決勝の500周のうち、実に411周をリードしたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、NASCARカップシリーズ第9戦『Food City 500』を制して今季2勝目を達成 日曜決勝の500周のうち、実に411周をリードして両ステージを制覇。土曜に開催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第9戦でも300周中277周をリードしていたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、NASCARカップシリーズ第9戦『Food City 500』を制して今季2勝目を達成。ブリストル・モーター・スピードウェイでの1戦を前に急逝した、友人でありヘンドリック(HMS)の広報担当でもあるジョン・エドワーズに捧げるキャリア通算31勝目を挙げた。
一方、マーティンスヴィルから前週のダーリントンへと2週連続勝利を飾り、自身の記録更新を掛けて乗り込んできたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)は、最終的に2.250秒差と惜敗の2位に終わり、カップ3連勝にはあとひとつ届かなかった。
次週開催のロッキンガムを前に、キャサリン・レッグの新プログラムが発表され、改めてエクスフィニティ・シリーズで合計7戦、6月のメキシコシティではふたたびカップへの挑戦もアナウンスされるなか、NASCAR運営団体を相手取ったチャーター権契約の訴訟を続ける23XIレーシング(トウェンティスリー・イレブン・レーシング)とフロントロウ・モータースポーツの問題に加え、新たな火種も勃発。チーム間の権利枠販売の失敗を理由にレガシー・モーター・クラブがリック・ウェア・レーシングを提訴するなど、あいかわらずのドタバタ劇も続いている。
そんななか迎えたブリストルの週末は、リッキー・ステンハウスJr.(ハイク・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が最速を記録した土曜のフリープラクティス(FP)から、前年度を彷彿とさせるタイヤ摩耗の問題が顕在化。これが日曜のレースでどのような影響を及ぼすかにチーム側は頭を悩ませることに。こうした懸念材料を抱えるなか、続く予選ではそのステンハウスJr.を抑えたアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、レースウイークエンドを目前に盟友を亡くし、失意に沈むチームにあって今季2回目、カップ通算7度目のポールポジションを獲得した。
「本当に最高の気分だ」と自身初のシーズン複数回ポールウイナーを得たボウマン。「でも、このポールをジョン・エドワーズに捧げたい。HMSの全員、そして彼の家族、彼と親しかったすべての人にとって、これは大きな損失だ。彼はHMSのなかでもっとも好きな人物で、間違いなく良い人だった。彼の不在は本当に寂しいよ……」
迎えた日曜の決勝は、前日FPでの強い兆候とは裏腹にブリストルのコンクリート路面に急速なラバーインが進むと、タイヤの摩耗はほとんどのチームやドライバーが予想していたほど大きな要因とはならず。ボウマンは最初の39周をリードし、その後はラーソンがリードラップを引き継いでいく。
そのラーソンはステージ1でハムリンを、ステージ2ではボウマンをそれぞれ抑えて勝利を挙げ、これにより2017年にステージレース制が導入されて以来、マーティン・トゥルーエクスJr.に並ぶ通算66勝の最多記録に並ぶことに。対照的にボウマンはエンジントラブルに見舞われ、リタイアを喫してしまう。
その終盤、残り235周は“ノーコーション”で続く消耗戦となるなか、ラーソンが390周目にタイヤと燃料のためにピットインした後はライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が48周を牽引。ここでブレイニーはグリーンフラッグ走行のもとロングランを披露し、440周目にピットインするまでにタイヤ1セットで175周を走行してみせた。
最後のピットストップ後、トラフィックのなかでラーソンに1秒差まで迫ったハムリンだったが、ここで首位を奪うほどの余力はなく。残り5周のターン1〜2のエイペックスでは、アウト側のウォールに接触してヒヤリとしたラーソンも、結果的に無傷でチェッカー。これで今季2勝目と0.533マイルのハイバンク・ショートトラックでの連勝を飾ってみせた。
「何周もグリーンを走ったけど、本当に楽しかった。かなり調子が良かったんだけど、デニー(・ハムリン)がピットストップ前にものすごく力強く攻めてきて、そこからプレッシャーを掛け続けてきたんだ」と、金曜夜のNASCARクラフツマン・トラック・シリーズでは2位に終わり、週末の完全制覇までまたあと一歩のところまで迫ったラーソン。
「これは間違いなくジョンに捧げる勝利だ。彼は本当に素晴らしい人だったし、この週末は大成功だった。彼がここにいて一緒に祝ってくれたら良かったのにと思うが、心の中ではきっと一緒に祝ってくれているだろうね」
一方、配下のタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を3位に従えて、ラーソンとはカップ通算7回目の“ワン・ツー”となったハムリンも「あのチームの実力には敬意を表さなければならない。圧倒的なパフォーマンスだった」と、この週末のライバル陣営を称賛した。
「彼らにとって完璧な一日だったように見えた。とても楽そうだったし、こちらは上位を維持するのが精一杯だった。でもこのプログレッシブ・トヨタの11号車にチャンスを与えることができて、うれしかったよ」と惜しくもシリーズ3連勝を逃したハムリン。
「でも今週末は、ジョン・エドワーズさんのご家族、(ジャーナリストの)アル・ピアースさん、(チームオーナーの)シゲこと服部茂章さんのことを心から思っている。この1週間で、このスポーツ界で素晴らしい方々の多くを失った。皆様に心よりお悔やみを申し上げる」
前述のとおり、土曜に併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第9戦『SciAps 300』では、ポールポジションを獲得したラーソンが圧倒的な強さでエクスフィニティでも今季2勝目をマーク。同じく金曜併催のNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第6戦『Weather Guard Truck Race』は、そのラーソンを7周の激闘で抑え込み、チャンドラー・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が今季初優勝を手にしている。
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[オートスポーツweb 2025年04月15日]