「Z世代」や「老害」といった言葉で世代間が分断されがちな現代、なかなか孫と祖父ほどに年の離れた人たちが関わる機会は少ない。そんな年齢差のふたりが掃除のバイトを通じて交差する漫画『芦葉総一朗のガラクタ』がXに投稿されている。
「アフタヌーン四季賞 2024夏」で佳作を受賞した本作は、漫画家・藤のようさん(@fujinoY0)自身の経験をもとに生み出された。この作品に込められた想いとは何だろう。(小池直也)
――本作をXに投稿していかがですか? 手応えや印象的な反響などがあれば教えてください。
藤のよう(以下、藤の):たいへん多くの方に読んでもらえて、ありがたかったです。いただいた感想で印象的だったのは「涙が出たけど、なぜ泣けたかわからない」というもの。言葉にしにくい感情が表現できたかなと感じました。
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――本作は「アフタヌーン四季賞2024夏」で佳作受賞されたということで。
藤の:四季賞は子供の頃からの憧れだったので、ひとつ夢を叶えることができました。
――本作を描いたきっかけや着想は?
藤の:10代の頃に事務所掃除のアルバイトをしていたので、経験が半分を占めていると思います。こんなにドラマチックな展開はありませんでしたが。
――「中卒」や「掃除」というトピックを取り上げた理由も気になります。
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藤の:私自身、高校進学を選択しなかったので、そういった子供を主人公にしたいとずっと考えていました。掃除のお仕事にしたのは、捨ててしまうともう取り戻せないという不可逆性にドラマを感じたからかもしれません。
――「老害が〜」「Z世代が〜」と言われがちな世代分断の社会で両者が関わり合う物語が印象的でした。「世代を超えて人と人が関わる」ということについて、藤のさんは何を考えてらっしゃいますか?
藤の:親の庇護下から社会に出ると、世代の違う人と関わるのは避けられません。世代が違うと全く違う人間だと思ってしまいがちですが、拒絶せずに関わっていくことができれば、お互いに「同じ人間なんだ!」と思う瞬間があると思っていて、それが人と関わる楽しさだなあと考えています。
――キャラデザインや作画でこだわっていることは何でしょう?
藤の:この作品に関しては、主人公は中性的なデザインにしようと決めていました。こだわりというか、なるべく見たときのノイズを減らしたいなと思っています。
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――よろしければ、藤のさんの最初のバイトと思い出を教えてください。
藤の:地元のうどん屋さんです。それこそ中学校を卒業してすぐの未熟な子どもでしたが、経営者のご夫婦やひと回り年上の同僚が温かく育ててくださったのが、いい思い出です。
――今後はどんな作品を描いていきますか? 展望なども含めて教えてください。
藤の:今後も人と人との関わりや、人が成長することについて、生きづらさについて、言葉にしにくかった部分を表現していけたらなと思っています。連載したいお話の構想もあるので頑張ります。
■『芦葉総一朗のガラクタ』は「アフタヌーン四季賞 2024年夏のコンテスト」で佳作受賞。「コミックDAYS」でも無料公開中!
■藤のよう初連載作品『せんせいのお人形』も好評発売中!
(文・取材=小池直也)
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