
コンプライアンス遵守に神経を尖らせ、しっかりした関連部署を設置している企業は昔より増えたことだろう。しかし
「ハラスメント対策をはじめとするコンプライアンスの実態に呆れ果てています」
こう憤りの投稿を寄せたのは、東京都の50代男性(事務・管理/年収350万円)だ。勤務先である大手保険会社傘下の保険代理店では、「親会社が『ハラスメントゼロ』を標榜している関係」で、職場でも同様のスローガンを掲げているという。
ところが、実態はコンプライアンス遵守の意識が著しく低いことを打ち明ける。どのようなハラスメント対策が行われているのだろうか。(文:林加奈)
「枯れ木に花を咲かせている」虚しさ
|
|
男性によると、立派なスローガンとは裏腹に
「実際にはハラスメントが横行しているのに、無かったことにして『ゼロ』にしているのです」
と問題が丸ごと無視、隠蔽されている状態だという。
「そのほかのコンプライアンスに関することも同様で、社内にはコンプライアンス関連のもっともらしい名称の部署がいくつかあるのですが、いずれも機能不全で、実際にはコンプライアンス上の問題点を予防できないし、発生しても右往左往している有り様です」
予防も対処もできないようでは、コンプラ部署の意味はない。しかし大企業ゆえに、コンプライアンス問題に真剣に取り組んでいるというポーズは取らねばならないのだろう。もはやハラスメントを隠蔽したり矮小化したりすることで、間違ったコンプラ対策をしているようにも見える。構造的な問題があることは明らかだ。
|
|
こうした会社の実態を知ってか知らずか、「会社のトップはどこ吹く風」状態で「我が社にはこういう仕組みが整備されているからコンプライアンス問題とは無縁だ」と胸を張るばかりだと男性は嘆く。
そんな会社に対して男性は
「枯れ木に花を咲かせているようにしか見えず、虚しい思いをしています」
と、落胆したように書いていた。
|
|