
【写真】映画『醉いどれ天使』撮影中の三船敏郎、黒澤明監督
名匠・黒澤明と、その多くの作品で主演を務めた三船敏郎が初めてタッグを組んだ映画が『醉いどれ天使』。戦後の混沌(こんとん)とした時代に生きる人々の葛藤をいきいきと描いた同作は、黒澤監督による力強く斬新な世界観と三船の荒々しくも繊細な演技が絶賛され、今なお伝説の名作として世界中で愛されている。
映画が公開された1948年4月から約半年後、ほぼ同じキャストとスタッフが集結し、舞台作品として上演された記録が残っている。当時の映画界では大規模な労働運動が起こり、多くのスタッフや俳優たちが窮状に陥っていた。彼らを救うために黒澤明を中心に劇団が編成され、全国巡業が催されたといわれている。この時、上演作品に選ばれたのが『醉いどれ天使』だった。当時の舞台台本が近年偶然にも発見され、黒澤明が抱いた舞台への熱い思いを継承し、2021年に舞台化。大盛況のうちに幕を閉じた。
そしてこの度、新たなスタッフ・キャストにより、25年舞台版『醉いどれ天使』の上演が決定した。映画版、そして48年、21年の舞台版。それぞれの作品が持つ魅力を引き継ぎながらも、新たな視点で紡ぐ『醉いどれ天使』の世界。映画でも印象的なダンスシーンをはじめ、ライブならではのフィジカルでエネルギッシュな表現も満載。戦後の人々が命を燃やすように生きる姿を濃密に描き出す。
脚本は前回に続き蓬莱竜太が務める。演出は深作健太。
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この度公開された扮装ビジュアルでは、もがき葛藤しながらも生きる松永の姿をほうふつとさせる。
北山は「時代を超えてこの令和に素晴らしい歴史ある作品に携われる事をとても光栄に思います。ストレート舞台は約6年ぶりになりますが、緊張と責任、喜びと期待で身の引き締まる想いです。混沌の時代を生き抜いた松永と、それを取り巻く人々の命のエネルギーをステージで演じ届けられる事にとても感謝しています。観た後の帰り道で思わず感動のため息が出てしまう、そんな作品をキャスト一丸となって作り上げていきたいと思います」とコメントした。
『醉いどれ天使』は、東京・明治座にて11月7〜23日、名古屋・御園座にて11月28〜30日、大阪・新歌舞伎座にて12月5〜14日上演。
※コメント全文は以下の通り
【深作健太、北山宏光コメント全文】
◆演出 深作健太
黒澤明監督の名作〈映画〉を〈演劇〉として再構築する。
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〈新しい戦前〉ともいわれる現代。戦後80年の節目となる年に、焼跡の瓦礫を振り返る事は、とても意味のある事だと思えるのです。まるで野良犬のように、ひと握りの希望を求めて〈闇市〉をうろついた人間たち。その根底にある〈滅びの美学〉は、映画『仁義なき戦い』の中でも描かれた父・深作欣二の青春時代ともつながっています。
モノクロの舞台セットの中で、才能あふれる北山宏光さんと御一緒に、まったく新しい極彩色の松永像を創り出す事ができたら。そして深作組の盟友・西川裕一さんが舞台上で奏でる、生きた音風景にも御期待ください。
◆北山宏光
時代を超えてこの令和に素晴らしい歴史ある作品に携われる事をとても光栄に思います。ストレート舞台は約 6 年ぶりになりますが、緊張と責任、喜びと期待で身の引き締まる想いです。混沌の時代を生き抜いた松永と、それを取り巻く人々の命のエネルギーをステージで演じ届けられる事にとても感謝しています。
観た後の帰り道で思わず感動のため息が出てしまう、そんな作品をキャスト一丸となって作り上げていきたいと思います。ぜひ会場に足を運んでください。
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