京都大医学部付属病院 京都大病院は14日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った膵臓(すいぞう)の細胞シートを1型糖尿病患者に移植する臨床試験(治験)を開始し、40代女性患者に1例目の移植手術を実施したと発表した。無事に終了し、経過も良好で既に退院したという。iPS細胞から作った膵臓の細胞シートを臨床に応用したのは初めて。
女性患者は2001年に1型糖尿病と診断され、今年2月、インスリンを分泌する複数のシートを移植する手術を受けた。1カ月間、経過を観察し、安全性に問題がないことを確認した。
治験対象者は、この女性患者を含め、20歳以上65歳未満の1型糖尿病の患者3人。今後、2例目の移植に向けた準備を進め、移植後は5年間、血糖値やインスリンの量を測定する。26年以降、海外の患者も含めた治験で有効性を調べ、30年代の実用化を目指す。
1型糖尿病は、膵臓内でインスリンを作る「膵島(すいとう)」細胞が壊れ、血糖値を制御できなくなる病気。国内の患者数は10万〜14万人で、患者は毎日インスリンを皮下注射する必要がある。