
元保護猫の「トーイ」ちゃんは、真っ白な被毛が美しい女の子。2019年6月11日、起業家でクリエイターの安田武史さん(@LastCowboy)に保護されました。
トーイちゃんを保護する1年前、安田さんは保護猫の会を介してキジトラの子猫「なつめ」ちゃんを迎え、保護猫活動に興味を持つようになったといいます。そして、思いがけない形でトーイちゃんと出会ったのです。
仕事中、耳にした子猫の鳴き声
ある日、安田さんは、会社のベランダに出たとき、子猫の鳴き声がすることに気づきました。
「あまりに必死な鳴き声だったので、スタッフと一緒に探し始めました」
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鳴き声のする方へ耳を澄ましながら進んでいくと、建物の隙間に生後間もない小さな白い子猫がいるのを発見。それが、トーイちゃんでした。手を伸ばしても届かず、すぐに保護することができなかったため、ごはんを置いて出てくるのを待つことに。
「1時間ほど様子を見ましたが、トーイは出てきませんでした。そのうち雨が降り始めたので、いったん会社に戻りました。30分ほどして再び見に行くと、トーイの姿はなくなっていました」
必死に周囲を探すと、駐車場の隅でずぶ濡れになりながら佇んでいるのを発見。魚釣り用のネットを使って、逃げ回るトーイちゃんをなんとか保護することができました。
「当時、なつめを迎えた保護猫の会から2匹目の猫を迎える直前だったため、トーイを保護したことを相談し、預かってもらうことに。病院で診察を受けると、重度の猫風邪にかかっていることが判明しました。すぐに治療を開始したところ、幸い1週間ほどで完治しました」
こうして、トーイちゃんは安田さんの家族の一員になりました。
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子猫の驚異的な身体能力に仰天!
トーイちゃんを迎えた後、先住猫のなつめちゃんとは異なる性格に驚かされることが多かったそうです。
「なつめはとてもおとなしい子で手がかかりませんでしたが、トーイは正反対でした。とにかく高いところが好きで、食欲旺盛。棚の一番高いところに保管していた猫用のごはんを、どうやってか食べてしまうんです」
不思議に思い観察していると、棚の横にある洋服かけから飛び移っていることが判明。
「子猫ながら、その身体能力の高さとごはんへの執念にびっくり。思わず笑ってしまいました」
また、同居猫の「アオ」ちゃんとは年齢が近いこともあり、すぐに仲良くなりました。家中を駆け回り、ふたりで大暴れする日々に、翻弄されることも多かったそうです。
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トーイちゃんとの深い絆と信頼
安田さんのもとで、トーイちゃんはすくすくと成長。現在、5歳を迎えました。
「とても甘えん坊で、仕事をしていると、パソコンデスクの上にやって来て、キーボードの上でヘソ天に。『撫でて』とアピールすることがよくありました。また、“お姉ちゃん気質”なところがあります。トーイのあとに迎えたテンちゃんに自ら近寄り、親猫のように毛づくろいをしてあげるなど、かいがいしく世話をしていました」
そんなトーイちゃんと安田さんは、お互いの足りない部分を補い合う関係を築いているそう。甘えたいときは全力でアピールし、ひとりになりたいときはそっと距離を取る。そのメリハリが、より深い信頼関係を生んでいるのかもしれません。
「喉をゴロゴロ鳴らしながら『かまって』とアピールしてくるときは、思う存分甘えさせています。そんなときは私も嫌なことを忘れて、トーイやほかの猫たちのために頑張ろうという気持ちになります。猫には、人間の心情を察する能力があるのかもしれませんね」
さらに、トーイちゃんたちとの生活には一定のルーティンがあり、それに合わせることで、安田さん自身も規則正しい生活を送ることができるようになったそうです。
トーイちゃんとの出会いを通して、飼い主さんは地域猫や保護猫に対する思いをより強くしました。
「外で過酷な環境にいる地域猫や、まだ里親さんが決まっていない保護猫たちが、一日も早く家族として迎えられることを願っています。もっと多くの人に、地域猫や保護猫を迎えるという選択肢があることを知ってもらいたいですね」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)