し考え直さないといけない部分があると思いますし、そのバトルに至る過程が、やっぱり自分の中ではもう少しやりようがあったのかなと思っています。GT300の処理だったり、実際にコンタクトしたヘアピンでの位置取りとか、いろいろ選択肢はあったと思うので、自分としては課題が残るレースとして受け取っています」

 デビュー戦の小出に対して、金石監督も一定の評価をしつつも、課題を指摘した。

「途中までいい仕事してくれていたんですけどね、最後にちょっと経験不足の甘さが出てしまったかなと。(バックストレートエンドで)インを空けてしまったし、その手前のアトウッドでもちょっと行く場所をミスって、そこから始まっているので、その結果としてヘアピンでインに入られてしまっている。予選順位(11番手)を考えたら、そこまでは万々歳の展開でした。ドライバーもチームスタッフもみんな頑張って、本番のレースに向けていいクルマ作ってくれたのですけど、残念でしたね」

 それでも、見方を変えれば小出はデビューレースでウエット、ダンプ、そしてドライとさまざまなコンディションを経験し、さらに実質表彰台圏内を争ってバトルを展開するなど、ルーキーのデビュー戦としての内容は濃密すぎたと言っても過言ではない。そういうと、小出は笑った。

「正直言うと、コース上ではめちゃくちゃ大変でしたね」

「これだけクルマのいろいろな動きを経験したのは初めてで、本当にいろいろ盛りだくさんな展開を経験できたので、そう言う意味ではこのレースで一番たくさん経験値を得ることができたのではないかと思っています。その部分はいい部分として捉えたいと思います」

 今季ホンダ陣営の中で唯一のルーキーでもあり、ホンダ首脳陣の評価も高い小出。将来的にホンダ陣営を代表するエースに向けて、その第一歩は稀に見る混沌のレースとなった。

[オートスポーツweb 2025年04月13日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定