シーズン10チャンピオンのパスカル・ヴェアライン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)は、マイアミE-Prixで今季初優勝を果たした。 4月12日、2024/2025年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン11の第5戦マイアミE-Prixがアメリカのホームステッド・マイアミ・スピードウェイにて開催され、パスカル・ヴェアライン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)が優勝を飾った。
ルーカス・ディ・グラッシが2位に入り、ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームにとって初となる表彰台を獲得した。
今大会は市街地コースではなく、NASCARやインディカーなどの北米レースシリーズでお馴染みのホームステッド・マイアミ・スピードウェイを舞台に、オーバルコースの内側に設けられたロードコースが使用される。なお、第3戦ジェッダE-Prixで初導入されたピットブーストは行われない。
晴れ空の下、午前中に行われた予選では、ノルマン・ナト(ニッサン・フォーミュラEチーム)が自身初のポールポジションを獲得。チームとしても今シーズン初のポールとなった。また、ディ・グラッシがローラ・ヤマハ初となるデュエルスに進出し、7番手につける。
午後も日差しが強く、決勝のスタート前の時点で路面温度は50度に上昇。ほとんどのドライバーがバーンアウトせずにスターティンググリッドへ着く。26周の決勝レースがスタートすると、ホールショットを決めたナトが先頭をキープする。オープニングラップで5番グリッドから3番手に浮上したニック・デ・フリース(マヒンドラ・レーシング)が最終14・15コーナーでトップに立ち、2周目へ入る。
序盤は、各車ともエネルギー消費をセーブし、ペースを抑える。5周目にナトが先頭を取り戻すも、22台が連なる状況で、アタックモード使用にも消極的だ。9周目でセバスチャン・ブエミ(エンビジョン・レーシング)がポジションを保ったままにアタックモードに入ると、3番手に浮上する。
折り返しの13周以降に多くのドライバーがアタックモードを使用すると、目まぐるしく順位が変わり、15周目にはニコ・ミューラー(アンドレッティ・フォーミュラE)が17番手から一時トップに。タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチームの2台もアタックモードに入ると、16周目にはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタとヴェアラインのワン・ツー体制を築く。
17周目にデ・フリーズがマシントラブルで3コーナーでストップしたことでセーフティカー(SC)導入。デ・フリーズは自力で復帰できたこともあり、19周目からレース再開された。
20周目にダ・コスタが2回目のアタックモードを発動し、ヴェアラインを引き離しにかかる。しかし、その直後に10・11コーナーのシケインで、ジェイク・ヒューズ(マセラティMSGレーシング)、マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)、ミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)によるクラッシュが発生し、一度SCが入るもマシンの回収に時間がかかるとして赤旗中断となる。
約20分の中断を経て、23周目からスタンディングスタートでのレース再開がアナウンスされ、残すはわずか4周の超スプリントレースとなった。再開後、アタックモードを使い切っていなかった14台がエクストラパワーを発動。しかし、レースペースが速く、チェッカーまでにアタックモードを使い切れるかというところも考慮しなければならない状況だ。
24周目にはヴェアラインが首位に立ち、すでにアタックモードを使い切っていたダ・コスタはポジションを下げていく。ヴェアラインを先頭にロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)、ナト、オリバー・ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム)、ディ・グラッシのトップ5で最終ラップに入る。
ナトは、1コーナーでフラインスを抜いて2番手に上げると、チェッカー直前にホームストレートでヴェアラインを交わしてトップチェッカーを受けた。しかし、ナトをはじめ、アタックモードを使い切れなかったフラインス、ローランド、サム・バード(マクラーレン)、テイラー・バーナード(マクラーレン)は、レース後に10秒ペナルティが科されることに。
最終的にペナルティによる順位変動の末、ヴェアラインが今季初となる優勝を手にした。6番手でフィニッシュしたディ・グラッシが2位に続き、ヤマハとしては初の表彰台で初ポイント獲得を果たした。3位にダ・コスタが続き、ポルシェは今季3度目のダブル表彰台となった。
これでダ・コスタがポイントランキングでひとつ上げて2位、ヴェアラインも8位から3位に浮上。辛くも1ポイントを死守した形となったローランドは、15ポイント差でランキング首位をキープした。
フォーミュラE“シーズン11”の次戦は、F1でもお馴染みのヨーロッパ・モナコの市街地を舞台にダブルヘッダー第6&7戦『モナコE-Prix』が5月3〜4日に開催される予定だ。
■2024/2025年フォーミュラE第5戦マイアミE-Prix 順位結果
Pos./No./Driver/Team/Time / Gap
1/1/P.ヴェアライン/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/4'19.723
2/11/L.ディ・グラッシ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/+05.619
3/13/A.F.ダ・コスタ/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/+06.084
4/51/N.ミューラー/アンドレッティ・フォーミュラE/+08.447
5/48/E.モルタラ/マヒンドラ・レーシング/+09.070
6/17/N.ナト/ニッサン・フォーミュラEチーム/+09.881
7/33/D.ティクトゥム/クプラ・キロ/+10.033
8/4/R.フラインス/エンビジョン・レーシング/+10.142
9/27/J.デニス/アンドレッティ・フォーミュラE/+10.329
10/23/O.ローランド/ニッサン・フォーミュラEチーム/+10.925
11/21/N.デ・フリース/マヒンドラ・レーシング/+11.324
12/25/J-E.ベルニュ/DSペンスキー/+11.496
13/16/S.ブエミ/エンビジョン・レーシング/+11.868
14/2/S.バンドーン/マセラティMSGレーシング/+12.159
15/37/N.キャシディ/ジャガーTCSレーシング/+12.326
16/9/M.エバンス/ジャガーTCSレーシング/+12.704
17/7/M.ギュンター/DSペンスキー/+13.592
18/8/S.バード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+13.780
19/22/Z.マローニ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/+15.799
20/5/T.バーナード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+17.729
21/3/D.ベックマン/クプラ・キロ/-
22/55/J.ヒューズ/マセラティMSGレーシング/DNF
[オートスポーツweb 2025年04月14日]