ドライコンデションの初日にマージンを築いた大竹。デイ2は滑りやすいウエット路面のSSでペースをコントロールしMCC2連勝を果たした 4月12日から13日にかけて、佐賀県唐津市を拠点に2025年シーズンのJRC全日本ラリー選手権第2戦『ツール・ド・九州2025 in唐津』が開催され、トヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム・ジャパン(TGR-WRJ)から参戦した大竹直生/橋本美咲組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)が、開幕戦に続いて“MCC”ことモリゾウチャレンジカップを制する結果となった。
同じくTGR‐WRJから参戦しMCCに挑んだ平川真子/竹原静香組のGRヤリスGR4 DATはMCC9位での完走となっている。
人材育成と、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの実践を目的に、これまでもJRCに参戦してきたTGR-WRJ。今季は、昨シーズンまで同チームのドライバーを務めていた眞貝知志が監督に就任するなど、体制の刷新が図られた。
また2025年は、フィンランドを拠点にWRC世界ラリー選手権を戦うトヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム(TGR‐WRT)との連携を深め、世界を見据えた活動を行っていくという。その一環として、今回のラリーではTGR‐WRT代表のヤリ-マティ・ラトバラが来日し、TGR‐WRJの監督としてチームの指揮をとることとなった。
そんなTGR‐WRJは、JN-2クラス内のMCCに2台のGRヤリスを投入している。1台は大竹がドライブするマニュアル・トランスミッション(MT)仕様のGRヤリスGR4ラリー。もう1台は平川に託された高性能スポーツ8速AT(GR-DAT/GRダイレクト・オートマチック・トランスミッション)を搭載するGRヤリスGR4ラリーDATだ。
ターマック(舗装路)ラリーとなる第2戦唐津は、JRCのカレンダーで唯一九州で開催される大会だ。今年はSS(スペシャルステージ=競技区間)の構成が刷新され、SSの総走行距離も105.32kmと、前年から30km近く距離が伸ばされた。そのため、初開催のラリーと同様に、クルーがレッキ(ステージの下見走行)において、いかに精度の高いペースノートを作成できるかが鍵となった。
■初日にマージンを築いた大竹がポジションを守り切り2連勝
競技初日の4月12日、サービスパークが置かれたボートレースからつを出発後、唐津神社でセレモニーが実施され競技がスタートした。ドライ路面となった初日、大竹はSS1でベストタイムを記録してMCCトップに立つ。その後も中間サービスでセットアップの変更を行いながら計4つのSSでベストタイムをマークし、2番手の選手に34.6秒もの差をつけて初日をMCCトップで終えた。
事前の予報どおり夜半に雨が降ったことで路面の大部分がウエットになったデイ2。大竹は滑りやすい路面に対し、前日に積み上げたマージンを使ってペースをコントロールしながら走行。大きなミスもなく、開幕戦に続きMCC2連勝を飾ることに成功した。
初日をMCC10番手で折り返した平川は、ペースノートやセットアップの課題をひとつずつクリアしながら、前日からひとつ順位を上げたMCC9位で完走を果たしている。
「大竹はプレッシャーのコントロールがとても上達した。平川はまだラリーの経験が少なく、今回のような難しいコンディションには苦戦したと思うが、最後の3本で良いフィーリングを感じたようだ。この調子で成長を続けてほしい」と語るのは臨時監督を務めたラトバラ。
また、同氏はドライバーだけでなく、チーム全体についても分析しコメントを残した。
「チームに必要なのは、しっかりと体制を構築してそれぞれの役割を明確にし、熱意を持って作業に取り組むことだ。ドライバーたち同様、チームとしても、どうすればクルマがより良く、より速く、より安定して走れるのかをつねに模索し続けることが重要だ。今後も期待している」
JRCの次戦第3戦『YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良』は5月16日から18日にかけて、奈良県天理市を拠点に行われる。
●大竹直生(MCC優勝/GRヤリスGR4ラリー)
「今回は前戦よりコンディションが難しく感じました。レッキの段階から、うまく走れそうなSSでしっかりタイムを稼いで、抑えるところはしっかり抑えるという作戦を事前に立てており、想定どおりに走ることができました」
「その点はとてもポジティブな結果だったと思います。ラトバラ監督には夜遅くまで一緒にペースノートをチェックしてもらい、とても勉強になりました。すべてのコーナーを見ていただいたので、今回のラリーが一番完璧なペースノートになったと思います」
●平川真子(MCC9位/GRヤリスGR4ラリーDAT)
「まずは無事に完走することができ安心しました。最終日はウエットとドライの両方の走りを経験でき、得られるものが多かったので、必ず次につながるものが見つけられたラリーになったと思います」
「今回はラトバラ監督に来ていただいて、ペースノートやドライビングについて多くのことをレクチャーいただきました。新たな課題も見えてきたので、今後改善できるように取り組んでいきます」
[オートスポーツweb 2025年04月15日]